「明日は七夕だね」

私はキバの部屋でジュースを飲みながら、目の前のキバに向かって話し掛けた。

「あぁ・・・まあな・・・・」

キバは赤丸とじゃれながら、そっけなく答える。

「あーーー明日、短冊に何お願いしよっかなーー」

ちらっとキバを見る。

「・・・・さぁ・・・・・」

キバはちょっと不機嫌そうにそう言った。


明日はアカデミーで卒業生も集められて、七夕がある日。
でも、もう一つ大事なイベントが!!!

「明日ってさ・・・確か七夕より大事なことあったよねー」

キバはしばし無言・・・・・

「そうだったか?」

しれっとして答えるキバ。


もうっ まったまたーーー!!覚えてないフリなんかしちゃってさー
私が忘れるとでも思ってるわけ?
かわいいなーキバったら!




「明日はキバの誕生日!!・・・・だよね?」

私はニシシと笑ってそう言った。




「お前知ってて、もったいつけんなよっ 」

キバは少し顔を赤くしながら、怒ったフリをして私を見た。


そりゃ彼氏の誕生日だもん・・・しかも七夕・・・わかりやすい日。
こんな日を忘れる人なんていないわよね?


「で?キバは何が欲しいわけ?」

私はドキドキしながらキバの顔を覗きこむ。

「なんだよっ なんかくれんのか?」

キバは横目で私を見る。

「そりゃー大事な彼氏の誕生日だもーーん。あげるに決まってるでしょーー!
 んで?何が欲しいの?」

「何って・・・お前がくれるもんならなんでも嬉しいって・・・」

キバは、抱きかかえた赤丸に な?赤丸 とか話しかけながらうつむいている。
赤丸はキバの腕の中で気持ちよさそうに クーーン と鳴いた。

「うーーん。なんでもっていうのが一番困るパターンだよね・・・
 だって、キバの欲しいものってよく分からないんだもんっ」

私はキバの誕生日のプレゼントに頭を悩ませていた。
ずいぶん前から悩んで悩んで、結局何がいいのかわからなくて、前日を迎えてしまった
ってわけ・・・・

「そりゃーよ。本当に欲しいもんならある・・・けど・・・・」

「けど?」

「もらえねーだろうなぁ・・・・」

キバは はぁ とかため息をついている。

「そんなに欲しいわけ?」

「あぁ・・・何より欲しい・・・・」

「た、高いの?それって?」

私は少しドキドキした。
だって、大好きなキバにあげる物だから、そりゃ本人の希望の物をあげたいよ。
で、でも私お金あんまり持ってないし・・・

「高い?うーーん。たぶんものすげー高価なもんかな・・・・」

「・・・・・・キバぁ・・・・・そんなの無理ぃ・・・・」

がっくりしてしまった。
貯金しとけば良かったよぉ・・・・

「やっぱ・・・無理・・・だよな?」

「うん。だってお金かかるのはやっぱり無理。でもさ、何なの?その高価なものって・・・・」

「うーーーーん。」

キバは赤丸の頭をなでながら、眉をしかめて、困った顔をしていた。

「言うだけ、言ってみて?」

私が顔を覗くと・・・・
キバはチラッと私を見た。

「なに?」

「マジで聞きたい?お前・・・」

「うん!!」

そんなにもったいつけられたら、絶対聞きたいに決まってるじゃないっ!!

キバはなぜかニシシと笑った。

「そっか・・・んじゃ教えてやってもいいけどよぉ・・・・」

チラリと見る目がなんとなく悪だくみって顔・・・・

「聞くからには、それなりに俺の要望に答えてもらわねーとな」

「は?」






「俺さ・・・が欲しい!!」

「へ?」
                      

                    ガバッ!!



「きゃーーーーーーーーーっ」

キバが私を押し倒して、上にのっかってきた。

「こ、高価な物だって言ったじゃないよーーーー!!」

私は焦って叫ぶ。

「これ以上高価な物なんかあるかよ!いくら金出したって買えるもんじゃ
 ねーしよ。誕生日前にちょこっと前座ってことで・・・」

キバはにんまり笑った。

「何それ!・・・もうっ やだーーーーーーーーーーーっ」

私は出来るだけ抵抗してジタバタと動き回る。

「あーーー無理無理。俺にかなうわけねーだろ?なめんなよっ」

本当・・・無理みたい・・・キバは男で私は女。
おまけにキバのバカ力は相当で、全然びくともしませんっ

 「・・・誕生日ぐらい俺の言う事聞けよな・・・」

ニシシと笑いながら、私の手首を床におしつけて、キバは楽しそうに笑っている。

「ちょ、ちょっとちょっと!キバ!冗談やめてよっ!」

「冗談?」

キバは眉をしかめて、ちょっと怒った顔をした。

「お前、俺が今までどんだけ我慢してきたか分かってっか?付き合って半年経つっつうのに
 まだキスしかさせてもらってねーんだぞっ」

「だ・だって・・・それ以上はまだ・・その・・早いでしょ?」

上から見下ろされて、ギュっと押し付けられて、身動きとれなくて、なんか怖いーーーーー!!
いつものキバじゃないよぉぉぉ


「俺は今までよく我慢した!自分を褒めてやりてーよ!」

何得意になってんのよっ

「だけどな、もう!限界きてんだよっ 俺の横でかわいい顔してんじゃねー!」

「してないっ してないっ !!」

私はかろうじて動く顔を左右にふった。

「だからぁ!その顔が誘ってるっつうんだよっ!!」




うぅぅぅ・・・キバのバカァ・・・・・・誘ってないもん・・・・




キバが私の手首を握る手に力が入る。
キバの荒い息遣いを間近に感じる。
顔が近づく。


ゆっくりとキスされた。


いつもと同じで優しいキス。
ふんわりいつものキバのフードからキバの匂いがした。

でも、体勢が体勢だけに、なんか襲われてるみたいで怖いぃぃぃ!!

「キバぁ・・・やめてよぉ・・・・」

「あーーーやべーーー。俺マジになってきた! 誕生日まで待てねーぞ・・・今、ヤっていい?」

「やだっ!」

私は体を硬直させて、目をギュっとつぶった。


こういうこと、キバとしたくない訳じゃない・・・けど、なんかいきなりで、
しかも強引で、全然私の気持ちとか考えてくれてなくて・・・

そういうのすっごく悲しい・・・・

もっとちゃんと2人で見詰め合って、優しくしてほしいよ・・・・




うっ・・・・なんか涙でる・・・・・




「あ・・・・・・」

手首を握り締めたキバの手が パッ と離れた。


私はゆっくりとキバを見つめる。


「あ・・・・えっと・・・・その・・・」

キバは私のおなかをまたいだ格好のまま、言葉を詰まらせて、急に焦りだした。

「キバ・・・どいて・・・。重い。」

私は涙を必死でこらえながら、突然乱暴なことをしたキバが許せなくて、睨んだ。

「あぁ・・・分かった・・・」

そっと私の体の上からのいて、キバは私の腕を引いて、ゆっくりと起き上がらせてくれた。


「あーーーっと・・・、ごめん。悪かった・・・泣くとは思わなかったし・・・」

キバはとても罰が悪そうに、頭をかきながらつぶやく。
私はまだ何も言わず、ただじっとキバを見つめていた。


「ごめんな・・・ごめん・・はじめは、冗談のつもりで・・・でもよ・・・
 があんまりかわいいから・・なんか本気になっちまって・・・」

「キバのバカ・・・・」

なんだかまだ体が震えてる。
だって、さっきのキバはなんか怖かったもん。

「悪かった・・・謝るから・・・・ごめんな・・・・」



それから後はしばらく無言。
きまづい雰囲気。
2人で座ったまま向き合って、ただただお互い言葉も無く床を見つめていた。


「私・・・ああいう事するキバは嫌いだから・・・・・」

なんとなく、裏切られたような気持ちになって、私はちょっと冷たく
言ってしまった。

「嫌いって・・・言うなよ・・・・」

キバは隣でブスッとした顔をした。

「だって、イヤだもん。嫌いだよ・・・あんなキバ・・・・」

言いすぎてるって分かってるけど・・・でもなんか許せないの。
キバはギロッと怖い顔をして私を見た。

「お前、俺の誕生日に好きなものくれんじゃなかったのかよ!」

「だからって、突然こんなことするなんてヒドイよ!」

「んじゃよ・・・俺はずっとこのままなのか?」

「このままって?」

「お前に何もできねーのかっつうことだよ」

「・・・・だって・・・・・・」

そういう意味じゃないけどさ・・・・

「だったらお前からしてくれんの?」

キバは私の顔をチラリと見た。

「す、するわけないでしょ!!」

「んじゃ、どーーーーすんだよっ!進展なしか!!俺を殺す気かよっお前は!」

「殺すって・・・」

またまたオーバーな・・・
でも、キバは突然とってもマジメな顔で私のアゴを片手でキュッとつまんだ。


「好きな女が隣にいて、欲情しねー男の方がおかしいだろ?」

なんかキバが急に男の顔をした。やだ・・・なんか怖い。

「キバってさ、さっきからそれしか頭に無いの?なんか嫌!不潔!最低!」

だってさ、なんかもう体が目当てって感じするもんっ

「うるせーんだよっ お前!すげームカツク!」

何?今度は逆ギレ?

「ムカツクって何よ!!」

「だってよ!お前って本当わがままで、自分勝手で、俺の気持ちなんて全然考えてねーじゃねーかよっ」

「何それ!キバの方こそ、威張りん坊で、自分勝手で、私の気持ちなんて全然考えてないじゃないっ」

「かっわいくねーなっ 本当によぉ!ヒナタみてーに、ちったー女らしく出来ねーのかよっ テメーはっ!」







「ヒナタ・・・みたいに・・・・・」



ヒドイ・・・なんでヒナタのこと出すの・・・
そりゃぁヒナタは女らしくて、大人しくて、人の事いつも心配してくれて・・・私なんか全然
かなわないよ・・・
だからって、どうしてそんな事言うの?
私がいつもキバとヒナタが一緒にいて不安に思ってること、キバ全然分かってないじゃない・・・


悔しくて悲しくて涙がボロボロ出た。


「え? ? いや・・あれだ・・今の取り消す・・・ヒナタみてーってその、深い意味ねーぞ。」


目の前でキバがあたふたしてるのが、ぼやけて見える。



?」


「・・・・きら・・・い


「え?何?」

うつむいた私の顔を覗き込むキバ。

もう・・・絶対・・・今度という今度は・・・許せない!!





ボコーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ






「痛てぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」


キバの頬に私の拳がクリーンヒットした。
でっかいキバの体が飛び乗るほどの威力。
自分でも驚いた。

でも、私だって傷ついたんだからね!!


「もう知らない!キバなんか大ッ嫌い!バカ!」


私は足元で心配そうに クーーン と鳴いた赤丸を抱きかかえて、廊下を走り去る。


!てっめーーーーーっ 待て!どこ行く気だよ!赤丸返せよっ!」


キバは相当怒った顔で頬をおさえながら追いかけてきた。


「もう帰る!私にこんなひどい事したから、キバの大事な赤丸はさらっていくからね!」


乱暴に靴をはいて、玄関先で大喧嘩!!


「な!なにぃ!」

「いつもいつも赤丸と一緒でさっ キバはずるいよ!私を傷つけた罰なんだから、
 一人になって反省しろっ!」

私は赤丸を抱きかかえたまま、べーーーーーっと舌を出した。


!てめーー!おいっ赤丸帰って来いっ!」

キバは私を追いかけて来て、玄関で赤丸に手招きした。


「赤丸行かないでっ」

私は赤丸をギュッと抱きしめた。



「バーカ。俺と赤丸が何年一緒にいると思ってやがんだよっ お前、本気で赤丸が俺を見捨てて、
 お前のところに行くとでも思ってんのか?」


へへん と得意気に笑うキバ。



でも・・・・・・



赤丸は べーーーー と舌を出した。










「嘘だろ?赤丸・・・・」

キバはすっごく驚いたって顔をして、その場に立ち尽くした。





「残念でした!やっぱり赤丸もキバが悪いと思ってくれてんのよっ 赤丸は私が
 大切に育てるからっ じゃーね!キバばいばい!」

なんだか途方にくれたって顔をしているキバがかわいそうにも思ったけど、
私は赤丸を抱いて、そのまま走って帰った。

キバは追ってこなかった・・・

たぶん赤丸が私のところに来ちゃったのが、よっぽどショックだったんだろうね。

















その夜。
夕飯の時間に・・・・


「あら?・・・なんで赤丸ちゃんがいるの?キバくんは?」

母親は驚いたって顔で私と赤丸を見た。

「いいのいいの。キバが悪いことしたから、その罰よ!・・・これに懲りて
 ちょっとは反省すりゃいいのよ・・・キバのバカ犬」

母親は あきれた なんて一言言った。

「キバ君、きっとさびしがってるわよ・・・だって赤丸ちゃんはキバ君の分身みたいな
 ものでしょ?2人で一つじゃない。」

私は赤丸を見た。
赤丸は少しさびしそうな顔で私を見上げた。

「キバ君、きっと一人で落ち込んでるわ。」



部屋にもどって、赤丸を抱き上げる。

「だって・・・キバが悪いんだもん・・・でも・・・こんなことして私も悪いよね・・・
 キバ・・今ごろどうしてるかな?」


クーーン


赤丸もキバを想ってなのか、さびしそうに鳴いた。





















俺はあれから、ずっと部屋にこもって考えていた。

「なんだよっ のやつ・・・なにも殴ることねーって話しだろ?」

さっき拳で思いっきり殴られたところがまた痛んだ。

でも・・・・・

の体・・・震えてたな・・・本当は強引にあんなことした俺が怖かったんだ・・・
なのに・・・俺は・・・・

でもよぉ・・・俺だって限界だったんだ・・・
が好きだから・・だから・・・

「それによ・・なんで赤丸・・・俺から離れて行っちまったんだ?」

俺は膝を抱えた。


一人っきりで過ごすのは何年ぶりだ?
いつも俺の隣には赤丸がいた。
一人の部屋がやけにさびしく感じる。

「一人で反省しろか・・・・」

さっきに言われた言葉が頭をよぎった。

確かに、今日の俺はちょっと強引過ぎた。それは認める・・・
2回も泣かせちまったわけだし・・・
けどよ・・を好きだっていうこの気持ちは嘘じゃねーし。
もうキスだけじゃ、俺は物足りねーんだよ・・・
でもよ・・やっぱヒナタのこと言ったのはマズかったよな・・・
・・傷ついたって顔してたしな・・・


いつもは赤丸とじゃれているうちに、悩みなんてもんは勝手に吹っ飛んでしまっていた。
だから深く考えるとかしたこと無かった気がする。

一人になってはじめて、さっきのの怒っている顔や泣いている顔が俺の頭に浮かんでは
消えて、その裏にあるの気持ちが俺の心にズキズキと伝わってくる気がした。

そうだよな・・・もともとは俺の誕生日にがプレゼントをくれるって、あんなに
張り切ってくれてたんだよな・・・

のかわいい笑顔が浮かんだ・・・

俺はの気持ちを踏みにじっちまったのか・・・・

・・・・俺は本気でお前のことが好きなんだぜ・・・」

夜、赤丸のいないベットに横になりながら、俺は天井を見上げて眠れなかった。















夜になって、赤丸と一緒にベットにもぐりこむ。


やっぱり勝手なことしちゃったかな?赤丸いなくてキバさびしいかな・・・

「ねぇ・・赤丸・・・私明日キバに謝ろうかな・・・」

赤丸は私の隣にちょこんと横になりながら私をそっと見た。

そして・・・・




ボンッ




「え?」

赤丸は突然キバに変化した。

私のベットの隣に赤丸が変化したキバが現れた。

「キ、キバ?・・・じゃない・・・赤丸?」

キバに変化した赤丸が優しく笑って私の頭をなでた。


そっか、赤丸はキバと私が仲直りして欲しいんだね・・・・・
だから、言葉に出来ないぶん、こうやって頭をなでてくれてるんだ・・・


でも・・・・

目の前にいるのは赤丸だって分かってはいるんだけど、やっぱりキバにしか見えなくて、
そのキバの優しい瞳に私はドキドキした。

「明日・・ちゃんと謝れるかな・・私・・・」

キバ(赤丸)がにこりと微笑んだ。
やっぱいキバはかっこいいなぁ・・・

キバが私を求めるのは本気で好きだからなんだよね・・・

「キバ・・・大好きだよ・・・・」

私はキバ(赤丸)に抱きついて眠った。











次の日


キバの誕生日そして七夕。
今日はアカデミーへ通う子供達のために、大きな笹をたててあげる任務と称して、
ひさしぶりにみんなでアカデミーに集合がかかっていた。


私は赤丸を抱きながら、アカデミーへと向かった。


懐かしい顔が勢ぞろいしている。



「お、はよ・・・う・・・ちゃん」

「あっ ヒナタ・・・おはよ」

昨日のキバの言葉が気になって、ヒナタの顔をまともに見られない私。

「あ・・れ?赤丸・・・・」

ヒナタは不思議そうな顔で私の抱く赤丸を見た。

「うん。そうなの・・・今日キバに返すんだ・・・ね?赤丸?」

キャンッ

赤丸は元気よく腕の中でほえた。


その時、キバの姿が見えた。


ナルトやシカマルと一緒になにやら話しをしていた。


(ど、どうしよう・・・いざキバの顔を見たら、なんだか話しかけずらい・・・)

赤丸を抱く手に力が入る。
赤丸はそんな私を心配そうに見上げた。













「お前さ、お前さ、どうしたんだってばよ?その頬。」

ナルトが赤くなった俺の頬をみながら、しつこく聞いてくる。

「うるせーぞ。関係ねーだろーが・・・・」

俺がナルトを振りはらおうとしたら、シカマルがため息。

「まぁ理由はだいたい察しがつくけどな・・・どうせに殴られたんだろ?」

(ギクッ 相変わらずするどいやつ・・・・)

「だーーーーーーーーーははは キバってば相変わらずダセーな!お前、に勝ったためしねーじゃんよぉ」

「だからうるせーっつってんだろうがっ」

「しかも、ちゃっかり赤丸取られてるしなっ」

シカマルはふふんと鼻で笑った。

「あっ 本当だ」

ナルトは遠くに見えるの姿を発見して、また がははははは とバカ笑いした。

「お前ら、まじで殺すぞっ」

「やれるもんならやってみろってんだよっ に勝てねーくせしてよぉ」

「もういい加減にやめとけよっ ナルト」

そう言いつつもシカマルも苦笑いしてやがる

(くっそーーーーー俺様をなめやがって!!)

「上等だ!お前らっ 俺はこれからに赤丸を奪い返しに行くところなんだからなっ 
 俺の有志をよーく見とけっ」

「やめとけよーキバ。また殴られるのがオチだからよ」

ニシシと笑うナルト

「そうそう。どうせ勝ち目ねーんだから、めんどくせーことすんなっつうの。」



(お前らーーーーーーーーー!!完全に頭きた!!)




俺はずかずかとに近寄る。


















(あ、あれ?キバがこっちに来る・・・ど、どうしよう・・・・)

私の心臓がドキドキと音をたてた。

(きっとキバはごめん。って謝ってくれるだろう・・・そしたら、私こそごめんって言うんだ・・・)

何度も何度も心の中で復習する。




「おいっ !」

突然、キバが怒ったような声で私を見下ろした。

「へ?」

キバはきっと昨日のことを謝ってくれると思っていたので、すっごくびっくりした。


キャンキャンッ


私の腕の中で赤丸も不満の声をあげた。

「んだよ?赤丸!おまえ、どっちの見方なんだよっ」

キバが私と赤丸を睨んだ。

!返せよなっ赤丸!」

キバは私の肩をグッと掴んだ。
すごく力が入っていたので、私はとっさに声をあげた。

「痛っ」

「あ・・・・・・・」

キバは パッ と手を離す。


なんだか2人してそのまま無言になった。












(謝りたいけど・・・キバはまだ私のこと許してくれてないんだ・・・)

私は怒ったキバの顔を見るのが怖くて、下をむいた。
心臓がドキドキと音をたてている。



(やべー。俺、今日は謝るつもりだったのによぉ。ついついナルトとシカマルに挑発されて、また
 乱暴なことしちまったじゃねーかよ・・・どうすんだよ・・・)

俺におびえて、下をむいたまま震えているに、俺は何も出来ずに立ち尽くした。
俺の心臓はドキドキと音をたてている。












「よーーーーーしっ みんな揃ってるかぁ!!」


突然イルカ先生の声が響き渡った。




その場にいるアカデミー卒業生と現役生徒達が一斉に声の方へと振り返る。




「今日はみんな知っての通り、七夕だ!これから短冊を各自1枚づつ配るから、おのおので笹につけてくれっ
 なお、笹はアカデミー生の分は卒業生が手伝って立ててやるようにっ いいな!」


『はーーーーーーい』




イルカ先生の声でみんながぞろぞろと動きだす。


私はまだその場に立ち尽くしていた。


・・・・」

キバの声が頭のうえでして、キバの手が私へと伸びてきたのが分かった。
もしかして、私叩かれるのかなー
昨日、キバのこと拳で殴っちゃったし・・・・
私はうつむいたまま体を硬直させた。




でも


「こらっ!キバ!サボってないでっ あんたも手伝うのよ!!」

遠くから、紅先生の声。


「分かったよっ うるせーな!今行く!」

私に伸ばされたキバの手は急にひっこんで、キバはそのまま先生の方へと走っていって
しまった。
結局、赤丸は私の腕の中に残された。
赤丸は くーーーん と鳴いた。
私はなんだか緊張の糸がほぐれて、その場でへにゃへにゃとしゃがんでしまった。


去っていくキバの背中。


(キバぁ・・・やっぱり私のこと許してくれないの?もう私のことなんて嫌いなの?)














んだよ、を抱きしめて謝ろうと思った矢先に紅の声。

でも、とにかく任務を終わらせてから、ゆっくり謝った方が良さそうだ・・・
どっちみち、こんなところでじゃ外野がうるさくてかなわねーよな・・・

俺はさっきのおびえて下を向いたままのの姿を思い出して胸がズキズキと痛んだ。

それから--------最後まで俺の胸に飛び込んでこなかった赤丸の姿を
さびしく思った。


やっぱ、赤丸も俺に反省しろっ って言いたいってことか?・・・・



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