次の日も俺は任務があった。
もちろん、やる気ゼロ。
そりゃ、いつものことなんだが・・・
今回ばかりはちょっと違う。
に嫌われた理由が分からなくて、立ち直れねーーーー・・・・
どうすりゃいいんだよっ くそっ
俺って超イケテねーな・・・

「はぁ・・・・・」

俺は木陰に腰をおろして、座った。

「またシカマルってば、やる気全然無しじゃない!」

いのはあきれたーとか言って、俺の前にしゃがみこむ。

「シカマルのやる気の無さはいつもの事だけどさ、でも、なんか
 あったの?シカマル?」
チョウジは相変わらず、俺のことにだけは、なぜだか勘が鋭い。

「別になんでもねーよっ」
俺は目を閉じて、ぷいっと顔をそらした。
言っても、めんどくせーことになるだけだ・・・・
とくに、いのにはな・・・・




「分かってるわよ・・・あんたが落ち込んでる理由くらいぃ」
いのはなんだか得意気に言う。

「は?」
俺は少し目を開けて、いのを見た。

ニシシとか言って笑っていやがる。

「何?何?いのー 教えてよ。どうせ、のことだろうけどさ・・・」


俺はガクッとこけた。


お前ら、俺があえて言わなくても、分かってるんじゃねーかよ。
あーーーぁ これだから、なまじ付き合いが長いと、まじめんどくせー。


「うるせーな。ほっとけよっ」

俺は内心、ムカついていた。
知ってるなら、気づかないフリとかするのが優しさってもんじゃ
ねーか?
まっ 所詮こいつらに言っても仕方ねーか。

根っからのおせっかいのいの。
心配症のチョウジ。


お前ら相手に社交辞令なんて通用しねーもんな・・・・




「あのねーシカマルってば、に嫌われちゃったのよー」
「えぇ!なんで!なんで!」
「さーねーーーー。いつも冷たいからじゃなーーーい?」
いのはチョウジにそう言うと、フフンと笑って俺を横目で見た。


そ、そうなのか?俺が冷たかったから・・・?


俺は内心ドキドキしながら、いのの言葉の一字一句に神経を集中させていた。
表向きは両腕を頭に組んで、フンとかしてたけどよ・・・・



「シカマル・・・に謝りなよ・・・」
チョウジはお菓子を頬張りながら、俺を見る。
「あーーーダメダメ。今は逆効果!チョウジったらもっと女心を
 勉強しなさいよーーーーっ」

「んじゃどうするの・・・いの・・・・」

勝手に2人で盛り上がってやがる・・・・
めんどくせー・・・
けど・・・本当にどうすりゃいいんだよっ
分かってんなら、早く言え!!いの!

俺はイライラしながら、いのの次の言葉を待った。





「シカマル・・・あのね、とちょっと距離をおいてみなさいよ・・・・」


「は?」
距離って?え?


「だからーーー!優しくするんじゃなくて、ほっとけって言ってんの!」

「バ、バカ!そんな事したら、が余計怒るに決まってんだろっ」
俺はいのの言葉の意味が理解できずに焦って言った。

「そうだよーー ここは穏便ににちゃんと謝って、優しくして
 あげるべきだと思うなーーー」
チョウジも俺と同意見だ

はーーーーーーーーーーっ いのは盛大に溜息をつく。

「分かっちゃないわね・・・あんた達。押してだめなら引いてみなってこと!」


それもなんか違げーだろ。 つうか、俺、に全然押してねーしな。
だからって、引けっつのは・・・ど・・・どういう事なんだよ・・・・

「いい!」
いのは俺達の前に人さし指を突き立てて、教祖にでもなったかのように
俺達に教えを説きはじめた。

「女ってのはねー、すぐに追いかけてくる男には魅力感じないわけっ」


ふんふん。

めずらしく、俺もチョウジもいのの話しに聞き入った。


「これでもかってぐらい冷たくされて、最後にチラッと優しい態度とか
 とられちゃうと、グラッときちゃうわけよーーー!分かる?」

いのに顔を覗きこまれて、
チョウジはうううーーーーんと唸り、俺は眉間にシワを寄せた。

「それって・・・・サスケのことだろ・・・・」

ボソッと俺が呟くと、案の定いのは真っ赤な顔で

「きゃーーーバレた?その通り!シカマル案外するどいじゃなーい」

サスケの話しになると上機嫌になるいのに俺はあきれた。


「くだらねー・・・サスケと一緒にすんなっての・・・・」

溜息まじりに小声で言ったんだが、いのにはしっかり聞こえていて・・・



「なーーーーんですってぇ!シカマル!あんたの為にアドバイスしてやって
んのに、何その態度は!」

胸倉を掴まれて、俺はますます脱力した。

「はいはい・・・アドバイスありがとよ・・・・」

適当に弁解してみたんだが・・・・・

「シカマル・・・と大親友の私を甘くみるんじゃないわよっ
 の扱いなら、あんたより私の方が絶対うまいんだからねっ」

いのの鬼のような顔にびびりつつも、それは一理あるなーとか思った。


「分かったよ・・・んで?俺はどうすりゃいいんだよっ」

いのはようやく納得したのか、俺から手を離すと静かに言った。

「いい?とにかく、今はと関わっちゃダメ。が本当の気持ち
 をちゃんと自分で理解できるまではね・・・・」


の本当の気持ち?」

俺は眉をしかめた。

「あっなんでもない! と、とにかく、いいわね シカマル!」



こいつは・・・・何か知ってやがるな・・・・そんでまた企んでやがる
にちがいねー


そんなこと、俺にはお見通しなんだよっ いの。
けど、まあ・・・・ここはいのの言う通りにしてみっか。
確かに、俺なんかより、いのの方が絶対の気持ちを理解して
やれてるはずだかんな・・・そのお前が言うんだから、きっと間違い
ねーんだろ・・・・


「分かった・・・・・」

俺はとりあえず、少しだが、とのことで道が開けた気がして、
自分を納得させることにした。













シカマルにもっと触れて欲しいっての体が言ってんの・・・・


いのの言葉が私の頭をぐるぐる回る。


それって、だって・・・・なんか・・・複雑・・・・・
女の子がそんなこと思うなんて、すごく変だよ。
私のこのドキドキは本当にそのせいなの?

だとしたら、私は・・・・すごく厭らしい女だ。

もし、そんな事をシカマルが知ったら、どう思うだろう・・・・
きっと引かれるだろうな・・・・嫌悪感を持たれるかもしれない・・・・

考えるだけで、自己嫌悪。



はぁ・・・・・

「そのうち分かる」

いのの言葉に安心したはずだったのに、私はなんだか本当の自分の
気持ちを知るのが怖くなってしまった。


でも今は、この間シカマルに誤解されて、私がシカマルを嫌いだって
思われたままでいる事の方が心配・・・・

だって、嫌いなんかじゃないもん・・・大好きだもん・・・・・・
い、今は何らかの理由で体が拒絶しちゃってるだけ・・・

そうよ、それだって、きっと他に理由があるのかもしれないし・・・・・


とにかく今はシカマルの誤解をときたい。

私は思い切って、任務後のシカマルに会いに行ってみる事にした。




「シカマル〜」

いのに任務先を聞いておいたから、すぐに10班のメンバーを見つける
ことができた。

私は走ってみんなのところに近づいた。




振り返るみんな。



「シカマル・・・いい?」
「あ・・・あぁ・・・・」
「チョウジも・・・この事はには内緒よ」
「うん・・・・」





「はーーーい。!」
いのが手を振ってくれて、私はホッとした。



「任務終わったの?」
私は3人の顔を交互に見る。

「うん。ちょうど今・・・ね?」
チョウジがいのの顔を見た。

シカマルは・・・・何も言わず、プイッと私から顔をそらした。



あっ・・・・シカマル・・・やっぱり怒ってるんだ・・・・

私の胸はギュッと痛くなった。




「ね、ねぇ・・・これからさ・・・みんなで甘いもの食べに行こうよ」

私はどうにかシカマルに振り向いてほしくて、無理に笑顔を作ってみた・・・
でも・・・・・


「俺は行かねー。帰って寝る・・・んじゃな・・・・」

シカマルは右手をチラッとだけ上げて、私の顔も見ずに、ぷいっと
背を向けて歩きだしてしまった。


「え?ま、待ってよ、シカマル!」
私の心臓はドキドキと高鳴った。
だって、いつもなら、めんどくせーって言いながらも絶対ついて
きてくれるのに・・・・・

私はとっさにシカマルの後を追って走りだした。






・・・・ちょっとかわいそうだけど、これが一番いい方法なのよ」
いのは溜息をついた。
「ねぇいの・・・2人・・また仲良しに戻れるよね?」
チョウジは心配そうに、シカマルとの後ろ姿を見て呟いた。

「大丈夫・・・きっと前よりずっと仲良くなれるって・・・」

2人は静かにその場を後にした。








「シカマル・・・・ねぇ・・・・・シカマル待って!待ってよ・・・」

はぁはぁと息をきらして私はシカマルの背中を追う。


「うるせーな。お前、なんか食ってくるんじゃねーのかよ。」
シカマルは振りかえってもくれない。

「え?だ、だって・・・シカマルが帰っちゃうから・・・・」

私はそんなシカマルにオドオドする。

「お前、俺がいなきゃ何もできねーのか?俺はお前の保護者じゃねーぞ」

「そんな・・・そんなこと分かってる・・・ひどいよ・・・そんな事言うなんて・・」
はぁはぁ・・いい加減苦しい・・・止まってよシカマル・・・・
それで、ちゃんと私の話しも聞いて・・・

「ねぇ・・・待って!お願い!」

私はとっさにシカマルの腕を掴んだ。


はっ!

その瞬間、私の手の平にシカマルの体温が伝わる。
細いくせにがっちりした男の腕。

私の心拍数が上がる。ドキドキドキ・・・・・
ダメ・・・まただ・・・・・

私はとっさにシカマルの腕を握った手を離してしまった。




シカマルはゆっくりと立ち止まって、言う。


「なぁ・・・そんなに俺が嫌いかよ・・・俺に触んのもイヤか・・・」

静かでとても寂しい声。
背中しか見えなかったけど、きっとシカマルは溜息をついて、
遠くを見てる。

「違う・・・違うんだよ・・・シカマル・・・・・」

でも、今の私にはそれ以上何もいえないよ。
だって、自分でもこのドキドキの本当の意味がよく分からないから・・・

何も言えずにただただシカマルの背中を見てる私。



シカマルは何も言わず、勢いよく走っていってしまった。



もう・・・それ以上は追えなかった・・・・私はその場に立ち止まり、
遠くなるシカマルの背中を見続けた。



そのまま行ってしまうシカマル・・・・一度も振り向かずに・・・・




「シカマル・・・好きだよ・・・・・・」
呟いた声は届くわけなくて・・・私の頬には涙がどんどん溢れてとまらなかった。













家の玄関の扉がバタンと閉まる。


真っ暗な玄関・・・・俺はその場に立ち尽くして上がった息を沈めていた。
ガラにもなく、一度も早さを緩めることもせず、走って帰ってきた。



「やっぱ無理だ・・・俺がどんな態度をとろうと・・の心を取りもどす
 ことなんて出来っこねー・・・・」

だってよ・・・触ってもらえねーほど嫌われちまったんだからな・・・・

俺の頭はまた混乱を起している。
なんで・・・なんでこうなるんだよ・・・・俺がお前に何したって言うんだよっ

『シカマル〜』
さっき俺に走りよってきたの笑顔。
『違う・・・違うんだよ・・・』
懸命に否定しようとする姿。

あれも俺を傷つけさせないための嘘なのかよ・・・・

俺の胸はギューーっとしめつけられた。



『いやー触らないでっ』
とっさに、この間に言われた一言が蘇った。


いの・・・知ってるなら教えてくれよ・・・・
本当はお前はの何を知ってんだ?
あいつの本当の気持ちってなんなんだよ・・・・・

はぁ・・・・・・・・

俺の溜息は静まりかえった玄関の暗がりに吸い込まれていく。
このまま、俺とは離れていくしかねーのか・・・・




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