3日前、シカマルとケンカした。

「ったく。お前ってマジめんどくせーな!」

それはシカマルに最後に言われた言葉。
私は大粒の涙をこぼした。



そして、シカマルの頬を思いっきり殴って逃げた。




会わす顔ないよね・・・・今日はどうしても会いたいのに。
でも、いまさらどんな顔して会えばいいのよぉ。
でもでもシカマルに会わなきゃ。

だってだって・・・今日は木の葉のお祭りなのよぉ!






「それはマズイわよ・・・・・・」
いのは腕組をして、顔をしかめた。
「やっぱりそう?」
私は3日前の出来事を後悔した。
「だってさ・・・誤解かもしんないんでしょ?」
「う・・・うん。」



ケンカの原因は・・・・・



私はその日、シカマルを目撃した。
心地よい風が吹くシカマルの特等席の土手の上で、
シカマルの隣には私の知らない女の人が座っていて、
眠るシカマルの頬をなぜた。

それはとても自然な光景で、2人はどっから見ても
恋人同士に見えた。

私は驚いて動揺しまくって、その場から逃げた。



夕方、いつもの時間に私が来ないのを心配したシカマル
が私の家を尋ねてきた。

昼間の話しをしたら、シカマルは知らないの一点張り。

「だからお前の見間違いだっつってんだろっ!」

「そんな事ない!あんな所でマヌケな寝顔で爆睡して
 るのシカマル以外にいないでしょーーー!!」

「なんだぁ? マヌケな顔で悪かったな!」

「それはどーでもいいの!だから、女は誰か?って
 聞いてんの!!」

「俺が知るかよ!寝てたんだからよ!」

「なによぉぉぉ!シカマルのばかーーー!!
 浮気者!人でなし!エロマル!バカマル!」



それで冒頭のあのセリフ・・・・言われたら、すごく腹たって・・・




「でも・・・確かにシカマルは寝てたのよね・・・・」
はぁ・・・勢いあまって殴っちゃったのは、やっぱり悪かったかなぁ・・・

「で?どんな女だったのよ?」
いのはちょっと興味津々って感じで私の顔を覗きこんだ。

「大人の女」

「は?」
いのは頭をかしげていたけど・・・・・

一言で言えばそんな感じ。
シカマルより絶対年上で、あのベストを着ていたって事は
上忍なんだろうけど・・・・

「ふうん。まっ どっちにしても、あのシカマルが浮気なんて
 ねぇ・・・・なんだかんだ言っても、あいつはにべた
惚れだしねー・・・」
いのはサラッと言ってのけたけど、私は真っ赤になって
しまった。

「そんな事絶対ないよ!シカマルは私の事なんて、いっつも
 子供扱いでさ!」

「でも、あんた達、キスぐらいしてんでしょ?」

いのは急に真顔で私の顔を見た。

え?

ううううう。痛いところを突かれた・・・・・

私とシカマルはもともと幼馴染ってやつで・・・
でも、私はシカマルが男の子として大好きで、ある時勇気を振り絞って告白した。
「シカマル・・・私、シカマルが好き。私をシカマルの彼女にしてくださいっ」
答えを聞くのが怖くて、うつむいて、私は震えていた。

でもシカマルは一言
「あぁ・・・俺もだから。」
真っ赤な顔でそう言ってくれたの。

その日から私達は確かに恋人ってことになったんだけど・・・・


でも、まだ何の進展もないのよね・・・・・


黙ってしまった私を見ていのは

「なに?まだ何もしてないわけ?」
驚いたーーーって顔してる。

「あいつ・・・本当に奥手っつうか。ばかっつうか。
 大事にしすぎなのよねー・・・のこと・・・」
いのは溜息をついて、ヤレヤレとか言ってる。


はぁ・・・・でも、本当にそうなのかな?
私には、どう見ても、そういう対象に見られて無い
ような気がする。
まだ私が子供だから手を出せないって思ってるっていうか・・・・・

「まっ!私に任せなさい!今日はシカマルをメロメロに
させてやるわよーーーん!」

「は?」

!今日は何の日?」
いのは人差し指を私の目の前に突き立てて、得意気に
笑っている。

「えっと・・・えっと・・・・木の葉のお祭り・・・??」
「その通りーーーーーーーーー!」


そう今日は木の葉のお祭りだもんね。


「それじゃー 準備開始!
 題して!シカマルメロメロ大作戦よぉ!」

いのは片手を空に向けて突き上げて、オーーー!
なんて叫んでる。

「それじゃーお願いします。」

私が静かに言って頭を下げると、

「まっかせなさーーーーい!」
いのは私の両肩を掴んで、奥の部屋へと連れて行った。








「できたよ!・・・目を開けて!」
いのに言われて、私はゆっくりと目をあける。


鏡にうつった私はほんのりと化粧をしていて、長いロング
の髪は綺麗に結われて、一つにまとめられていた。
そして、いのが着せてくれた浴衣は白地に赤や黄色の大きな
花が描かれ、自分でもかなり大人びた印象だ。

いつもの私とは別人・・・・・・

・・・とっても綺麗よ。あんたはもともとかわいいから
 何着ても似合うしねーーー!」
いのは私の両肩をポンポンと叩いて笑ってくれた。

「ありがとう・・・・いの・・・・・」

いのは笑って、

「何言ってんの!私達親友じゃない!さぁこれから
 シカマルを捕まえに行くわよーーん」

「捕まえるって?え?」

「やだ!。あんた知らないの?今日のお祭りの警備の任務をシカマルがやってんのよ!」


そうだったんだ・・・

だってケンカして以来、まともに顔も見てないし・・・
道で会っても、私、ずっと逃げてたしなぁ・・・


「えーーーと時間は?・・・きゃっ もう18時じゃないっ!」


お祭りがはじまる時間は17時・・・
シカマルは今ごろ警備の任務で忙しくしているだろう・・・



「サクラとも待ち合わせしてんだったぁ!急がなくちゃ!」



いのはちょっと待っててねーといって、自分の浴衣を自分で着始めた。
私はボーッとしながら、てきぱきと着替えるいのを見ていた。

「なぁにぃ?ったら、さっきからずーーっと見てるけどぉ・・・
 そんなにいのちゃんが色っぽいわけ?」

ニシシなんて笑ういの。

「え?うん/// いのは綺麗で、女の子らしいなーって思って。みとれちゃったよ。」

「は? へんな、。」

だってさ、自分で浴衣着れちゃうなんて、本当いのってそういうところ女の子らしいよね・・・
私なんて・・女の子らしいことなんて何ひとつ出来ないし・・・
なんの取り柄もないし・・・
シカマルはどうして私なんかが好きなんだろう・・・
ただ幼馴染ってだけで、近すぎる存在だったから?
そんなの嫌。そんなことをすぐに考えちゃう自分もすごく嫌。

なんとなく悲しくなって、うつむいてしまった。


「ねぇ。」


いのは体に帯を巻きつけながら、話しかけてきた。

「なぁに?」

「そういうポケッとしてて、器用な事なーーんにも出来なくて、見てるとこっちが
 思わず助けてあげたくなっちゃうような所が、シカマルも好きなんじゃない?」

「え?」

「安心しなさい。。あんたのそのかわいい笑顔でシカマルー!!って
 いつもみたいに元気に名前を呼んだら、あいつはそれだけで、を許しちゃうに
 決まってんだから!シカマルはに本っ当に弱いからねーー」

「いの・・・」

「いじけてるもかわいいけど、やっぱり笑ってるが一番かわいいって!」


いのはいつだって、私に勇気をくれる・・・友達って簡単な言葉じゃ終われないほど、
いのは私にとって大切な人。
私もいのみたいに綺麗で優しくて、強い女の子になりたいっ


「いの!私、絶対シカマルと仲直りするよっ」

「そうそう!その意気よぉ!」

2人でニシシと笑いあった。











時刻は18時30分。



木の葉のお祭りに向かう途中の T字路でサクラと待ち合わせ。


「遅っそーーい!2人とも!」

サクラは頬を膨らませて、わざと怒った顔をしてみせた。

「ごめーーんサクラぁ。」

「さぁ急ごう!サスケ君の任務が終わる前に捕まえなくちゃっ!」


私も手をひかれ、3人で早足でお祭りへと向かう。


「いの。サスケ君がどこの警備やってるか知ってんの?」

サクラは早歩きをしながら、隣のいのを見た。

「あったり前でしょーー!それぐらい調べておかなきゃ、サスケ君つかまらないわよ!」

「そ、それもそうね・・・」

「サスケ君はあたしがこの色気でメロメロにさせちゃうんだからーー」

いのはくるり背を向けてうなじを見せた。

「いのーーー(怒)サスケ君は私のものよぉぉ!」

「まぁまぁ2人ともーーーっ ほら、お祭りの会場はもうすぐだよ!」


私は火花を散らす2人の間で、だんだんと近づくお囃子の音やちょうちんのやわらかい光を見て
ドキドキしていた。


もうすぐシカマルに会える!!

















「あーーーーーぁ。かったりぃ・・・にしても、なんなんだこの人ごみは・・・くそめんどくせー」


ふぁぁぁ・・・・俺は警備の任務もそこそこに大きなあくびをしていた。


祭りなんてくだらねぇ・・・・人はうじゃうじゃいるし、屋台はどれも長蛇の列だし、
おまけにゆっくり座るところもねー・・・よくこんなとこ来るよな・・・めんどくせー・・・

くそっ また来やがったか・・・・・



「あーーーここから先は進入禁止なんで、戻ってください」



『ちぇっ ここなら人もいなくて2人きりになれると思ってたのによー』
『残念だねvv』



またかよ・・・勘弁してくれ・・くそっ

俺の任務は神社の境内に入ろうとする侵入者を防ぐこと。
神社の階段上でその見張りってわけだ・・・

といっても来るのはさっきから、バカカップルばっかだぜ・・・ったく。

それにしても飽きもせず、次から次へと良く来るもんだな・・・あいつらヤルことしか頭に
ねーのか?・・・はぁ・・・そういう事は他で勝手にやってくれよ・・俺の仕事増やすな
ってぇの・・・・

しかも俺は今、心底機嫌が悪ぃ・・・・


そう3日前、にあらぬ疑いをかけられ、しかも思いっきり頬を殴られた。
しかもそれ以来、は露骨に俺を避けやがって、道で顔を会わせても逃げられる日々。


「だいたい俺が何したっつうんだよ・・くそっ あのバカ女。今度という今度は
 ぜってぇ許さねーからな・・・」






「誰を許さないの?」

「え?」

俺の目の前には、先週から新しく俺の中忍の隊の担当上忍になった女が立っていた。


「気配を消して近寄るのは敵相手だけにしてくれよ」

俺は少しムッとして女の顔を見た。

「あら?奈良君なら気づくと思ったわ。彼女の事が心配で、気配をよむ勘も鈍ってしまって
 たんじゃない?」

女はくすくすと笑った。

「あんたにそんな事言われる筋合いねーな・・・・」

俺はますます不機嫌になる。

「ごめんなさい。気に障ったなら謝るわ・・・・」

薄く微笑むその顔に俺はドキリとした。
俺の気持ちはどうであれ、すげー綺麗だった。


この女は俺よりいくらか年上らしい・・・が・・・その容姿といい、術のレベルの高さといい、
落ち着いた性格といい、大人の女って感じがする。
少なくとも、俺のまわりのアホ女どもにくらべたら、やっぱすげー大人だよな・・・



「なあに?」

女はとてもしなやかに笑った。

「いや、なんでも・・・」

女の妖艶な微笑みは、俺を動揺させる。



「ねぇ・・・奈良君・・・もし今日これから時間があるなら、一緒に行かない?」

女は階段下に見える祭り会場を指さして、微笑んだ。

「悪ぃが、俺は祭りに興味ねーんだ。他あたってくれよ・・・」

なんとなく女と2人で行くのは気がひけた。
ケンカしてるとはいえ、俺にはやっぱがいるし・・・・

「そう・・・残念だわ・・・私、木の葉のお祭りってはじめてで・・・
 ちょっと楽しみだったの。」

そうだった・・・この女は火影の遠い知り合いの娘だかなんだかで、その術の高さをかわれて、
他の里から、わざわざ抜擢してつれてきたってアスマが言ってたな・・・

「ねぇ・・・それじゃー木の葉の案内係りとしてならどう?」

「案内係り?」

「そう・・お祭りの案内係りよ」

少し照れたように笑う女の顔は、いつもより幼く見える。
普段は上忍として大人ぶっていても、こいつも普通の女なんだ・・・
なんとなく、俺はそんな女に親近感を覚えた。

「案内係りねぇ・・・めんどくせーけど、あんたは俺の担当上忍だし・・・断れねーな。」

「ありがとう。」

綺麗な顔でくすくすと笑う。
けど、なんで俺なんだ?
今日の祭りの警備の任務にはアスマやカカシもあたっているはずだ・・・
わざわざなんで俺のとこなんかに来るんだ?
俺には訳がわからなかった。

「はじめに言っとくけどよ・・・俺は人ごみとか苦手だし、あんまし役にはたてねーと思うぜ。
 俺なんかよりアスマとか誘ったほうがいいんじゃねーの」

「私は奈良君がいいわ。奈良君みたいな人、好きよ」

「は?」

「それじゃぁ 奈良君の任務交代時間の19時にここに来るわね」

「あ・・・・あぁ・・・・」


彼女はしなやかに姿を消した。


(好きって・・・ど、どういう意味なんだ?)

俺の心臓はドキドキと音をたてている。
なんかやばい展開?・・・
俺の頭にはの顔が浮かんだ・・・

約束しちまったのまずかったか?いや、は勝手に一人で怒ってやがって、俺と祭りに
行く気なんか無いわけだし・・・それに案内係りとして連れてくだけだしな・・・
これはぜってぇ浮気じゃねーよ・・・


俺は心の中で自分に言い聞かせた。

(奈良君みたいな人、好きよ・・・)

さっきの女の声がこだまする。

つうか・・・それはやっぱ・・まずいだろ・・・・・





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