「すごい汗・・・奈良君らしくないわ・・・そんなに必死になっちゃって」

彼女は少しあきれた顔をした。

「俺らしく・・ねー・・・か・・・・」

そうだな・・俺はの事になるといつも冷静でいられなくなっちまう。
自分でも抑えらんねーんだよ・・・

「汗かいてる奈良君なんて似合わないわ」

彼女は浴衣の袖で俺の額の汗をそっとふいた。

「そういう事はあんたの男にしてやれよっ 俺にすんなって・・・」

わざとぶっきらぼうに答える。
の顔が頭に浮かんだ。
こういう事、以外の女にされんのは、なんか気分良くねー。

「彼女がそんなに大事?」

女はチラッと俺を見る。

「・・・・まぁ・・・な・・・・・」

俺はジュースをグビッと飲む。

「以外だわ・・・」

「何が?」

「あなたの彼女があの子っていうのが・・・・・」

「どういう意味だよ?」

俺には女の言う意味がよくわかんねー・・・・

「あなたって、もっと大人な恋愛が似合う人だと思うけど?」

突然、女が俺の肩に寄り添ってきた。

「やめろよ・・・からかうの・・・・」

俺は少し体を離して、女を拒もうとした。

「からかってるように見える?」

女は目を細めて、俺をじっと見つめた。
俺にはその顔が誘っているように見えた。

と俺が付き合ってるって知ってて、俺を誘うのか?
それともこれは悪い冗談なのかよ?

俺の目の前で薄く微笑む女の顔が俺の頭を混乱させる。


「めんどくせーことすんなよっ こうゆう冗談は好きじゃねー」


女から顔を反らす。でも、どうしていいのか分からない俺の顔が赤くなってる
のが自分でもわかった。

「ふふふ。かわいいとこもあるのね。もっとあなたを知りたくなっちゃったわ」

女が余裕に笑う。

「だから、やめろよ・・・マジで怒るぞ」

いい加減にしてくれっ
俺が好きなのはだけだ。



女から目線をはずした、その時・・・・・・




俺の視界にの姿がはっきりと見えた。



!」


俺はとっさに椅子から立ち上がる。


ようやく見つけた!!やっと会えた!
俺はの姿に安堵した。



けど、は人ごみに突っ立ったまま、動こうとしない。



!お前、何やってんだよバカ!こっち来いって!」


俺はなんだかイライラした。

早く近くに来て、を抱き寄せたかった。
今度こそ、しっかり手を握って、はぐれないように繋ぎとめておきたかった・・・


でも、は一向にこっちに歩きだそうとしない。
歩いている人に逆らって、一人じっと立ち尽くして俺を見ているだけだ。




!お前、何やってんだ・・・よ・・・・・」




------------------------------!!------------------------------------




逆そうする人の間から、の顔がはっきり見えた。

の目から、ポロポロと涙があふれていた。



・・・・」



俺はとっさに、に近づこうとした。





その瞬間、はクルリと背を向けて、俺達とは反対の方向に走り出した。





! おいっ 待てって!!」

このままじゃ、またを見失う!

俺はとっさに印を結ぶ。

「忍法!影真似の----------------」

人ごみが激しくなり、の姿がかき消される。
俺の影真似も届かねー   くそっ


俺はの後を追おうと、走り出そうとした・・・・
でも、女が俺の腕をつかんだ。


「一人にさせてあげたら?」

椅子に座ったまま、冷静にそうつぶやく。

「あいつはそんな大人じゃねーんだよっ 一人になんかさせられっか!!」

「どうせ、あなたが追ったところで、彼女につっぱねられるだけよ?」


あぁ・・・分かってる・・・・俺が泣かせちまったんだからな・・・
一人で寂しい思いさせちまったから・・・
俺が追いついたとしても、は俺を拒絶すんだろ?


「それでも、俺はあいつをほっとけねー。一人で泣かせらんねーよ。」

「奈良君、冷静になって?子供じみた恋愛はあなたには似合わない。あんな子、
 私が忘れさせてあげる・・・」



女の白くて細いしなやかな指が俺の頬をなでた。




その瞬間・・・・俺は理解した・・・・・・



あの日のの言葉------------------------


『土手に寝てるシカマルの隣に座って、綺麗な女の人がまるで恋人みたいに、
   シカマルの頬をなでてたんだよっ!! あの人は誰なの!! ねぇ 誰?』


怒りながらも、心配そうに、泣き出しそうな顔で、に詰め寄られたあの日の記憶が
よみがえる。








「あんた・・・土手で・・・・・・・・」

「寝顔・・・かわいかったわよ」

女はくすりと笑った。

「ずっと好きだったの。頭がよくて、何事にも冷静で、あなたは素敵よ。」

「なに・・・言ってんだよ・・・あんた。」

女の手が俺にからみつく

「でもまさか、あなたのお相手があんな子供みたいな子だなんて・・・驚いちゃった。
 だから、奪ってあげようと思ったの。本当の大人の恋愛にあなたは興味ない?」


俺の体に密着する女の柔らかい体。
首にまわされた細くて白い腕。
女の首筋から、鼻を刺激するどくとくな香水の匂いがした。

冗談なんかじゃねー・・・

この女・・・はじめから俺がと付き合ってることを知っていながら、俺を誘って、
俺に近づいて・・・・・




こいつっ!!・・・・・





俺は女の腕を冷たく振り払った。

「あんた・・・それで俺を誘ってるつもりかよ?」 

驚いた彼女の顔。

「俺もなめられたもんだぜ。ったくよぉ。」

頭をガリガリとかく。

なにやってんだ俺は・・・こんな女に簡単に騙されて、一番大事な女を泣かせちまうなんて・・・
自分に無償に腹がたった。

「悪ぃな。俺、あんたに興味ねーから」

彼女の目が見開かれた。

自分ぐらい綺麗な女が俺みてーなぼんくらにフラれるなんて夢にも思ってなかったって顔してんな。
けっ ざまーねーぜ。

「あんなガキのどこがいいのよ・・・・」

今まで見せたことの無いような冷たい瞳


あーーーそうか。
やっと分かったぜ。
初めて会った時からの態度がおかしかった事も、さっきからずっとに元気が
なかった事もすべてコイツのせいだったんだな・・・

俺はどうしての気持ちに気づいてやれなかったんだ・・・

はガキなんかじゃねーよ」

俺は ふん と鼻で笑った。

彼女は不機嫌そうに眉をしかめて俺を見ている。


「あいつは会話なんか無くたって側にいるだけで、俺をいつも安心させてくれる。
 は俺にはもったいないぐらいのいい女なんだよ。
 あいつ自身は気づいてねーんだろうけどな・・・」

まあ・・・そこがのいい所なんだけどよ・・・・

「冗談でしょ?私よりあんな子がいいっていうの?ただのバカなガキじゃない。」


女は俺を冷たく嘲るような目で見た。

俺を悪く言うのは構わねーよ。
けどな、をあんたに悪く言われるのは許せねーんだよ。

 
「あんた、何か勘違いしてんじゃねーか?の笑顔はあんたよりずっと綺麗だ。
 俺にはしか見えねーよ。」

「あなたはまだ本当の恋愛を知らないだけよ」

目の前で女は ふん と笑った。

そして、もう一度、俺の顔を妖艶な瞳でジッと見つめて、俺の腕に体を摺り寄せた。

「ねぇ奈良君。あんな子供相手じゃ恋愛になんてならないわよ?
 私ならあなたを絶対満足させてあげられるわ。」

胸を押し付けてくる。

・・・体を武器にして男を誘うのかよ・・・・最低な女だな・・・・
をバカにしやがってよっ・・・お前のその鼻へし折ってやる!!




「へぇ・・・あんたが俺を満足させてくれるって?・・・・」

俺は女のあごを乱暴に掴んで、持ち上げて、顔を近づける。

「それじゃー俺を興奮させてみろよ・・・」

女はにやりと笑って、俺の手を掴んで、人から見えないように、浴衣の胸元から胸を掴ませた。

「あの子と別れて私と付き合うっていうなら、もっと楽しいことさせてあげるわ・・・」

耳元で甘い声を出す。

笑わせるよ・・・こいつはいつもこうやって男を落としてきたんだろーが、俺には通用しねー。


「感じねーな」

「え?」

「聞こえなかったのか?あんたの体じゃ物足りねーって言ってんだよ」

「!!」






が側にいるだけで、俺はいつだって抱きたくて体がうずくんだよ。
 悪ぃが、あんたじゃ勃たねーな・・・・」






思い切り、ひっぱたかれた。
そして女は真っ赤な顔で俺を睨んだ。

「あなたってバカね・・・もう少し利口だと思ってたけど・・・
 私はあなたの担当上忍なのよ?今後、あなたの立場がどうなるか・・・」

汚いな・・・本当っ 綺麗な顔してあきれるぜ・・・・

「あぁご自由に・・・俺、中忍なんてもともと興味もねーから。チーム外すなり
 俺を下忍に戻すなり、そっちで勝手にやってくれよっ」

「奈良君!!」

女はそうとう驚いたらしく、ぼーっとしている。


「この先のやぐらの警備にアスマがいる。こっから先の案内役はアスマに頼むんだなっ
 俺はもうめんどくせーことはこりごりだぜ。んじゃな。」

「待って!奈良君!」




女の声なんて聞こえねーーーーよ。
俺は彼女を置いて走り出す。



他の女も、中忍なんて肩書きも、別に興味ねー。
俺はが側にいてくれれば、それでいい。

さっきのの泣き顔が俺の胸を締め付ける。

俺はさっきより集中して、走りながらも神経をとぎすまして、の気配を探す。

もう、絶対途中で諦めたりしねー。
お前を見つけるまでは、めんどくせーなんて言わねーから。

俺はずっとお前が好きだった。
子供の頃からずっとお前が誰より大事だった。
でもその気持ちを伝えるのが照れくさくて、俺はいつだってお前に冷たい態度ばっかとって
きたんだ。

でも、俺はお前をこのまま失うなんて絶対嫌だ。

俺の気持ち、ちゃんとお前に伝えるから・・・だから・・・・

・・・お前、俺以外の男のとこへなんて絶対行くなよっ・・・・・・





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