ただがむしゃらに走って、町の繁華街をいく。





(シカマル・・・会いたい・・・あんな噂うそだって言ってよ!!・・・・)




はぁはぁと息があがって、私はどこに行っていいのかも分からずに、ただどうしようもなく
シカマルの姿だけを探し走っていた。




けど、全然見つからないっ




気持ちだけが焦って、頭が混乱する。



一分一秒でも早く、シカマルに真実を聞きたい・・・知りたいの、本当のことを!!・・・






その時、私の頭には、ある一つの答えが浮かんできた。


「シカマルが見つからないなら・・・そうするしか無いっ」



私はその場に立ち止まる。

そして、きびすを返した。





-----------本当のことを知るためには、もう、行くしかないんだっ---------------






どうしても事実を確かめたくて、私の足は自然と、まだ一度も行ったこともない
ある場所に向かっていた。




そう・・・砂の忍・・・テマリの部屋だ。











彼女達はしばらく木の葉に残るということで、火影様が宿屋ではなく、個人に部屋を与えたという
話しは、私達木の葉の忍び達の耳にも届いていた。


そしてその場所も、中忍試験での彼らの姿を目の当たりにして、未だにあまり好印象をもたれて
いない彼らに、安易に近づかない為にと、誰もが暗黙の了解で居場所を心得ていた。




私はテマリに会って何を聞くつもりなのか自分でも頭が混乱してよく分からなかったけど、
とにかくはっきりさせたくて、何も考えずに、テマリの部屋をめざした。




(シカマルとテマリの関係をはっきりさせたかった。)











視界の先に、少し古ぼけたアパートが見える。
今は木の葉の住人はポツリポツリとしか住んでおらず、空き部屋がめだつそのアパートの
2階にテマリを含め、砂兄弟の部屋が並んでいる。

(確かテマリの部屋は一番手前の端の201号室だ。)



鉄製の錆びた階段をカンカンと上っていく。
昼間だというのに、そのアパートの周りには、まったくといっていいほど人影は無く、
シーンと静まり返っていた。


ようするに、みんなここに近づきたくないのだ。


いくらサスケ奪還のあの任務で、数名の命を助けてくれたと聞いても、みんなの記憶には中忍試験でのあの彼らの
残虐な姿しかリアルに見えてこないのだ。


だから、ここに近づく者など、ほとんどいない。





扉の前で、ドキドキと高鳴る鼓動を抑えながら、私は半ば反射的に扉をノックする。






カンカンッ



古びて褐色がかった鉄製の扉。
彼ら砂の忍び達が住んでいるというだけで、まるで監獄のような不気味な静けさの中に、ノックの音だけが
やけにくっきりと響いた。










ガチャリ









私の目の前で、無言で扉が開いた。



中からは、不機嫌そうな顔をしたテマリが現れた。






「あ・・・あの・・・・」



会ったら、シカマルのことをはっきりと聞こうとか思っていたのに、いざテマリを前に
したら、やっぱり背も大きくて、怖くて、体が硬直した。



「なんだお前か・・・・あたしに用なのか?シカマルに用なのか?どっちだ?」



テマリの以外な言葉に私の心臓がドキリとした。



「え?・・・・・」

「シカマルなら、ここにいる。お前知ってて来たんじゃないのか?」



眉をひそめて言われた。
でも、もうテマリのことなんてどうでも良かった。







(なんでシカマルがテマリの部屋にいるの?・・・・)








「あがれば・・・」


テマリにそくされて、私はぼーぜんと部屋へとあがる。






(嘘だ・・・シカマルがいるはずない。)






どうしても信じられなくて、心臓がドキドキして呼吸が上がりっぱなしだった。

テマリの部屋は簡単なキッチンの横に1つ部屋があるようなつくりだった。
歩くたびにふるぼけた板敷きがギシギシと音をたてた。







「誰だったんだよ?テマリ」






部屋に入る寸前にかけられた声。

体が固まって、頭が真っ白になった・・・・・・・

だって、その声は間違いなく・・・・・・・シカマル・・・・・・・・・







「シカマル・・・」



キッチンを背に、部屋の前に立つ。





!お前、なんで?」





私が突然ここに現れたことに驚いたシカマルは、目を見開いて私を見ていた。





ゆっくり見渡した部屋の中心にシカマルはあぐらをかいて座り、机もない床に
おおきな紙が置かれていた。


シカマルの横にお茶の湯のみ。その隣にテマリの湯のみ。
2人で並んで座っていたことが分かる。



「ねぇなんで?なんでシカマル」


私の声は、震えていた。




「あ? ってか・・・お前こそなんでだよ?」



シカマルは尚も驚いた様子で座ったまま私を見上げている。




『彼女と別れたのか?』

『あぁ・・・テマリに乗り換えたらしいぜ』




さっきの噂話の声が頭中に響いて、指先から冷たくなって、体が震えた。
何をどう言っていいのか分からない。

硬直して立ち尽くしている私の後ろからテマリがノソノソとやってきた。


「で?あたしは出てたほうがいいわけ?」


めんどくさそーに聞くテマリにシカマルは



「あぁ悪ぃな・・・そうしてくれ・・・」



シカマルの言葉を聞くと、テマリは はぁ とため息をついて、またノソノソと歩いて、
外に出て、ガチャンと扉を閉めた。







「で?お前は何しにきたって?」

床に置かれた紙をたたみながら、シカマルはぶっきらぼうに言った。



「シカマル・・・どうしてテマリの部屋にいるの?」

私には訳が分からなかった・・・シカマル・・どうしてそんなに冷静でいられるの?


「あ?次の極秘任務の打ち合わせってやつだよ・・・この資料はたとえお前でも、この任務の依頼を受けた者にしか
 見せられねぇ決まりだ。だから外で打ち合わせなんか、尚更出来っこねぇだろ?」






『なんでも、奈良先輩が推薦したらしいぜ。砂と合同でチーム組んで演習すること』
『最近は2人コンビで任務に出てるって噂だぜ?』




噂する声が頭にこだまする。







「どうしてシカマルとテマリしかいないの?他のメンバーは?」

「今回はテマリと俺と2人で任された任務だからな・・・メンバーは俺とテマリだけだ」

「どうして2人だけなのよ・・・シカマルがそうしたいって火影様に言ったの?」

「俺が?なんで・・・」

「じゃぁ誰が決めたの?」

「知るかよ・・・俺は火影から依頼された任務をこなすだけだ。」

「だって最近いつもシカマルとテマリは一緒なんでしょ?」





分かんないっ
さっきの噂話は事実だって言うの?

どうしてシカマルとテマリが一緒にいるの?
なんで二人っきりなの?




「・・・・お前、何が言いたいんだよ・・・・」



シカマルは眉間にシワを寄せて、私をじっと見上げている。
たぶん・・・怒っていたと思う。
でも・・私はそんなシカマルの様子も頭が混乱していてどうでもよく思えた。


テマリの部屋にシカマルが2人きりでいた。
それも、きっと今日が初めてじゃない。
ずっと前から・・・・、たぶん私と会わなくなってから、何度も訪れているんだろう・・・・・


その事実が私の心の中に暗い影を落とした。
無償に腹が立った。



「なんでシカマルがテマリと一緒にいるのよ!!私と会えない間もずっとテマリと一緒にいたんでしょ?
 私だってシカマルと会いたくてずっと我慢してたのに!シカマルはテマリがいれば、もう
 私なんてどうでもいいわけ?」



それはきっと叫び声に近かったと思う。



でも、もう自分を制止することも、シカマルの言葉を聞く余裕もなくて、私は はぁはぁと
肩で息をして、目からボロボロと涙が溢れてきた。


・・・お前、何めんどくせーこと言ってんだ。
 これは任務だろ?テマリと組んでんのは俺とテマリの戦法が偶然相対するもので、戦いにはもってこいの
 組み合わせだからだ・・・
 俺が静ならテマリは動。あいつとは組みやすいし、戦いやすいんだよ。」

「だからって・・・テマリと会う時間の少しでも私と会ってくれてもいいでしょ?」

「だから・・・これは任務で・・・」

「任務任務って、任務の無い時だってシカマルは私に会ってくれないじゃない!!
 その間もテマリと一緒だったの?」

「その間は修行してた。言ったろ?俺はもっと強くならなきゃならねぇって・・・
 それに任務で組む以上、テマリと合同で演習した方がてっとり早いしな」







(そっか・・・やっぱり・・・修行もテマリと一緒なんだ・・・)







今までずっとシカマルの為にあえない悲しさもグッと我慢してきた。
寂しくてどうしようもなくて、いつもシカマルといた土手に一人で座って泣いたこともあった・・・



なのにシカマルは



そんな時もテマリと一緒にいたんだ。
こんな風に2人きりで・・・・







悔し涙がボロボロととまらなかった。


シカマルはゆっくりと立ち上がって、はぁ と一つため息をついた。


「どうしたんだよ・・・。 落ち着け。お前らしくねぇ・・・・」


シカマルはゆっくりと私の前まで歩いてきて、そしてギュッと抱きしめられた。


でも-----------------それってすごくズルイって思った。






(いつものように抱きしめれば、私が泣き止むって思ってるの?)






「そんなんだから噂されちゃうんだよ・・・・」

「あ?」


冷たく言い放った私を、シカマルは抱いたまま見下ろした。



「テマリとシカマル・・・付き合ってるって噂になってるんだから・・・・」



私もジっとシカマルを見上げた。



(ねぇ・・・それを聞いてどう思うの?それでもテマリと一緒にいるつもり?)





「けっ くだらねぇ・・・」



シカマルは眉間にシワを寄せて、そのままムスッとした。


でも、私は・・・それを聞いた私の気持ち・・・考えたことあるの??
そう言いたかった。
私はシカマルの彼女なんだよ?


イライラした思いが爆発して、私はシカマルの腕の中で叫んだ。




「もう私やだ!!こんなの耐えられない!!なんで私ばっかり我慢しなきゃならないの?
 テマリ達がいつまでも木の葉にいるからこんなことになるんじゃないっ!!
 砂の忍びなんて木の葉にいらないよっ さっさと砂に帰っちゃえばいいのにっ!!!」



ひどい事を言ったと思う。
けど、そんな真っ黒い言葉を吐き出さないといられないほど、私の心はもう限界だった。



でも、そう言った瞬間、とっさにシカマルに肩をグッとつかまれて、体を引き離された。



「痛っい」

・・・お前、いい加減にしろよ・・・」

シカマルの顔はあきらかに怒っていた。

「俺たちの命を救ってくれたのは砂のやつらなんだぞ?あいつらがいなかったら俺たち死んでんだよっ!!」




シカマルは本気だ・・・けど、けど、私だって・・・



「そんなの知ってるよ!!テマリがシカマルを守ってくれたんでしょ?」



「だったらっ・・」




「でもね!!!」




私はシカマルの言葉をさえぎった。
怒りで興奮して、もう止められなかった。




「私だって、その場にいたら、命をかけてシカマルを守ってたよ!!自分が死んだって、シカマルを
 守ってあげたよ!!!シカマルの為なら、私、死ぬのなんて平気!!!」


泣きながら、叫んだ。




(そうだよ・・・私の方がずっとシカマルを愛してるんだからっ!!!
 なんで分かってくれないの?)





、落ち着け!!お前自分で何言ってっか分かってるか?」



シカマルに肩をつかまれた。


「俺の為に死ぬとか・・・そういう事言うなっ・・・俺が言ってんのはそういう事じゃねぇっ」


「だってっ!! テマリは守ったんでしょ?シカマルでも敵わないような相手から、シカマルを助けた。
 だからシカマルはテマリの事・・・好きになったの?」


「バカっ・・・意味わかんねぇよ。ちょっと冷静になれよ!!っ!!」


「私達別れたって噂されてるんだよ?シカマルがテマリに乗り換えたって言われて、冷静でなんていられないよ!!」





泣きじゃくる私を、はじめてシカマルはすごく不機嫌な顔で見た。




「なんだ?・・・それ・・・・・」







「私はシカマルの気持ちが知りたいの!!サスケ奪還のあの任務の後、一体テマリと何があったの? 
 その時に二人はデキたんだって・・・そう言われてた。・・・どうして?私よりテマリなの!!!」



シカマルのベストを掴んで、私はぐいぐいとひっぱった。
でもシカマルは、目の前で取り乱す私に、表情一つ変えずに冷たい目でこう言った。





「お前・・・俺じゃなくて、くだらねぇ噂を信じんのか? 俺を信じてねぇのかよ?」




(シカマルを信じてない?・・・違う!!)




「信じてるよ!信じたいよ!でも、でも、テマリとシカマルがこうしていつも2人きりで
 いるのなんて絶対に嫌!!」



どうして私の気持ちを分かってくれないの?
寂しいんだよ私。
側にいてほしいんだよシカマル!!!



悔しいのか、悲しいのか、涙がボロボロ止まらなくて、私はシカマルの胸を叩いた。





けど--------------------------





シカマルに腕を掴まれる。




「帰れ・・・・」



シカマルの目は・・・私を通り越して、まるで別のものを見ているかのように感じた。
あの時のシカマルの目に、私はきっとうつってもいなかっただろう・・・




「シカマル?・・・・」

「今、お前と話すことは何もねぇよ・・・」



手首をグッとつかまれて、体をぐいぐいひっぱられて、私は玄関にひきづられるように連れていかれた。



「痛いよっシカマル。やだっ」



つかまれた手首がジンジンした。


それでもシカマルは無言のまま、玄関の扉を ギギギ と開け、乱暴に私を外へと押し出した。



「シカマル!!」



叫んでも、シカマルは何も答えてくれない。



「終わったのか?」


外の扉の横でテマリがめんどくさそうに呟いた。





「テマリ・・・打ち合わせの続きやんぞ」

シカマルは私の顔を一回も見ないで、部屋に入っていった。




私は何も言えずにその場に立ち尽くしていた。
でも、言葉に出来ない代わりに、心臓だけがうるさく音をたてていた。





どうして?シカマル。
・・・もう私とシカマルはダメなの?・・・私が壊しちゃったの?・・・




シカマルに掴まれた手首がジンジンと痛い。




隣でテマリは私を見下ろして、眉をしかめた。



「へぇ。あいつでもあんなに怒る事があるんだな・・・はじめて見た。・・・お前、いったい何を言ったんだ?」


もしかしたら、テマリは私を気遣ってくれたのかもしれない・・・
でも、私がシカマルとこうなったのは、全部あんたのせいよ!!って思った。

何も言い返せず、私をキッとテマリをにらむように見上げた。



「はぁ・・・お前って本当めんどくさい女だな・・・とにかく今日は帰れよっ」



その言葉とともに、私の目の前でテマリが扉をバタンと閉めた。



(めんどくさい女・・・)



テマリの言葉がジンジンと胸に響く。



(シカマルもそう思ったの?だからもう私なんていらないの?)



くやしくて悲しくて涙がとまらないまま、私は外階段を走りおりた。




カンカンカンカンッ




階段はうるさく音をたてたけど、それでもシカマルが私を追って来てくれる事は無かった。



シカマルを本気で怒らせた・・・
けど、悪いのは全部私なの?
私はシカマルの為にたくさん我慢して、一人ぼっちで耐えてきたよ?

なのにっ




私は一度もアパートを振り返らずに全速力で走った。








シカマルのバカ・・・・
テマリなんか大っ嫌い・・・



嫌い!嫌い!嫌い!



(けど、なんで?・・・)



走りながらも、私の耳にはずっとずっと同じ言葉が回っていた。







『俺を信じて待ってろよ』




(・・・・・シカマル!!・・・・・)




















「いいのかよシカマル?送ってやれば?」

後からかったるそうに部屋に入ってきたテマリはそう言った。



「いいんだよ・・・一人で帰れるだろ?ガキじゃねぇんだからよっ」

俺は内心イライラしていて、正直これからテマリと任務の話の続きをする気にもなれなかった。






カンカンカンカンッ



が外階段を駆け下りる靴音が部屋の中でも聞こえた。





「あーあ。いじけて帰っちゃったよ?今ならまだ間に合うけど?どうする?・・・」


テマリはキッチンと部屋の間にある壁にもたれて立ったまま、俺をからかうように、チラリと見下ろした。


「いいんだよっ ほっとけ・・・・」


俺は打合せをする際のいつもの定位置にあぐらをかいて座ったまま、

はぁ・・・

と、深いため息をついた。



「お前もよく分からない男だな・・・」


テマリまで はぁ とため息をついて、そのまま俺の隣にどさっと座った。



「うるせぇ・・・・」



テマリにどう思われようと、どうだっていい。

けどな・・・にあんな事を言われるとは正直思わなかった・・・


だいたい、


が怒っていた理由は明らかにくだらねぇ誤解だ。
俺が必死で修行してるって・・・理解してくれてたんじゃねぇのかよっ 
あいつの俺の信頼なんてそんなもんか?  くそっ



あぁイライラする。





「あんなめんどくせぇのとなんで付き合うんだ?お前、めんどくさいの嫌いだろ?」

テマリは隣で俺の神経を逆撫でするような質問をした。




「お前に関係ねぇだろ・・・」



「・・・付き合ったりするからくだらない誤解とか、喧嘩とかするんだろ?
 別れてお互い自由ってほうが良いんじゃないのか?あたしは一人の男に束縛されるなんて
 ごめんだな。」



テマリ・・・お前は何も分かってねぇ。
俺だって、できればとめんどくせー喧嘩なんかしたくねぇんだよっ!くそっ
けどな、だからってあいつと別れるなんて考えたことねぇ。



「本気で好きになったら、そう簡単に別れるなんてできる訳ねぇだろ。」

「なんで?女がうるせーからか?それともめんどくせぇからか?」

「どっちもちげぇよ・・・・」

「だったらなんでだ?」



テマリはその理由をどうしても聞きたいらしい。
こいつ、今まで本気で好きなやつとかいなかったのか?



「お前の言う通り、めんどくせーこともあるけどよ、俺があいつと別れらんねぇんだよ。」

「だから、その理由が聞きたいんだよっ」

テマリはイライラしたように聞いてくる。




ったく・・・はっきり言わなきゃ分からねぇってのは、もテマリも一緒か?
めんどくせーな。女って・・・・




俺は頭をガリガリと掻いて、テマリの目をジッと見て言った。





「ようするに、俺はあいつ以外の女を抱く気にはなれねぇってこった」





テマリは柄にも無く真っ赤になった。



「そ、そうか/////そういうもんなのか?」


「そう。そういうもんなの。お前も本気で人を好きになれば分かる・・・」



はぁ・・・俺はため息をついた。
テマリは腕組みをして、何やら真剣に愛について考えはじめたらしい。



任務以外のテマリはやっぱただの年頃の女だ。



その女が、戦闘に入ると、人が変わったように手段さえ選ばぬあの強引な戦法で
相手を再起不能にしてしまう姿になるのが恐ろしく感じる。




(女って訳わかんねぇ・・・・)




そんな事をぼーーーっと考えているうちにだいぶ落ち着いてきた。



さっきのの姿が頭に浮かんだ。・・・・・



いつもどちらかと言うとボーッとしていて、人よりワンテンポ遅れるような
天然のが、あそこまで興奮して怒る姿を俺はめったに見たことが無い。



はあの時、泣いていた。)



今、冷静になれば、が寂しかった気持ちは分かる。



俺は毎日、任務だ、修行だと本当にいつもくたくただった。
正直、もともと体力も無い自分にはしんどくて、「もうやめた!めんどくせーーっ」と
何度も言いかけた。


でも、それでもこんな毎日を続けてきたのは、あの任務で、チョウジやネジ、そしてナルトやキバも
俺は隊長として守ってやることが出来なかった。俺のせいで、あいつらは死ぬところだった。
その悔しさと恐ろしさが俺を突き動かしていた。



気持ちに余裕なんて無かった。



でも、は・・・・・きっと俺に会えずに毎日寂しかったはずだ。
いつもなら毎日のように俺の部屋におしかけてくるような甘ったれのが、もう何か月も俺の為に
我慢してくれてたんだからな・・・


その時、俺とテマリのくだらねぇ噂を聞いて、はきっと傷ついたんだろう。
ああ見えて、はすごく繊細なとこもあるから・・・


俺はサスケの任務での失敗で焦りすぎていたのかもしれねぇ・・・・
の優しさに甘えて、を大切にしてやることを忘れてた・・・



俺は一番大事な女を泣かせちまったってわけか・・・。



冷静になればなるほど、今度は自分の不甲斐なさに腹が立ってきた。



何であの時、の誤解を解いてやれるような気の利いた言葉一つ、かけてやれなかったんだ?
あぁ・・・何してんだよ俺は・・・くそっ!!死ねっ!!



うずくまって頭を抱えた。








「どうしたんだよ?シカマル」


ふいにテマリに声をかけられた。


「いいや。なんでもねぇ。はやくこんなめんどくせぇ打ち合わせ、終わらせちまおうぜ・・・・・」


はぁ・・・・ため息ばかり出た。


本当はすぐにでもに会いにいきたかった。
もちろん大事な任務の打ち合わせは絶対に必要で、それを放ったままで行くわけにはどうしてもいかねぇんだけどよ。



あぁ・・めんどくせーよ。ほんと・・・・・






問題は明日だ・・・・

明日、どんなにに罵られようとも、どんなに叩かれようとも、土下座してでも、
に謝ろうと思った。




そうあの時まで俺は、本当にそう思っていたんだよ・・・・




まさか、あんな事が起こるなんて・・・その時の俺は想像もしちゃいなかった----------------------------











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