俺達はずっと黙ったままだった。
今はそれで良いって思った。
何か言われても、俺は今お前に優しい言葉なんて、きっとかけてやれねぇよ。


歩くたびに家が近づく。


なのに俺にはがすげぇ遠い。






胸が痛い・・・

俺達、またもとのようにお互いを好きでいたあの頃に戻れるのか?
・・・俺、お前を信じて、あとどれぐらい待てばいいんだよ?





胸が痛い・・・

どうしてシカマル君といのちゃんの事想うと、こんなにも苦しいの?
幼馴染って、一体どういう関係?どういう感情でお互いを見ているものなの?




出口が見つからない・・・・




胸が痛い。苦しい。


               《記憶さえもどれば!!!》

   《どうして記憶が戻らないの!!!》《どうして記憶がもどらないんだよ!!!》

                 《どうして?》








答えが出ないまま、私は少し前を歩くシカマル君の背中を見ていた。
陽が傾きはじめて、真っ赤になった太陽が、余計に私の胸を締め付ける。




夕日を正面に受けて、影になったシカマル君の大きな背中が少しづつ私から離れていく・・・・・


(行かないで。おいてかないで。)


私はシカマル君の背中を追いかけた。
土手の上の砂利を私の足が蹴るたびに鈍い音がした。


(おいていかないで・・・・・離れていかないで・・・・)


それは、たぶん無意識で・・・・でも、抑えられなくて・・・・
私の手はシカマル君を掴まえたくて、前へと伸ばされる。



そして、私の手は歩くたびに体の横に無防備に揺れていたシカマル君の
右手の長い指先をギュッと握った。




少し冷えたシカマル君の指先が、私の手の中にすっぽりと治まって、体温を上げていく。



心臓がドキドキする。
シカマル君の反応が少し怖い。


でも・・・もうどう思われたっていいよ・・・・私は今、シカマル君と離れたくないのっ!!!










俺の気持ちがに届かない事がもどかしくて、目の前で燃えるように赤くなった太陽
が余計に胸を締め付けた。



どうしてこうなっちまったんだよ・・・・


そんな弱音をまた吐きたくなる。
めんどくせぇ・・・一言呟きたくなる。



その時、ふわりとの柔らかい匂いがした。
一瞬思考が止まった。


俺の右手の指をギュッと握りしめたの横顔が見えた。

少し緊張して、頬に力が入っているのが分かる。
俺の顔も見れずに、はそれでもギュッと俺の指を握りしめて離さなかった。


(なんで?///////)


お前がどういう感情を持って、俺の指を掴んでいるのか、正直分かんねぇ。

でも、もうそんな事どうでもいいんだよ・・・・

俺の指先からお前の熱が伝わって、その熱が俺の体中をぐるぐると駆け巡って、
俺の体は熱くなる。


その手を離さないで欲しい。
俺はお前が足りなすぎて、この夕日に押し潰されそうなんだ。
すげぇ不安なんだ。



もうどう思われたっていい・・・・俺は今、お前と離れたくねぇよ!!!









できるなら、私が必死の想いで握りしめたその指先に気づかないフリをして
欲しかった。
ずっと触れさせていて欲しかった。

でも、シカマル君の手はスルリと私の手から抜けてしまった。
私の手のひらから、シカマル君の体温もすり抜けて無くなった。


その瞬間、泣きたくなった。


突然いなくなったと思ったら、こんな事をしてしまう私のことをきっとシカマル君は
軽蔑したよね。

でも、今はどうしようもなかったの・・・
このままシカマル君に置いていかれてしまいそうで、私の心が必死でシカマル君を呼ぶの。



《・・・・一人ぼっちにしないで・・・・》



でも・・・・



スルリと私の手の中を抜け出たシカマル君の手は、私の手に優しく触れて、そして
ギュッと握り締められた。

シカマル君のしなやかで、でも少しゴツゴツした男らしい手が私の手を包み込むように
握ってくれた。

手のひらだけにしか感じなかった体温。
今は私の手すべてがシカマル君の心地よい温かさで包まれている。



《私の気持ち・・・分かってくれたの?》


嘘みたい・・・・
手だけじゃないよ・・・心までギュッとあったかくなった。


すっごく嬉しい・・・ずっとずっとこのままでいたいよ。


それからは、必死でシカマル君の歩幅にあわせて歩いた。
隣で必死でちょうど良い距離感を保とうとする。


だって・・・その手・・・離されちゃったら嫌だから・・・・・・
家に帰るまで、そのまま握っていて欲しいから・・・・



なのに・・・・



「あっ」


意地悪な小石でバランスが崩れたその時、シカマル君はギュッと手をひいてくれた。


「こけんなよっ ドジ」


チラリと見た意地悪な目


「ふーんだっ//////」


だけど・・・やっぱりシカマル君はずっと手を握って歩いてくれた。


「あぁそうか」

急に私を見てニヤリと笑われた。

「なぁに?」

「お前がチビだって事忘れてたぜ」

「なにそれ!!」

必死でついていった歩幅が急に縮まる。
シカマル君・・・・私の歩幅に合わせてくれたんだ。

「あ・・・ありがと///////」

「別に。またコケられたらめんどくせぇからよっ」

バカにしたような言葉。
でも・・・でもね、それでも私の手を離さないシカマル君の手はやっぱり温かくて・・・・・
心臓がドキドキする。




私もシカマル君もお互いに手を離さなかった。




何も言わず、ただ、ずっと前だけ見て手を繋いで歩いた。
その手のぬくもりだけが心の痛みを和らげてくれた。





少し緊張して汗ばむお互いの手・・・・




シカマル君の優しさが私の心を掴もうとする。
シカマル君と一緒にいたい。側にいて欲しい・・・・
どんなにからかわれても、そっけなくされても、シカマル君が側にいるだけで、
なんだかホッとするの。


ギュッと手を強く握ったら、シカマル君が気づいて
ギュッと握り返される。


シカマル君の優しさは、時にすごく意地悪だ。
だってそんな事されたら・・・もしかしてシカマル君も?なんて、私は自分に都合の良い事を
考えちゃうよ。
お互い顔も合わせずに、前見ながら歩いてるだけなのに。


なのに・・・・


手から伝わる想いが声をあげる。


《好き》《好き》《好き》


だけど私の心にもう一つ響いてくる別の声。


《好きだ》《好きだ》《好きだ》




どうして?



その声を感じるたびに、私はまるで、いけない事してるみたいに、心臓がドキドキしたり、
痛くなったりを繰り返す。



《このままでいたい》意地悪だけど優しくて、私そんなシカマル君が好き。


なのに・・・・押し寄せるもう一つの私の感情。


《このままでいいの?》私達仲良しの幼馴染でしょ?サスケ君への気持ちはどうするの?




もどかしい感情。
幼馴染と恋人・・・シカマル君の存在が私の中で揺ら揺らする。


サスケ君を想う自分の気持ちと、シカマル君を想う自分の気持ちは全く違う気がする。


両方好きだけど・・・・・
それはまるで対極にいるように、まったく違う気持ちで好き。

でも、どちらが本当の恋なんだろう・・・・・・・・



隣で歩くシカマル君をそっと見上げる。


シカマル君にとって私ってなに?
やっぱりただの手のかかる幼馴染?

だったらいのちゃんは?



頭の中がゴチャゴチャする。













見慣れた坂道。
視界の先にシカマル君の家が見えてきた。



あぁ・・・もう・・・この時間が終わっちゃう。
シカマル君と一緒に歩いた時間・・・




玄関について、ゆっくりと手を離した。


手に残るシカマル君の体温が外気で冷やされて消されていく。
あぁ・・・ただそれだけの事がこんなにも寂しいよ・・・・


「遅くなっちっまったな・・・・・」

「う・・・ん・・・」


うまく言葉も繋がらなくて、どうしていいか分からなくて、玄関を開けるまでの間の時間が
すごく長く感じた。





ガチャリ




扉が開くと同時にシカママが走りよってきた。




!」


「は・・・はい」


「良かった。無事だったのね?心配したのよ」

ギュッと身体を抱きしめられた。



「無事に見つかったんだから、大袈裟に言うなよっ母ちゃん。」

シカマル君は はぁ とため息をついて、靴を脱いで玄関にあがった。
その後ろ姿はいつものそっけないシカマル君と同じだ。
やっぱりさっき私が感じたシカマル君の想いはただの私の勘違いだったんだ・・・

そう思った。


「何よ!朝っぱらから、がいないって真っ青になってすっ飛んできたの、あんたでしょ!!」


え?
シカママの言葉にとっさに反応してしまう。


「よ、余計な事言うなよっ!!!////////」


の事になると、冷静でいられなくなっちゃうんだからあんたは・・・まったくっ
 がいなくなって一番動揺してたのはあんたでしょ。シカマル!」


ねぇ?なんて顔を覗かれて・・・私はまたドキドキしてしまう。
私また誤解しちゃうっ////////


「うるせぇ!!そんなんじゃねぇよ!!いつも一言多いんだよ母ちゃんっ」



ドカドカとあきらかに不機嫌な足音を残して、シカマル君は足早に部屋へと入っていった。




くすくす



シカママが笑ったのにつられて私も笑ってしまった。
本当シカマル君ってわかんない。


「あの・・・おばさん・・・今日はごめんなさい」

私はそっと呟いた。

「いいの。無事で何より。さっ 一緒に夕飯の支度手伝って?」

優しい笑顔。
シカママもどこにいたとは聞かなかった。

どうしてみんなこんなに私に優しくしてくれるんだろう・・・・・・



勝手な行動で、みんなに迷惑をかけてしまった事を本気で後悔した。



『お前か?・・・そうだな・・・いつでも周りに迷惑をかけてたな』


サスケ君の言っていた私の姿は本当みたい・・・・・


ーーー」

キッチンからシカママの声。


「あ、はい!今行きます!」












俺は母ちゃんとが台所に立つ姿をソファーに座りながらボーッと眺めていた。



記憶がある頃のは、毎晩俺の家に来ていて、そんな光景は見慣れているはずなのに・・・・
それでも俺の目にうつる二人の後姿がすげぇ俺の心を揺さぶる。

俺の手に残るの柔らかい小さな手の感触。
その懐かしい、かわいい感触が俺の気持ちを突き動かす。


母ちゃんがいなかったら、お前を後ろから抱きしめちまいたい。


細い肩を抱いて、が振り返ったら・・・もう一度お前のかわいい手を握って、
そしたら、お前がいつもみたく俺に微笑んで・・・

かわいい笑顔が俺の頭に浮かんでくる。

そしたら、かわいい唇が少し舌ったらずの幼い声で『シカマル////』
そう俺を呼ぶだろう・・・



あの頃のお前に会いたい。
早くお前の記憶を戻したい。


そんで俺・・・・


「キス・・してぇ・・・な・・・・」


もちろん小声で、俺はそんな願望も口に出して言ってみたりする。

もちろんや母ちゃんには聞こえやしねぇ・・・


だってよ・・・


さっき、お前が俺の手を先に握ってくれたのは・・・もしかして、お前俺のこと少しでも想ってくれた
からなんじゃねぇのか?
もしかして、俺のこと・・・・



そんな淡い期待をしちまう自分がすげぇ情けねぇけど・・・でも今俺はお前に一歩近づけた気がして、
すげぇ嬉しいんだよ・・・・







ジリジリジリ・・・・・・・・




家の電話がなる。
突然現実に引き戻されたて、俺はなんだかイラついた。

《何言ってやがる!の記憶はまだ戻っちゃいねぇんだぞ!バカ》

現実の俺の声が聞こえる気がした。



「はぁ・・・めんどくせぇ・・・誰だよ?」



ソファーに座って休んで、しかも俺は今最高に幸せな空想をしてたっつうのによ・・・・・・




ジリジリジリ・・・・・・・・



なおも休みなく電話は鳴り響いた。


(どうせロクな電話じゃねぇよ・・・・)


「あぁ・・・無視無視・・・」


俺はソファーに横になろうとした。



「ちょっと!シカマル!電話に出てちょうだい!!母ちゃんもも夕飯の準備で
 忙しいのよ!!」


「・・・・・・めんどくせぇ・・・・・」


「何してんの!!早く!!」


母ちゃんの怒鳴り声が一層ひどくなった。
こうなったらもう逆らえねぇのが、奈良家の男の宿命ってやつだ・・・・・


「シカマル!!!」

「はいはい・・・・」

「はい は一回!それより早くでなさい!!」


「分かったよっ」





ジリジリジリ・・・・・・・



つかれきった体を起こして、足をひきづるように電話に出た。

(ったく!!誰だよ!)


「はい 奈良です。」


メチャクチャ無愛想な声で、対応する。






『あ?シカマル?』

女の声だ・・・でも、いのじゃねぇ。

「お前、誰・・・?」



『もう!サクラよサクラ!!』



「あ?なんでお前が俺の家にかけてくんの?何の用だよ?」


サクラが俺の家に電話をかけてくるのは、すげぇめずらしい事だった。
あいつは7班で俺ら10班とは全然面識ねぇし・・・・
アカデミーで同じクラスだったとはいえ、どっちかっつうと別に仲が良かった訳でもねぇし・・・・


『用事があるからかけてんでしょ?なんなのよ!アンタ!感じ悪ーーーーっ!!』


サクラは超不機嫌で声を出した。


「あー 悪かった悪かった。んで?何だよ?」


いのと同じで怒らすとめんどくせぇ女だからな、サクラも・・・・・


『うん・・・ちょっとの事でね・・・・』




その言葉にドキリとした。



『今・・・いい?』


「あぁ。」





サクラの話しを電話口から聞きながら、俺は心臓がずっと高鳴りっぱなしだった。



サクラは俺の知らなかった今日一日のの行動を頼んでもいねぇのに、事細かに
説明した。


「なんだよ・・・それ・・・・」


聞きたくねぇ・・・そんな話。


「本当なの・・・もしかしたら、は・・・・」



あぁ・・・もうやめてくれ・・・
ほんと・・・おせっかいだな・・・女ってのは・・・・
マジで・・・俺は知りたくなかったっつうの・・・
そんな事・・・・


「だから・・・俺にどうしろってんだよ・・」


もう聞きたくねぇって・・・・・


『シカマル・・・あんたバカね!・・・めんどくせぇなんて言ってる場合じゃないってことよっ』





分かってる・・・分かってるよ・・・だけど俺は・・・・・
認めたくねぇ・・・・




・・・お前が俺に内緒でサスケに会いに行ってたなんてよ・・・・・





『ねぇ・・・シカマル。こんな事言うのは酷かもしれないけど・・・アンタ、ちゃんと
 掴まえておかなきゃ取り返しのつかない事になるわよ・・・・あんただって分かってるでしょ?
 サスケ君に勝てる訳ないんだから・・・・』



《サスケに勝てる訳ねぇ・・・・・・・》



サクラの声がもう一人の俺の声になって聞こえる。



《もうダメだな・・・所詮お前はの記憶が無くなればただの幼馴染なんだよっ》
《たとえ記憶がなくたってお前にがまた惚れるなんてそんな都合のいい事思ってんじゃねぇだろうなっ》


《お前じゃサスケに勝てねぇ・・・勝てる訳ねぇだろうが》







「うるせぇ・・・ほっとけよ。・・・・・」


心の声が俺を切り裂いて、胸のあたりがすげぇ痛てぇ。


『え?何?シカマル・・・』

受話器の奥でサクラの声がする。
サクラが悪いわけじゃねぇ。それは完全に俺の八つ当たりだって分かってる。
でも、俺は無償に腹がたって止められなかった。



「ほっとけっつってんだよっ めんどくせぇ」



すげぇ嫌な言い方したって分かってる。



『何よ!心配してやったんじゃない!!』


「マジうぜぇよ・・・・・お前」


何キレてんだよ・・・俺。
サクラのせいじゃねぇ・・・・・
サクラが悪い訳じゃねぇ・・・・・


「悪ぃけど・・・もう切るぜ・・・・」


『ちょっとシカマル!ねぇ・・・』





ガチャリ




勝手に電話を切っちまった・・・・
きっと明日はサクラにどやされるな・・・・

けど・・・もうどうだっていいや。めんどくせぇ・・・・・


もう・・・・なにも考えたくねぇ・・・・・・





台所では 母ちゃんとが楽しそうに笑いながら、夕飯を作っている後ろ姿が見える。




・・・・・」



どうしようもねぇような黒い塊みてぇな感情が俺の腹に溜まっていく気がした。





すげぇ・・・腹が立つ。
何に?
にか?

いや違う・・・記憶を無くしたの心を引き戻せない俺自身にだ・・・・・・・


くそっ・・・・・


何やってんだよ・・・俺はっ!!


手ぇつないだぐれぇで勝手に浮かれて。


本当・・・バカみてぇ・・・・


の心にいるのはサスケだったなんてよ・・・まさか・・・あの時の不安が
現実になっちまうなんてよ・・・・・


俺はバカだ・・・・


こんなに側にいて、なんでの気持ちを取り戻すことができねぇんだよっ!!
なんであいつがサスケなんかを・・・

どうして・・・俺じゃダメなんだよ・・・・

なんで・・・なんでなんだよ・・・・・・・・



お前、俺のこと少しでも想ってくれたんじゃねぇのか?




じゃあなんで帰り道に手なんか握ってくんだよ?




なんであんな事・・・・・『何回だってシカマルに恋するよ』・・・・





お前・・・・なんで言ったんだよっ






腹が立ってんのか、悲しいのか、もうどっちなんだかも分からねぇよ・・・
なんかもう・・・すげぇ全部がめんどくせぇ・・・・





もう何もかもどうでもいい・・・・・・





ソファーにボスッと音をたてて、仰向けに寝転んだ。


蛍光灯のチラチラする明かりがうざってぇ・・・・

目の上を覆うように腕を置いて、俺は はぁ とため息をついた。


「もう・・・どうしていいか分かんねぇ・・・・」


小声で呟いた俺の言葉・・・・






時折聞こえる台所からの母ちゃんとの笑い声が耳の奥で反響する。




真っ暗に遮られた視界。
頭の中に笑顔のの顔が浮かんでは消える。



思い出したくなんかねぇのに・・・・・



スカートをヒラヒラさせて、『シカマルーー早く早くーーー』

自分を呼ぶ、かわいい笑顔。
何度も何度もリピートを繰り返す。


あの時までは俺だけの為の笑顔だった・・・・・・・・・




消えろ・・・・もうお前の笑顔なんか見たくねぇ・・・・・
なのに・・なんでだ?


ふさいだ視界の真っ暗闇の中に浮かんでくるのはお前の顔ばかりだっ



『シカマル/////』

部屋の隅にチョコンと座った姿。

俺だけを映すまっすぐな瞳。

その顔で見つめられたら、俺の理性は軽々とやぶられて、俺はお前にキスしたくてたまらなくなる。


お前とのキスはいつだって少し震えてて、いい加減慣れろよ っていつも思ってた。
お前がいつもそんなだから、俺だって緊張しちまうだろ?



だけど・・・俺はそんなお前が本当はすげぇかわいかった。







頭の中が記憶を失う前のの姿や声でいっぱいになる。

言葉ではなかなか言ってやれなかったけどよ。でも、俺はいつだってお前だけを見てきた。
初めはただの幼馴染で、当たり前のようにお前を守ってきた。
けど、気づいた時には、お前しかもう俺には見えてなかったんだよ。




お前が俺を想うよりずっと前から、俺はお前が好きだった・・・・
今だって、俺にはお前だけだ・・・・





「渡せるかよっ・・・サスケなんかに・・・」





手にギュッと力が入る。



でも・・・・俺は今お前に何をすりゃいいんだよ?








《もう手遅れだ。お前がサスケに勝てるわけねぇ》
《あきらめろよ・・・の記憶はモドラネェ・・・・の気持ちも戻ってなんてこねぇんだよ・・・・》







心の声が聞こえる。














『シカマル、シカマル、ご飯よ!!』


耳の遠くで母ちゃんが俺を呼ぶ声がした。
心の声が一瞬消えた。


(うるせぇ・・・今それどこじゃねぇ・・・・・・)


『シカマルったら、あんた寝てるの?』


(寝てなんかねぇよ・・・・)



『シカマル!シカマル!!』


(今は動く気にもなれねぇんだよ)


俺はぼんやりとしながら、相変らず腕で視界を遮ったまま、ソファーに寝ていた。


『困った子ね、、ほっといていいわよっ 先に食べちゃいましょ!』


母ちゃんのため息まじりの声が聞こえた。


(あぁその方がいいや・・・飯なんざ食う気にもなれねぇ・・・めんどくせぇ)







「シカマル君、ねぇどうしたの?」

ふわりと香る匂い。
それだけで俺はが側に来たのが分かる。


「なんでもねぇよ・・・・」


寝たまま答えた。



「ねぇ・・・ご飯食べよ?今日、おだんごしか食べてないでしょ?」


少し遠慮がちに小声で言う


「お前先食えば・・・俺は・・・いい。」

「で、でも・・・・」

「いいから・・・疲れたからほっとけよっ・・・・」


すげぇ今冷たい言い方したなぁ・・・俺。
でも、今はどうしようもねぇ・・・・・。


が俺の目の前にしゃがんだのが分かった。


これ以上、今俺に近づいてほしくねぇ・・・
優しい言葉とか聞きたくねぇし・・・・
お前の顔見たくねぇし・・・・

だから俺は相変らず目の上に置いた腕をどけなかった。


「むこう行けよ・・・俺のことはほっとけって・・・・」


「・・・・私の・・・・せい?」


の声が震えてる。


「別に・・・・」


頼むから、今は向こう行ってくれ・・・・・


「私のせいだよね?・・・」

そんな怯えたような声で言うな・・・・

「ちげぇよ・・・・」

「嘘・・・私のせいで疲れさせちゃったから・・・シカマル君怒ってるんでしょ?」

「・・・・・・」

もう言い返すのもめんどくせぇ・・・・・


「ごめんね・・・ごめんなさい・・・」


泣き出しそうなのが、か細い声でわかる。
バカッ・・・ なんで今泣くんだよっ


「なんでお前が謝んの?」

「だって・・・私のせいだもんっ 」


ずりぃよ お前・・・俺に涙なんか見せんなっ


「私の記憶がいつまでも戻らないから・・・だからシカマル君にも迷惑かけて・・・」


記憶が戻らないから・・・違う・・・それは違う。
本当は、お前のせいなんかじゃねぇっ
お前の心を取り戻せない・・・全部俺のせいだ。


「そうじゃねぇってっ」


お前が泣くから、俺は思わず起き上がっちまったじゃねぇか。
今、俺はお前の顔なんか見たくねぇのにっ・・・・
いつだってお前はそうだ・・・俺がお前に勝てねぇの知ってて・・・ずりぃよ・・・本当




《あぁ・・・お前の事なんか、いっそ嫌いになれたら楽なのによ・・・・》




「泣くなバーカ」


お前の柔らかい頬に綺麗な涙が落ちたら、俺はやっぱりその涙をぬぐってやりたくなる。
ほってなんておけねぇんだよ・・・・
俺は昔からお前の涙に弱い。



「シ、シカマル君・・・・一緒にご飯・・・食べよ・・・・」



指先で涙をぬぐってやったら、は無理して俺にむかって笑った。



かわいくて、繊細で、優しいお前の笑顔・・・・・
俺やっぱすげぇ好きだ・・・・が好きだ・・・・



だからお前を責めることなんて、俺には・・・・できねぇ・・・・



「ったく・・・お前って本当わがままだよな?・・・・」


「食べよっ・・・・」


「分かったよ・・・・」


えへへ なんて笑うなよ。
俺のことなんてなんとも思ってねぇくせに・・・
前と同じ笑顔で笑うなよ。

分かってるはずの俺の心臓が高鳴るから・・・・俺一人バカみてぇだろ?・・・・











「ふあぁーーーーあっ」


シカマル君は大きなあくびをして、Tシャツの下からお腹の辺りをガリガリとかきながら、
夕飯ののった食卓へと歩いていく。


さっきは、あまりにそっけないシカマル君の態度になんだかすごく悲しくなって泣いてしまった。


だって、なんとなく不機嫌にさせてしまったその理由が私のせいだって分かるから・・・
そして、シカマル君に突き放されると、私はすごく不安になってしまうの・・・・

サスケ君にされるより、シカマル君に突き放される方がなんでだろう・・・ずっと辛い。


でも・・・・


優しい指先は私の頬をなぞって、涙をぬぐってくれた・・・・


あなたはどうしてそんなに優しいの?


私はその度にドキドキしちゃう。
冷たい目の奥の優しい光を感じてしまう。








心の奥で感じていた気持ち・・・
本当は・・・・・私が好きなのは・・・














「あら、どうしたの?まで・・・ボーッとしちゃって」


「い、いえ・・・なんでもないんです。」


シカママに私の心の奥を見透かされてしまったんじゃないかって、心臓がドキドキした。


私がシカマル君の幼馴染だから、シカマル君のママやパパもこんなにも優しくして
くれてる・・・


それなのに私の今の気持ちは、幼馴染の感情を越えてしまっているかもしれない・・・


だけどそんな気持ち・・・・・シカママ達には絶対に気づかれたくないって思った。


だってそれが許される気持ちなのかも今の私には分からないから・・・・






「シカマルも!シャキッとしなさいっ シャキッと!!」

シカママは眉間にシワを寄せて、シカマル君の顔を見た。
隣でシカマル君もボーッとしていたみたい。


「してるよ・・・・」

力のない返事。

(シカマル君らしくない・・・めんどくさいというより、元気ないって感じに見える。
 どうして?)




「そういえば、さっきの電話は誰からだったの?」


シカママはご飯を食べながら、別にふつうにそう言ったのに。


「・・・・誰でもいいだろ・・・・・」


シカマル君の言葉には何故だか少しトゲがあった。


「・・・なぁに?母ちゃんに隠し事?」

「別に隠してねぇし・・・・ダチからだよっ・・・・」

シカマル君はぶっきらぼうにそう答えた。


それでなんとなくシカマル君の不機嫌の理由がその電話だったんじゃないかって思った。
でも一体誰からの???
すっごく気になる。


「ね、ねぇシカマル君・・・・友達ってさぁ・・・私の知ってる・・・子?」


すごく嫌な予感がした。
シカマル君が無言でチラリと私を見る。



「・・いや・・違う・・・・・・」













その後、どんな話しをしたか、私の頭にはちっとも入ってこなくって・・・・
後からシカパパが帰ってきて、一緒に夕飯に加わったりしたけど・・・・
だけど、相変らずシカマル君はずっと、うわの空で・・・




「ごちそうさん・・・・」

「シカマル君・・あの・・・・」

立ち上がったシカマル君に『どうしたの?』って聞きたかったけど・・・・



「風呂入ってくるわ・・・・」


シカマル君は私の言葉に気づかずに、歩いて行ってしまった。





「まったく。相変らず無愛想な子でごめんね 

シカママは小声で私にそう言ってくれたけど・・・
違うよシカママ。
シカマル君は無愛想なんかじゃないっ

「そんな事ないです。シカマル君はすっごく優しいです。」


私が混乱しちゃった時も、ちゃんと抱きしめてくれたよ?
私が一人が怖いと思った時も、ちゃんと手を離さないでいてくれたよ?



席を立ったら泣きたくなった。


また胸が苦しい。


シカマル君はいつだって何も言わなくたって私の気持ちをちゃんと分かって大事にして
くれるのに、私はシカマル君の気持ち、全然分かってあげれなくて・・・・
フラフラして迷惑ばかりかけて・・・・
なんでこんなにダメなんだろう・・・


サスケ君とシカマル君。

恋する相手と幼馴染。

どっちかも分からずに、選べずにフラフラしてばかりいるダメな私・・・・・・

本当・・・最低。



!どうしたの?」


シカママの言葉が聞こえたけど、私は聞こえないフリをして2階の部屋に駆け上がった。
だってシカママやパパの前でこんな気持ちで泣けないよ。








「なぁ・・・前よりこじれてねぇか?あの2人。」

シカパパは隣に座って、の事をじっと見つめていたシカママに話しかけた。

「大丈夫。きっとうまく行くわよっ」

シカママは余裕の顔で笑った。

「そうか?」

シカパパはどちらかというと、半信半疑でそんな妻の顔を見ている。

「大丈夫」

振り向いて微笑む優しい笑顔。
シカパパは何故だか昔を思い出して、顔を赤くした。
そして、なぜだか妙に納得した。

(母ちゃんがそう言うんだったら大丈夫だろう・・・あの二人)









風呂につかりながら、ボーッと頭をめぐらす。


(をサスケに渡すつもりなんかねぇ・・・・・)
(だったらどうやって、の気持ちを俺に向けさせたらいいんだよ?・・・・・)
(このまま記憶がもどらなかったら・・・はこのままサスケを?・・・・・)



考えてもどうしたらいいのかなんて答えは、一向に見つからねぇ・・・・
戦略なら頭つかえば何通りだって思い浮かぶってのに・・・



がシカマル以外の男に恋しちまう可能性だってあるぜ?そしたらお前どうすんの?』


あの時のキバの台詞を思い出す。




『俺はを信じてるってばよっ!なぁシカマル!』


ナルトはあの時自信たっぷりの余裕の笑顔でそう言って笑ったな・・・・




「分かってる・・・俺だって・・・あいつを信じてぇよ・・・でも今回ばっかりは・・・
 もうどうしていいか分かんねぇ・・・・」






お湯を両手ですくって、顔にバシャッとかけた。






湯が目にしみてジンジンする。
視界がぼやけて、風呂場のタイルが歪んでみえた。



ポチャンポチャンと俺の髪から水滴が湯船に落ちる。


何故だかあの時のナルトの透き通った青い瞳を思い出した。


「ナルト・・・お前なら、それでもを信じて待つかよ?・・・・・」


返事など返ってくるはずもねぇが、俺は誰もいない浴室でぽつりと呟いた。


「へっ・・・本当弱ぇな俺・・・情けねぇ・・・・・・」







風呂から上がったら母ちゃんに呼ばれた。




「シカマル電話よ」






「またかよっ・・・・・・・・」


もしかして、サクラか?
俺は心底落ち込んで、受話器をとった。


「もしもし・・・・・」

『あ!シカマル〜』

「いの・・・・・」


なんかこいつの声聞くと妙に安心するな。
普段は口悪いし、うるさいし、おまけにおせっかいなやつだけど、仲間が困っていたり、
落ち込んでる時は本気で仲間を心配してくれる。

いのは本当にいいやつだ。



『で?明日はあんみつ奢ってくれるんだったわよね〜シカマル』



「あ?」



『忘れたとは言わせないわよ!』



「あぁ思い出したぜ・・・・」
(今朝の出来事がずいぶん前の事に感じた)


『私を心配させた罰だからね!ちゃんと奢ってもらうわよ!』


「あぁ分かってるってっ 本当ちゃっかりしてるぜっ まったく」


受話器から聞こえてくる能天気ないのの声を聞いてたら、自然に笑えた。


『甘栗甘で待ち合わせね。ちゃんとと一緒に来るのよっ!』


(・・・名前を聞くだけで無駄に心臓が高鳴った。今はなんかの話題は辛れぇ・・・・)


『シカマル・・・あんたどうかした?』


受話器の向こうで、いのがもう俺の異変を察知した。


「別に・・・なんもねぇよ・・・・」


いのにいちいち心配させるのも、なんか嫌だったし・・・・


『あっそ・・・・・・・・』


きっといのは俺とに何かあったと確信しただろう・・・・
でもいのは・・・何も聞かねぇ。
俺が言いずらい事なんだと分かったんだろう・・・・・




『それじゃ明日楽しみにしてるわよ!』



いのの話しの途中で、が2階からおりてきた。


「あぁ分かった。・・・・・」


は階段の途中で、受話器を握る俺をジッと見つめている。


(なんでそんな見んだよ・・・・・)


俺は受話器を反対の手に持ち替えて、プイッとに背をむけた。











寝る前にシカマル君に一言だけ謝りたかった。
今日は本当にごめんね。
その一言だけ伝えたかった。

でも・・・・

受話器を握って、少し笑ったりしているシカマル君の顔を見たら、その電話の相手が誰なのかすごく気になって・・・

だって、あんなに元気のなかったシカマル君を笑顔にできちゃう相手って一体誰?

だから、シカマル君の口からその相手の名前が出た時、心臓がズキンと痛んだ。



「んじゃ明日な・・・いの・・・あぁ・・・おやすみ」




やっぱり・・・いのちゃんなんだ・・・・・














チンッ


受話器を置いたら、手短に明日の用件をに話して、そのままソファーに直行して寝ちまうつもりだった。
今はと何話していいかも分からねぇし・・・・



でも



「シカマル君・・・・電話・・・・いのちゃんからだったんだね」


から話しかけられて俺は焦った。


「あ?あぁ・・・そう。」


「・・・夜はおやすみって電話するの?・・」


「は?」

意味分かんねぇし・・・・・
なんか俯き加減では泣きそうな顔に見えるし・・・・

(一体なんなんだよっ!!)

そういう顔をされたら、また俺はどうしてやったらいいのか分からねぇ・・・・

「いのちゃんとは特別に仲良しなんだね・・・」

なんだよっ は目も合わせずそう言った。 

「別にっ いのと俺はそんな関係じゃねぇよ・・・・」

「そう?」


の不機嫌そうな顔の意味がわからねぇ・・・なんなんだ?
お前はサスケなんだろ?・・・・


「いや・・・だから・・・俺といのはただの幼馴染で・・・・・」


それでも、すげぇしどろもどろで言い訳とかしてる俺・・・本当イケテねぇヨ。


「幼馴染・・・・・・」


はそれっきり黙っちまって・・・・俺は何か悪いことでも言ったのかと、本当に
心配になった。


「あ、明日は甘栗甘に集合だとよ。お前といのに俺があんみつ奢る約束しちまったからな」

それを言うのが精一杯だった。

「シカマル君といのちゃんと3人で?」

はじっと俺を見ていた。


「チョウジも呼んでんだろ?あいつ食べ物だったら何でも目がねぇからよっ」
「うん・・・・分かった。それじゃ・・・明日」



はくるりと俺に背をむける。
なんかそのまま離れて眠るのがすげぇ嫌だった。
このまま2階の部屋なんかに行かせたくねぇ・・・・・・・





心の準備もしてねぇくせに、俺の口が勝手にを呼び止めた。


「なぁに?」


振り返ったの顔。

(なんだよ・・・なんでお前そんな悲しそうな顔すんだよっ まるで俺といのとの関係を嫉妬してるみてぇ)


それは俺の都合のいい解釈だって分かってるのに、そんな事に期待しちまう俺は本当にバカだよな。

俺はほとんど条件反射での腕をひっぱった。



「お前に言ってねぇからよ・・・・」

「え?な、なに?////////」

俺の鼻先がの頬に触れるぐらいに顔をグイッと近づける。
その瞬間、が真っ赤になったのが分かった。

《なんだよ、その顔っ!!》

まるで俺を男として完全に意識してるっつうような顔しやがって。
そんな顔されたら、俺は・・・・


「おやすみ・・・・・・・」


唇がお前の耳たぶに少しだけ触れる。
ビクリッとの体が反応したのがわかった。

・・・俺を好きになれよ・・・》

動揺したお前がかわいかったから・・・
サスケなんかに渡したくねぇから・・・
だから俺はきっとこんな事しちまうんだ。


は耳まで赤くなった。


「お、おやすみなさい・・・・シカマル君」


小声でそれだけ言って、は階段を駆け上がっていった。
2階の部屋へと消えるの小さな背中。



「バカ・・・いつもだったら、その後キスすんだぜ・・・・・・・・」



記憶から思い出されるの柔らかい唇の感触、思わず掴んだ腕の柔らかさ、
ふんわりする匂い・・・・全部全部・・・・忘れられねぇ・・・・・・。

壁にもたれて、はぁ とため息をつく。
行き場のねぇ気持ちがぐるぐる巡って、体の芯が熱くなる。


考えるなと制止しようとしても俺の頭にどうしようもない欲求がうずまく。


この階段をのぼったら、がいる。
俺が上にあがっても、お前はきっとなんの疑いもなく俺を部屋に入れるだろう・・・・


そしたら俺は訳の分からないまま俺を見つめているお前に無理やりでもキスして、華奢な体を抱えて
ベットに押し倒す。
お前が抵抗したって止めてやんねぇ。そのまま乱暴に服を脱がして、震えて怯えていたって、
お前を強引にでも抱いてやるよ。

そしたらお前は俺だけのものだ。誰にも渡さねぇっ!!!


《でも・・・・・・最後に浮かぶのはの泣き顔だけだ・・・》




はぁはぁ・・・・・


気が付いたら、壁にもたれたまま、俺の呼吸は勝手にあがって、背中にびっしょり汗をかいていた。
頭がクラクラする。


「違う・・・そんなんじゃねぇよ・・・俺はそんな事でお前を取り戻したいんじゃねぇ・・・・」


分かってる。分かってんだよ。そんな事して何になる・・・・そんな事したって、の気持ちは俺の
ものにはならねぇ。俺はの体だけが欲しい訳じゃねぇ。


《心が欲しいんだよ!!》

















部屋にもどったら、心臓がやけにドキドキしている自分に気づいた。
顔もまだ熱い。

いきなり顔を近づけられて、思わずキスされるんじゃないかって、すっごくビックリして
私はギュッと目を閉じた。

耳元であんな優しい声で『おやすみ』なんて・・・
なんかシカマル君らしくなくて・・・だからすっごく恥ずかしくて・・・・


いのちゃんからの電話の事も、幼馴染という言葉も、気になって気になって仕方なかったのに・・・
あの一瞬ですべてを忘れてしまった。



私をシカマル君のベットにボンッと倒れこむ。



「どうして今日に限って、こんなに優しくするの・・・/////////」



私がシカマル君を一人の男の子として『好き』かもしれないって知ったら、シカマル君は
眉間にシワをよせて、『何言ってんだ?めんどくせぇ』


そう言うかな・・・・・


それとも・・・・・


シカマル君の枕にギュッと顔を埋めたら、安心する匂いが体に染み渡る。



『俺も好きだ』



そう言ってくれるのかな・・・・・・・






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