私達は祭り会場の入り口にたどり着いた。

さっきから、いのとサクラはどっちがサスケ君をメロメロにさせるかで
大もめ!
この2人は仲がいいのか悪いのか!

「サスケ君は私が悩殺しちゃうからねー残念でした!でこりんちゃん。」

「あーら。サスケ君は私の浴衣姿にいちころよ!残念だったわね!いのブタちゃん!」



「もうっ 2人ともいいかげんにしてぇーーー!」


間に入った私が叫ぶと、2人の争いがひとまず止まった。


「ここでケンカしてても始まらないは!とにかくサスケ君の任務先に行かなきゃ。」

「それもそうね!そこでサスケ君にどっちを選ぶか決めてもらいましょ!」

「望むところよ!」



それじゃ!


「えーーーいのちょっとちょっとぉぉぉ!」

私は焦る。
だって、シカマルの任務場所わかんないよーーーー!!




!シカマルは神社の境内だからね!がんばってねーーーー!!」

走りながら、こちらを振り向いて、そう叫ぶと、いのとサクラはダッシュで走り去っていった。






「もう・・・結局一人かぁ・・・・はぁ・・・・」


シカマルとケンカしてて、なんだか一人では会いずらくて、でもどうしても仲直りしたくて
私はドキドキしながら、神社のある階段へと向かっていた。









神社の階段には、ここしか座るところが無いせいか、人がたくさんいた。
私はそっと階段上を見上げる。


「あっ・・・・」


シカマルがいた。
こんな人ごみできっとうんざり顔であくびでもしているんだろうと思っていたのに・・・


シカマルは以外にも真剣な顔で、立っていた。

というか・・・なんか考え事でもしている感じ?



私はおそるおそる人ごみに体を隠しながら、階段を上がって、シカマルに近づいた。













「シ、シカマル・・・・」

小声で名前を呼ばれた。
俺はさっきの女のことをぼーーーっと考えていた。
でも、俺の意識は急速にもどっていく。
俺を呼ぶ声が誰だかすぐに分かったからだ。
俺はかなり動揺した。

!!」

目の前に今は会いたくなかった俺の彼女の姿が・・・・

「お、お前・・・どうしたんだよ?」

なんでこんなタイミング悪い時に・・・・
俺の心臓はバクバクと高鳴った。

「あ、あのね、私、シカマルと・・仲直り・・したくて・・・」

俺の目の前で、は言葉をつまらせながら、オドオドしている。

「・・・私、勝手にずっと怒ってて・・・シカマル・・・ごめんね。」

頬を赤くして、俺をみあげるは冗談抜きで、かわいい・・・
しかも、その浴衣姿は反則だろっ!
後ろに束ねたその髪型も、を色っぽく見せていて、俺をすげードキドキさせる。

「ったくよぉ。お前今さらよく言うな。 いきなり人のこと殴りやがって。」

俺は、かわいいに急に恥ずかしくなって、プイッとそっぽを向いた。

「うん・・ごめんね」

俺はチラッと横目でを見た。
は下をむいて、悲しそうな顔をしている。


やべー。泣いちまうんじゃねーだろうな?・・・・
もう俺、別に怒ってねーし。
それに、お前のこと、嫌いになったわけじゃねーからなっ

俺はこの気持ちをどう伝えてやったらいいのか、すげー動揺。



はすごく悲しい目で俺を見た。


「痛かったよね・・・ごめんなさい・・・」


の小さくて白い手が俺の頬に伸びて、優しく頬をなでた。


俺の心臓はバクバク言ってる。
あーーーーやっぱ無理・・・これ以上は怒れねーよ・・やっぱ俺はがすげー好きだ。


「こ、今回だけだかんなっ お前許すの。 俺は浮気なんかしてねーしよ。」

「うん。」

へっ かわいい笑顔しやがって・・・

「ねぇ、この警備の任務が終わったら一緒にお祭りに行こうよぉ・・・」

もじもじと下をうつむく姿。

うわーーすげーかわいい・・・もう我慢できねー・・・抱いちまいたい・・・

俺の腕は無意識にの体に触れようとして、肩に触れる前でビクリと止まった。



そうだよ・・・俺、さっき約束しちまったんだ・・・・・
さっきの女との出来事を激しく後悔する。



・・・実はよ・・・先約があんだよ。俺、祭りの案内役しなきゃいけねーんだ。」

「え?」

は少しさびしい顔をした。

「だれ・・・と?」

「俺の担当上忍・・木の葉の祭りは初めてで分からないから、案内してほしいらしい。」

の反応をおそるおそるうかがった。

「シカマルの担当上忍?私、会ったことないなぁ・・・」

「まあな・・・1週間前に木の葉に来たばっかだかんな・・・・」

あまり会わせたくもねーしな・・・・
はたぶん相手が女だって事すら知らねーだろう・・・・

「ねぇ・・・どんな人?アスマみたいな親父?」

「ちげーよ・・・女・・・・」

やっぱ言うしかねーよな・・・こういう場合。

「女かぁ・・・まさか!その人、シカマルのこと好きなんじゃないでしょうね!」

俺はドキリとした。
さっきの女の言葉・・・

(奈良君みたな人 好きよ)

「バカ・・・んな訳ねーだろ・・・・」

「ふうん。」

あいまいな返事に俺は動揺する。
こういう時だけ、は勘が鋭いからな・・・

「ねぇ・・・私も一緒に行く!一緒に案内係りする!いいでしょ?」

きらきらした目。
そんな目で言われちゃー断れねーよ。
それに、ある意味その方が楽か・・・

にどこかで目撃されて、また誤解されるのはめんどくせーし。
しかも、あの上忍も何かんがえてんだかよく分からねーしな。

(奈良君みたいな人 好きよ)

はぁーーーー まいった・・・女ってどうしてこうも扱いずれーんだよ・・・・
意味わかんねーし・・・

どう考えても、あの大人な女が自分を好きだなんて考えらんねー。

まっ 隊を率いる上忍という立場から部下という俺に対して、好意的に思っているって
考えた方がいいんだろう・・・

まったく、誤解するような言い方しやがって・・・めんどくせーなぁもうっ



俺の頭はのことと、さっきの女のことでぐるぐるとせわしなく動いている。

はーーーこういうの、マジめんどくせーーーーーーっ






「シカマル!私も一緒に行っていいの?ねぇったら!」

袖を引っ張られる。

 はっ    とっさに我にかえった。

「べ、別にかまわねーだろ。いいんじゃねーか。」

「やったーーーーぁ」

は俺の腕にギュっとしがみついた。
ったく、人の気も知らねーで、無邪気なやつ・・・・
なかば飽きれながらも、の嬉しそうな笑顔になんだかホッとしちまう。





そのとき・・・





「奈良君・・・お待たせ・・・・」

浴衣に着替えた女が俺たちの前にあらわれた。
いつもの上忍ベスト姿と180度違う。
まさに女の色気が漂っていて、妖艶っつう言葉がぴったりな美しさだ。

俺はその変わりように あっけにとられた。

「あら?彼女と仲直りしたのね?良かったわ。」

女は俺の腕にひっついているに動揺するでもなく、穏やかに笑った。


俺は心底ホッとした。
やっぱり俺を好きっつうのは、同じ隊の人間として好意的に見てくれてるっつう意味だな・・・




「ほら・・、自己紹介しろよ・・・」

俺はいつまで腕にひっついているをこづく。
は呆然とした顔で上忍の顔を見つめていた。

「おいっ こら!」

は、なおも俺の腕にひっついたままだ。
俺は腕を軽く揺さぶる。


くすり。女は笑った。


「はじめまして。奈良君の隊を担当してます。よろしくね。」


「あ・・・どうも・・・・」

は俺の腕で体を半分隠しながら、なぜか無愛想にそう答えた。


「ったく変なやつ。」

挨拶ぐらいまともにしろっつうの・・・俺はため息をついた。


「私、お邪魔かしら?」

「いや、そんなことねーよ。案内するって約束したし。」

「そう?彼女さんは嫌じゃないかしら?」

「い・・・嫌・・・です・・・・」




は?  俺は目が点になる。



目の前で担当上忍の女はくすくすと笑った。




おいおいっ! ・・・お前なぁ(怒)




「お前、何言ってんだっ バカ! 」




俺は目の前の大人の女の対応と、まったく逆の子供じみた対応をするに飽きれた。



「シカマルと2人で行く・・ねぇシカマル・・・」

は俺の腕をひっぱる。

「奈良君、無理ならいいわ・・・一人で見てまわるから。彼女に悪いもの・・・」

優しく微笑む女と、まるでだだっこの子供のような・・・
俺はだんだん腹がたってきた・・・・


・・・いい加減にしろっ!お前、何ガキみてーなこと言ってんだよ?
 一緒に案内係りするって言いだしたのはお前だろ?それが嫌ならお前が一人で行けよっ」


「シカマル・・・・・」

は急におとなしくなる・・・

「分かった・・・3人で行く・・・・・」

むくれた顔・・・


ったく・・・なんなんだよ・・・めんどくせーな。くそっ




女はまたくすくすと笑った。

















シカマルのバカ・・・

この女の人は・・・この人は・・・あの時の女なんだよっ・・・



私の前を歩くシカマルとシカマルの隊の担当上忍の女の人。



そう3日前、土手でシカマルの頬を優しくなでていた女・・・間違いないっ!
それがこの女の人だ・・・
案内係りをシカマルにお願いしたのは、ただシカマルが自分の隊の部下だからって訳じゃない。
この人はシカマルが好きなんだ・・・


私は心臓はバクバクとさせながら、前を歩く2人の背中を見ていた。


なんて綺麗な人。浴衣姿がすごく艶やかで、大人な女の香りがする。


2人は任務の話しや、木の葉に来てからの彼女の話しで盛り上がっているみたい。

後ろを歩く私は、時々話しをふってくるシカマルに

「うん」とか「そうだね」とか返すだけ・・・・


そのうち、シカマルもそんな私のふてくされた対応にあきれたのか、話しさえふってくれなく
なった・・・

だって、その女は私の敵だもんっ 
仲良くなんか出来ないよ!!
シカマルのバカ!どうして分からないの!その人は私とシカマルの仲を知っていて、
壊そうとしてるんだよ!!


私は何も出来ず、ただ、2人の後をテクテクとついていくだけ・・・・


時折見える、シカマルの笑った横顔が私の胸を締め付けた。



背の高いシカマルと大人な色気のある女の人。
きっと、他の人からみたら、似合いのカップルなのかも・・・・

シカマルは同じ年の男の子のように、感情をあらわにして怒ったり笑ったり感情を表に
あらわすような事はしない人。
いつもどこか冷静で、頭が良くて、年齢よりずっと大人びたところがある。

私はいつも きゃーきゃー騒いでて、シカマルの隣でしゃべってるのはいつも私で、シカマルは
そんな私の話をいつも聞く側。
感情むきだしな私の頭をいつも優しくポンポンとたたいて、的確な言葉をかけてくれる。


私はそんなシカマルが大好き。



でも、シカマルはどうなのかな?



やっぱり、おとなしくて、頭もよくて、もの静かな大人の女の方が好きなのかな・・・・





前を歩くシカマルと綺麗で大人な女の人・・・悔しいけどすごく似合っているように見えた。




不安な気持ちでいっぱいになる・・・でも・・・・・


「ポケッとしてて、器用な事なーーんにも出来なくて、見てるとこっちが
 思わず助けてあげたくなっちゃうような所が、シカマルも好きなんじゃない?」


いのの言葉。

そうだよ・・・もっと自信もたなきゃ。
シカマルの彼女は私なんだからっ!!


私はグッとこぶしを握りしめた。



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