シカマルは何も言わずに行ってしまった。
シカマルの他にも木の葉から消えた下忍は、ナルト、キバ、チョウジ君、ネジ・・・・




後でサクラから、シカマル達が、里を抜けたサスケ奪還の任務についたって聞いたんだよ。





シカマル達がいない間、残された女の子達はそれぞれに木の葉からいなくなった彼らを
心配していた。

もちろん私だって・・・・







だから、シカマルが帰ってきたって聞いた時、私は何も考えずにただもう一目散で駆け出した。
シカマルやみんなを迎えるために、木の葉病院へ!!!














「シカマル・・・大丈夫かな?」


チョウジ君とネジさんが重症らしいと聞いた。
シカマルとキバとナルトも命に別状は無いけれど怪我してるって・・・




だからもう今はシカマルの姿をこの目で確認するまでは気持ちが落ち着かなくて・・・・



それにみんなの詳しい状態も知りたい!!










「あの・・・えっと、チョウジ君。秋道チョウジの部屋はどこですか?」


シカマルなら絶対チョウジ君のところにいるって思った。


「今は緊急治療室で処置中です。面会は出来ませんよ」


受付の人の冷静な言葉に体が凍りついた。


(チョウジ君・・・・そんなに悪いの?)


でも、それだからこそ、シカマルもきっとそこにいるはず!!
チョウジ君のそばに!!


「それでも構いません。場所を教えてください!!」











場所を確認すると、私はエレベーターもつかわずに、受付隣の階段を一つ飛ばし
で駆け上がる・・・


(みんな無事でいて!!!)


羅線に続く階段を必死で走って、上がる息で何度も呼吸が苦しくなって・・・
でも私はとまらずにのぼり続けた。




「はぁはぁ・・・・・」





緊急治療室のある階で呼吸の乱れを少し整える。


「チョウジ君・・・シカマル・・・無事だよね。」


心配で震える手をギュっと握りなおして、私はまっすぐに向かいなおした。







長い廊下の先に、見覚えのある人影。




高く結われた髪、少しまるまった背中。



心臓がドキドキと高鳴る。
シカマルだ!生きてる!ちゃんと立ってる!



その事実に私の心臓は安堵の気持ちでドキドキと高鳴った。
あんまり嬉しくて、だから思わず大きな声で



「シカマルーーーーー!!!」



私が出した声は廊下に反響して、大きく響きわたった。
シカマルは何故か片腕で、顔をゴシッと拭いて・・・


「ったく・・・・・・うるせー!!」


それから、シカマルの照れた声が遠くに見える廊下の先から響いてきた。


その声を聞いて、嬉しくて心臓がドキドキしたよ!
だって、それはいつものシカマルで、その声だけで、シカマルは元気なんだって分かったから!



「シカマル!おかえり!」



私はシカマルに向かって走り出す。



シカマルの姿が大きくなるにつれて、私の視界には、シカマル以外の人達の姿がだんだんと見え始めた。
何やら話しをしながらシカパパと綱手様が私の姿を見てニヤリと笑った。
恥ずかしくなって、軽く会釈しながら、それでも私は、そのままシカマルに向かって廊下を走った。



早く触れたい!その腕にその胸に。
そしてもっと安心させてっ!!


だって、ずっと不安だったんだよ。
無事だって聞いていたって、軽症だって言われたって、本物のシカマルをこの目で見るまでは、
どうしても不安だったの。


本当はこのままシカマルに抱きついちゃいたかったけど、火影様もシカパパもいたから、私はシカマルの目の前まで来て、
シカマルの腕をギュっと掴んだ。



私の手の平に感じるシカマルの体温。
見上げたシカマルのいつもの顔。



「シカマル・・・無事だったんだね。良かった・・・」



シカマルが生きてることを本当に実感できたことで、ドッと押し寄せる安堵の気持ち。
だけど、シカマルの無事を知ってから、後に続く言葉が見つからなかった。




(だって、シカマル以外のみんなの姿が・・・・どこにも無いんだもんっ)




「ねぇシカマル。・・・みんなは?他のみんなは・・・・?」



シカマルの腕を握る私の手はブルブルと震えていた。




「心配ねぇよ・・・みんな無事だ」



シカマルはそんな私の頭をいつもの大きなあったかい手でポンポンと優しく叩いた。



「・・・良かった・・・・・・・」


ホッとしてまた流れてくる涙。


「あぁ」


シカマルは優しく笑ってくれた。









その時、シカマルの後ろの長いすがギシッと音をたてた。


「みんな無事で良かったな・・・」


聞きなれない女の人の声


でも・・・・



(この声・・・どっかで???・・・・)



その瞬間、私達の目の前に現れたその姿に心臓がドキリと音をたてた。






(・・・・・テマリ!!・・・・・)




「な、なんで?なんであなたがここにいるの?」



だって砂と木の葉が同盟を結んだことは知っていたけど、まさかテマリがここにいて、
しかもシカマルに普通に話しかけてるなんて!!



「なんでもいいだろ?お前に関係ない」

テマリはジロリと私を見る。



私の頭には、中忍選抜で見せた非道な戦闘方法でテンテンさんをズタズタにしたテマリの姿
が頭に浮かんだ。



「何よ!シカマルに何するつもり!!!」


私はとっさに戦闘態勢に構えた。


っ!よせ」


シカマルは私の体を制止させた。



「え?」


一瞬あっけにとられた私に



「へぇ。あたし相手になかなか言うじゃないか?この子。」


テマリが上からチラリと私を見下ろした。


改めて見ると、私よりずっと背が高くて、上から見下ろされると、かなりの威圧感があった。
殺されるかも・・・とっさにそう思った。

でも・・・



・・・いいんだよ。こいつは俺たちの仲間だ」


シカマルは な? と合図するかのようにテマリの顔を見つめる。


「まぁな。木の葉と砂で同盟を組んだ以上、仲間ってことになるんだろう? なぁシカマル。」


テマリは隣のシカマルを見て、ふんっと笑った。



(シカマル・・・)



テマリがシカマルを名前で呼んだ・・・



「だからって、なんであなたがここに・・」



私は目の前の二人の会話がまだ信じられなくて・・・
でも、私の言葉を遮って、シカマルは続けた。



「こいつには世話になってる。まぁ色々とな・・・・」






なんで?



私には理解できなかった。
どうしてこんな非道な戦いをするような乱暴な女にシカマルが世話になることが
あるの??

自然と眉間にシワを寄せて、私はテマリを見つめていた。



「まぁそう怖い顔するな。とって食ったりしないよ。それより、これからもちょくちょく現れるから
 宜しくな。お嬢ちゃん」


テマリはクスクスと笑った。
なんだか子供扱いされたような言い方にムッときたけど、テマリはそのままスタスタと歩いていって
しまった。



「テマリ。お前、これから砂に帰るのかよ?」


シカマルがテマリを呼び止めたことにも驚いた。
しかもシカマルまで・・・すっごく親しげに・・・「テマリ」って呼んだ・・・・・・・


何故だろう・・・すごく嫌な胸騒ぎがする。









どうして?シカマル・・・・








「宿に戻るだけだ。火影様から話しもあるらしいからな。」

「そうか・・・んじゃよ、我羅愛とカンクロウに伝えといてくれ。助かった・・・ありがとうってよ・・・
 それから・・・お前にも・・・ちゃんと言っとくぜ・・・ありがとな・・・」


助かった・・・ありがとう?
なんで?なんでテマリにお礼を言うの・・・・
なんでそんなに親しげに話すの?・・・・
私の心臓はさっきから高鳴りっぱなしだ。



「別に。気にするな。お前があたしを呼ぶなら、これからもいつでも助けてやるよ。」

「けっ 言ってくれんなっ」

「当たり前だろ?お前よりあたしの方が精神面でもタフだしな?」

「お前、一言多いんだよ・・・」


笑ったテマリ。
でも、その顔はいつもの戦闘的な顔ではなく、一人の女の子って顔に見えて綺麗だった。



「じゃあなシカマル。さっきの・・・彼女に見られなくて良かったな」




(さっきの・・・?)

私の心臓はまたドキドキと早くなる。




「お前なぁ・・・だから一言余計だっつうの。めんどくせー。」


テマリの意味深な言葉と真っ赤になったシカマル。


2人が笑いあう姿がすごく嫌だった。


私が離れている間に、この2人に何があったんだろう・・・・・
仲のよさそうな2人の会話が、気になって仕方ない。


私は複雑な思いで2人のやりとりを見ていた。



「じゃあな」

「あぁ」


廊下を歩いていくテマリの後ろ姿をシカマルはずっと見ていた。
私はそんなシカマルの顔をずっと見上げていた。





(シカマル・・・なんでそんなにテマリのことを気にするの?・・・・・)





テマリが階段をまがって見えなくなって、はじめてシカマルは私を振り替えった。


・・俺たちも帰るか」


「え? う・・・うん」


「俺以外はみんな入院中だ。ここにいてもまだ会えねぇんだよ。でも、じきに元気な姿で
 またみんなに会える。」


言葉を詰まらせた私のことを、気遣ったシカマルの言葉。




------------でもそんなことじゃない・・・今私が聞きたいのは・・・・・----------------





(ねぇ・・・私と離れている間に、テマリと一体何があったの?)




胸がズキズキ痛んで、言葉になかなか出来ないまま、シカマルはそんな私に気づかずに、
スタスタと廊下を歩きはじめた。


「なぁにやってんだお前。早く来い。めんどくせぇ 」

「う・・・うん」









木の葉病院を出て、2人で並んで歩いている間も、さっきのことが気になって仕方なかった。

「ね、ねぇシカマル・・・」

「あ?」

「テマリが言ってた、私に見られなくて良かったなって・・・あれ・・・何?」

おそるおそるシカマルの顔を見上げたら、シカマルは真っ赤な顔になった。

「な、なんでもねぇ。お前が心配するようなことじゃねぇからよ。」




(私にはやっぱり言いづらいことなの?)

(テマリとシカマルだけの秘密があるなんて・・・私、嫌だよっ!!)



胸がつかえて苦しかったけど、私はそれ以上は何も聞かなかった。
だって、きっとシカマルは言いたくないんだろうから・・・













シカマルと木の葉病院から2人で帰る道で今回の任務について、すべてを聞いた。



チョウジ君やネジが命をかけて音忍と戦って、今峠を越して回復に向かいつつあること・・・
そして、ナルトとキバも重症だが命に別状は無いこと・・・




聞いているうちに何度も涙が出そうになった。
みんな頑張ったんだ・・みんな命をかけて守ろうとしたんだ・・仲間を・・・そうサスケを・・・





でも・・・・・サスケの姿は木の葉病院にも無かった・・・・



「あのな。」

「うん」

いつになく真剣な顔で言うシカマルに心臓がドキドキした。

「サスケは・・・サスケだけは・・・やっぱ無理だった。あいつはもうここには帰ってこねぇ・・・」

「そう・・・・」






シカマル達がサスケ奪還の任務についたことを教えてくれたのはサクラだった。
正直、その話を聞いた瞬間はシカマルが心配でいてもたってもいられなかったけど、目の前で
泣き崩れるサクラを見て、その場にいた私といのは顔を見合わせて、そしてたぶん同じことを想った。


《シカマル達を信じて待とう・・・彼らはきっとサスケを連れ戻して、全員無事に還ってくる。》


だから私達は必死でサクラを抱きしめた。

「大丈夫よサクラ!あいつら結構やるときゃやんのよ!」

いのはサクラの頭を優しく撫でた。

「そうだよ!音忍なんかに絶対に負けたりしないよ!それに・・・ナルトがいる。ナルトは絶対
 サスケ君を連れ戻してくれるよ。だってナルトは約束をやぶるような奴じゃないもんっ」

私もサクラの背中を撫でて、懸命に声をかけた。




それでも、長い時間泣き続けたサクラの小さな背中を今でもはっきりと覚えている。
私はサクラの背中をさすりながら心の中でずっと想っていた。


《ねぇサクラ。私も同じだよ。心配でどうしようもなくて・・・今からでも木の葉を飛び出して、
 シカマルを追っていきたいよ。》


・・・・でも、たとえそうしたとしても、私が行ったら、逆に
足手まといになることも分かっている・・・・



私達は本当に無力だ・・・。
ただシカマル達を信じて待つことしか出来ない自分が歯がゆかった。
毎日祈ることしか出来ない自分が悔しかった。


私にもっと強い力があれば、シカマル達を助けてあげられるのに・・・・












「サクラが知ったら・・・きっと・・・辛いね・・・・」

私はサクラの震える体を思い出して、泣きたくなった。


「酷な言い方かもしれねぇけどよ・・・それが事実だ。サスケは自分でそう決めたんだ・・・」

「うん・・・・・」


ナルトでも・・・サスケを止められなかった・・・・
その事実が余計に私の胸を苦しめた。
友情ってなんだろう・・・仲間ってなんだろう・・・
悲しくてどうしようもなくて、隣を歩くシカマルのベストのすそをギュッと掴んだ。



「シカマル・・・なんで私達は友達一人さえも救ってあげられないんだろう・・・
 サスケはすごく仲が良かった訳じゃないけど、それでもずっと大事な仲間だって信じてきたのに・・・
 私達・・・本当の仲間なんかじゃなかったのかな・・・・」


それって今までの私達の思い出の全てを否定されたみたいな気がして、たまらなく悲しかった。

でも・・・・・


「そうじゃねぇよ・・・俺たちは今でも仲間だ・・・・木の葉に誇りをもった同じ仲間だ・・・」

「だって・・・・」


シカマルにムギュッとほっぺをつままれた。


「お前はみんなのこと仲間だって思ってねぇのか?こんなことで俺たちの関係が崩れちまうのかよっ」

「そんなことない!私は今だってサスケを仲間だって思っているし、木の葉のみんなが大事だよ!!」

「だったら信じようぜ・・・・あいつのことを・・・・」



シカマルの顔はいつもよりずっと大人びて見えた。


そうか・・・・そうだよね・・・・・私達の関係はこんなことでは絶対に崩れないっ
たとえ今、サスケの心が闇に支配されてしまっていたとしても、いつか必ず取り戻せる。

だって私達、仲間だもん。





「それによ、。俺たちはまだ諦めた訳じゃねぇぜ。」

「え?」

「めんどくせーけど、約束は命かけて守るとかって言い張ってるバカがいるからな。」

(ナルト・・・・)



はぁ・・・シカマルは頭をがりがりとかいた。



「まっ あいつは必ずサスケを連れ戻すっつってる。そんで、俺たちは同じ木の葉の忍びとして、
 そんな仲間を見捨てるわけにはいかねぇからよっ 」



ニヤリと笑ったシカマルの顔はすっごくたくましく見えた。


「これから先は本気の戦争だ。大蛇丸相手に俺たちだけじゃどうやら役不足らしくてよ。
 これからは、砂の連中とも手を組んでやってかなきゃならねぇだろう・・・」

「そう・・・・」



とっさにテマリの顔が浮かぶ。



さっきのシカマルの話しの続きが頭をよぎった。


音忍との壮絶な戦いに、シカマル率いる木の葉のチームでは力に歴然の差があり、一人一殺を
余儀なくされるほどの苦戦をしいられた。
しかも、その戦いはどれも命をかけなければならないほどの壮絶なものだった。

その危機を救ったのは、火影がいち早い決断で、同盟を結んだ砂の忍び達。







そして、シカマルを救ったのはテマリだったと・・・・





「砂の忍って・・・あの3兄弟だよね?」

私は彼らを中忍選抜試験でしか見たことがない。
そしてその印象は、極悪非道で勝利の為には手段を選ばない最悪最強なものだった。

同盟を結んだからといったって、はいそうですかと同じ仲間として認める気には到底ならなかった。


「心配すんなって。あいつらは悪ぃやつらじゃねぇよ。そりゃ敵にまわしたら怖えぇ連中だろうけどな。」

シカマルはそんな私の気持ちも知らずに、穏やかに笑った。
きっと心底、砂の3人を信用しきっているからだろう・・・・




「それじゃぁ、これからも砂の忍びと木の葉の忍びで合同で任務をこなしていくの?」

「さあな・・・でも・ありえるかもな・・・」





同じように忍びの学校に通って、それなりに任務もやって、修行だってして頑張ってきたのに、
今、シカマル達の為に何の役にも立てない自分がすごく情けなく感じる。

なんでテマリのように強い忍びの女になれないんだろう・・・
私だって、シカマルと一緒に任務に行って、力になりたいし、守りたいのに・・・





--------シカマルを守ったのが自分じゃなく、テマリだったことがすごく悔しかった。--------------






これから先もテマリはシカマルのところにやってくるのかな・・・・
でもまさか砂のテマリと木の葉のシカマルが同じチームになることは無いよ・・・ね?・・・・



胸がモヤモヤする。


テマリとシカマルが一緒に任務をこなすなんて、絶対に嫌だ。



「どしたよ?・・・」


シカマルは私の気持ちも知らないで、顔を覗き込んできた。


「ううん。・・・なんでもない・・・」


とっさに笑ってみせた。
こんな私の汚い感情をシカマルに知られることが怖かったから。













私の家の玄関先までついて、シカマルは私を見て言った。


・・・俺はこれからたぶん忙しくなる・・・めんどくせーし、柄じゃねぇけどよ、
 俺は今のレベルのままじゃいられねぇ。強くならねぇと、俺がみんなの命をあずかるんだからな」


真剣な目


「うん。分かってる」

「今度こそ、俺は絶対守ってみせるぜ。そんで取り戻してやる。俺たちの大事な仲間をよ・・・」

「うん」


信じてる・・・信じてるよシカマル。
あなたはきっともっと強くなる。


「だから・・今は・・・少し待ってろ・・・」

「うん」


それは、今まで以上に私達が会えない時間が増えるってことだよね。
でも、それは仕方ないよね。
だって・・・シカマルはもう中忍で、みんなをひっぱる隊長で、シカマルは本当は誰より仲間を
大切に想う人だから・・・・

だから、私は我慢しなきゃいけないんだ・・・・


だけど・・・





心の中で必死でそう言い聞かせているのに・・・
頭では分かってるのに・・・

シカマルと会えない時間がいままで以上に増えていくことが私にとってすっごく不安で寂しくて、
辛い日々だって、分かっているから・・・
余計に悲しかった。

涙が出て、とまらなかった。



・・・」


ギュッと抱きしめられて、私はシカマルの胸にすがりついて声を押し殺して泣いた。
自分の気持ちの整理がなかなかつかない。

だけど答えは選べない。

私はこの寂しい気持ちを心の奥に押し込めて我慢するしか無いんだ・・・・

シカマルの胸に抱きついて、私はベストをギュッと掴んだ。


「ごめんな。今はお互い辛いけどよ・・・でも、絶対お前を迎えに来っから・・・
 俺を信じて待ってろよ」

「うん。」

シカマルの胸からシカマルのいつもの匂いがした。
本当はこんな風に、いつだってシカマルのすぐ近くにいたい。
だからせめてもう少しこうやって側にいさせて?


シカマルは誰にも見えないように、私を包むように抱きしめて、顎をそっと持ち上げられた。





キスしてる間、ずっとシカマルの腕の中でシカマルのあったかい体を感じていた。
身も心もすべて、シカマルに包まれているみたいに。


悲しい気持ちが少しづつ溶かされていくのを感じる。
離れている時間が寂しいのは私だけじゃない。
シカマルだって、きっと同じ気持ちでいてくれるよね?

離れている時間があったって、きっと私達は大丈夫だよね。
だってこんなに想いあってるんだもん。






そう、この時はそう思っていた。
愛があれば、何でも乗り越えられる。
愛しているから、お互いを信じることなんてたやすいことだって想ってた。


だってそうでしょ?


シカマルを愛する気持ちが何かに負けてしまうなんて、そんなことあるわけないでしょ?























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