「あのバカ。どこにいんだよっ ったく・・・・」

シカマルはキョロキョロと辺りを見渡す。

入り口付近にはたくさんの人。
どう見ても、そこにの気配を感じることは出来なかった。

シカマルはさらに奥へと進んでいく。


奥に行くにしたがって、シカパパの言う通り、あんなに群がっていた人はポツリポツリと少なくなり、
最後は人っ子一人いない状態になった。
それでも、ぶどう園はまだまだ奥まで続いているようで、絡まるように重なった枝がまるで永遠
に続くかのような錯覚をおこさせた。

今はもう遠くに人の声がかすかに聞こえる程度で、辺りは小鳥のさえずりぐらいしか聞こえない。
シカマルはいったんその場で止まり、目を閉じて、何やら印を結んで、意識を集中させている。
耳にチャクラを集めて、遠くのかすかな音まで探っているのだ。
その時、シカマルの耳にかすかにの声が届いた。


「見つけたぜっ」


シカマルはまた更に奥へと走り出す。
その速さは先ほどの非では無い。
今まで以上にシカマルは急いだ。


「神隠し」


人がいなくなるということ事態が、神隠しとかそんな訳の分からない状態で起こるとはシカマルも思っていない。
そこには明らかに、その人物を永久に隠してしまう『誰か』が存在しているはずだ。
その存在が実際にいるいないは分からない。でも、もしもを考えた場合、その存在にを近づけさせるわけにはいかない。

(あのバカなら、おいしいぶどうが向こうにあるから一緒に行こう とか かわいいお嬢さんにだけサービスでたくさん
 ぶどうをあげるよ とか うまい言葉一つで誰にでも警戒なしに着いて行っちまうんじゃねーか?)

「いくらあいつでも、そこまでガキじゃねーか」

を探して走りながらも、シカマルは色々と心配事を勝手に妄想していた。
そして、それはあり得ないと妙に納得して安心してみたりする。
でもすぐにまた良からぬ妄想がはじまった。

(ちょっと気分が優れないから、むこうの自分の家まで一緒に来て、病院に連絡して欲しい・・・)

その言葉なら間違いなく、あのお人良しは相手に着いて行く!

「・・・まったくお前はどこまで心配させやがるんだよっ ったく、めんどくせーやつっ」

シカマルは走りながら、の気配をうかがう。


次の瞬間、が近くにいることを察知して、シカマルは急に足を止めた。



少し遠くに、が一生懸命ぶどうの木と格闘している姿が見えた。

シカマルはに気づかれないように気配を消して、ゆっくりとに近づいた。
あまりに懸命に走ったお蔭で、シカマルの息は上がっていた。
でも、目の前に心配していたの姿を発見できて、少し安心する。


はぁ・・・・


シカマルは木陰に身を隠しながら、に絶対気づかれないように小さく息を吐いた。



「シカマルのバカっ・・・絶対大きくて綺麗でおいしいの採ってやるんだから・・・」


シカマルの心配をよそに、は予想以上に元気で、しかもシカマルの事をいまだ怒っている様子で、
一人ぷりぷりしながら、懸命に枝の間のぶどうを取ろうとしていた。

しかし、借りたハサミが少し錆びている事と、が採りたがっているぶどうが、枝と枝の
間にあるせいなのか、なかなかうまく茎を切ることが出来ないらしく、は小さい背を一所懸命
伸ばしながら、うーーーんと唸っていた。

「何やってんだよ・・・あのバカ」

シカマルは遠くでその光景を見ながら、手伝ってやりたくてウズウズしていた。


その瞬間、


「痛いっ」

はハサミをすべらせて、指先を切ってしまったらしい。


シカマルはその光景にドキリとした。
今度は嘘でもなんでもなく、本当にの指先は切れてしまったらしい。
はさっきまで握っていたハサミを下へ落として、自分の指先を口にくわえている。


思わず駆け寄ろうとしたシカマルだったが、のつぶやきで、そんな自分の体を制止した。


「なんでいつもこうなんだろう・・・私、シカマルがいなきゃ一人で何も出来ないのかな・・・
 そんなの・・・もう嫌・・・・・」

小さな声で呟いた

その言葉の意味がよく分からなかった。
でも、自分一人でやれない事が、にとって、すごく悔しい事なんだという事だけはわかった。
だからシカマルはあえての側に行かずに、その場でじっとを見つめていた。


「自分で採って、それでシカマルに一人前の女の子として認めてもらうんだからっ!!
 妹みたいとか子供だとか、もう絶対言わせないんだからっ!!」


シカマルはドキリとした。


いつもドジばかりするに、冗談で『妹だからしょうがねーな。』とか 『いつまでたってもガキだなぁ』
とか、ついつい心にも無いことを言ってしまっていた。


でも、それはあくまで冗談で・・・


シカマルは本気でをガキだとか思っている訳じゃない・・・
本心はそんながかわいくて仕方ないのだ。
そして、そんなが好きなのだから・・・・


は落としたハサミをもう一度掴んで、もう一度狙いをつけたぶどうを採ろうと背伸びをした。


「よいしょっ・・・うううん・」

眉間にシワを寄せて、苦しそうなの顔。

「きゃっ」

あまりに背伸びしすぎて、今度はバランスを崩してコケタ。


(かーーっ・・・あいつ正真正銘の天然だな・・・っつうか見てるこっちがたまんねーっつうのっ!!)


やっぱり手伝ってやろうか?そう思った時、
がゆっくりと立ち上がるのが見えた。その目は涙ぐんでいる。


「もう・・・こんなんだから、私はシカマルに女の子扱いしてもらえないんじゃないっ!!
 どうして私ってこんなにドジなの・・・」

足についた泥をはらいながら、は ぐすっ と、鼻をすすった。

(バカ・・・こんぐらいで何泣いてんだよっ・・・)

しかも・・・女扱いって・・・・

「いつもしてやってるつもりだぜ・・・俺は・・・」

シカマルは小声で呟やいた。

「っつうか・・俺にはお前しか女に見えてねーっつうの・・・お前が天然で気づいてねーだけなんだよっ」

頭をガリガリと掻く。


そんなシカマルに気づきもしないで、は再びぶどうと格闘しはじめた。



「ったく・・・世話やかせやがってっ・・・・」



まだ頑張るを見て、シカマルはそっと印を結ぶ。



(忍法 影真似の術!!)



ゆっくりと音も出さずに、シカマルの影が背を向いているの影とつながった。





が必死で伸ばしていた手が妙にすんなりと動いて、入り組んだ枝の間を上手にくぐり、
お目当てのぶどうの茎を器用に切った。
そして、そのぶどうが傷つかないように、まわりの枝も必要最低限のみ切り落とす事に成功した。

すると、もう片方のの手に、まるで計算したかのように、ぶどうがストンと落ちてきた。


「きゃーーーーvv やったーーーー/////」


は手に落ちたぶどうを見て、思わず大きな声をあげた。

「かわいい私のぶどうちゃん/////」

そして静かに優しくぶどうにキスをした。




そんなの嬉しそうな姿がシカマルの目に飛び込んできた。


「アホ/////」




シカマルがホッとしたのもつかの間、はクルリと踵を返して、走りだす。
もちろん、シカマルにこのぶどうを自慢するために一目散でシカマルの待つ、
入り口近くの椅子まで走って行くつもりなのだろう・・・・


(やべーぞ。)


シカマルは焦った。
実際、自分はのこんな近くにいて、のぶどうを採る手伝いまでして
しまっている。

でも、本当の事を知ったら、はきっと怒るだろう・・・

「私だけでとりたかったんだよっ!!」

それでは、のプライドを傷つけてしまう。


シカマルは慌てて、チャクラを足に集中させて、ぶどう園の端からに気づかれないように
走って、を待ち伏せする事にした。


在る程度まで戻ったシカマルは タンッ と地面を蹴って、また体をが走ってくるだろう方向に
向きなおして、あたかも、入り口から来たかのように、かったるそうな演技までして歩きだした。



案の定、が息を切らせて走ってくる姿が見えた。



「あ!シカマル!!」

はシカマルの姿を見つけると、すごく嬉しそうな顔でますます急いで、シカマルのところに
走ってくる。


「よぉっ?」

シカマルは自分でも、かなりわざとらしかったか?と心配するほどの作り笑顔をして、片手をあげた。




「見て見て!シカマル、これ!!」

手にぶどうを掲げて、シカマルに走り寄ろうとしたは・・・木の根につまづいて・・・


ズザザーーーンッ


威勢のいい音をたてて、シカマルの目の前でコケタ。

シカマルの足元に、無残に土埃をかぶった、ぶどうが転がってきた。



あ・・・あのなぁ・・・・・・・



シカマルは額を押さえる。

さっきまでの俺の苦労はどうなるんだよっ!
お前に気づかれないように、このぶどうを採らせてやった苦労と、ここまで走って帰ってきて、
明らかに寒い笑顔まで作ってやったこの俺の努力が・・・・・


「お前なぁ・・・・」


とっさに出てしまった自分の呟きを後悔した。


上半身を起こしたは唇をかみ締めて、また涙目になっている。


シカマルは足元に転がってきたぶどうを拾い上げた。


「あぁ・・・これはなかなかイケてるな?洗えばまだ食えるんじゃねーか?うん。食える。食えるぞっ。」

自分なりの精一杯のフォローをしたつもりだった。


でも、はまたポロポロと泣き出した。


「嘘つき。本当は バカなやつ って思ってるんでしょ?こんなに時間かけて採って帰ってきたと思ったら、
 コケやがって って・・・・」

「思ってねーよ」

「また嘘ついた! いつも私のこと バカだって言うくせにっ!!」

「言ってっけど、思ってねーよ」

「シカマル・・・意味不明・・・」

「うるせー」



シカマルはしゃがんだまま泣いているの前に屈んだ。



「お前は頑張ったから、バカじゃねー。」

頭を優しく撫でてやる。

「手ぇ見せてみな」

「え?」

の手をとって、シカマルは自分の顔に近づける。

「頑張ったなっ これ、あとで手当てしてやっから・・・・・」


その手の薬指は、さっきぶどうを採ろうとして切ってしまった傷が残っていた。
そのまま手を引いて、シカマルはを立たせてやる。


「頑張った褒美に、めんどくせーけど俺が最高のぶどう採ってやるよ」

シカマルは

「これ大事に持ってろよ?」

土埃にまみれた、さっきのぶどうをにそっと手渡すと、一点に歩み寄った。

そして、無言でプチンとぶどうを一房切り落とした。


「ほらよっ お前にやる。」


の手の中の、埃のついたぶどうを大事そうに受け取ってから、シカマルは切り落としたばかりの
ぶどうをの両手の中に置いた。



キラキラと光る粒の揃ったおいしそうなぶどう。



「シカマルってすごい////ぶどう狩りの天才だねvv」

「うれしくねぇよソレ・・・・」



けれど、

「おいしそう////ありがとうシカマル。」

とても嬉しそうにキラキラと輝くように微笑んだ。
その顔があまりにかわいくて、シカマルはすごくドキドキした。




「ねぇ・・・ここで一緒に食べよっ////」

は少し頬を赤らめて言った。

「ここ・・・で?」

「あっ でも、おじさま待ってるかな?」

心配そうな顔をした
でも、シカマルの心は決まっていた。


「大丈夫だろ?今ごろは休憩室で寝てるって」


周りには誰もいない。
柔らかい風がぶどうの葉を揺らす音だけが聞こえる静かな場所。

があんまりかわいくて、シカマルもやっぱり2人きりで過ごしたくて・・・
『親父悪ぃな!』
心の中でそう呟いていた。



2人でリュックから敷物を出して、せーので広げた。



ぶどうの枝から青空が見えて、枝の隙間から優しい陽の光が降り注いでいる。

シカマルが採ってくれた光り輝くぶどうと、近くにあった水道で洗ってはみたものの、半分は
つぶれてしまったの採ったぶどう・・・


でも、どちらもおいしかった。


「甘いねvvv」

「あぁ・・・甘いなっ」

この場所には、なんだか2人を残しては誰もいないような気がして、隣でニコニコとぶどうを食べる
にドキドキしながらも、シカマルはなんだかとても居心地が良く、安心した気持ちになるのを感じていた。


「シカマル・・・さっきは・・・・ありがとう」

「あ?なにが?」

突然、が赤い顔でそう呟いたから、シカマルはびっくりして隣のの顔を覗きこんだ。

「さっき・・・・って?」

「あのぶどう・・・本当はシカマルが手伝ってくれたんでしょ?」


え?なんでバレたんだ?


シカマルは絶対にに気づかれていない自信があったので、内心すごく驚いた。
でも、いつものように顔には出さずに、眉間にシワを寄せて答えた。


「そんなん知るかよ。俺はずっと入り口のベンチにいたんだからな。」

チラリとを見る。
は嬉しそうな顔でくすくすと笑った。


「嘘つき」

「な、なんだよっ!!」

「だって・・・・どうして私が指を切ったことをシカマルが知ってるの?」



げっ!!!


他のやつが相手なら、絶対にこんなヘマはしないという自身がある。
IQ200のシカマルでも、の前では、その頭脳も役にはたたない。
自分がそんな落ち度をおかした事がとんでもなく恥ずかしかった。


「そうだよね。あんなに苦戦してたのに、最後はやけにスムーズに採れたから、少しおかしいなって
 思ってはいたんだぁ・・・・」

隣では はぁ とため息をついた。


「・・・・・/////・・・・・・」

シカマルは無言になってしまった。

「本当は一人で採りたかったなぁ・・・・・」

今度はがチラリとシカマルを見る。

「わ、悪かった・・・・でも、お前が頑張ってんのは分かってたつもりだぜ・・・・」

シカマルは少しバツが悪そうに、の様子をうかがった。

「じゃぁ・・・私のこと、一人前って認めてくれる?」

は上目使いでシカマルを覗きこむ。

「み・・・認めて・・やる・・よ・・」

「頑張ってた姿・・・かわいかった?」

どさくさに紛れて、は冗談半分に聞いてみた。
本当はシカマルの本心も知りたかったらしい。

「バカ!・・んな事・・知るかよっ////・・・・・・」

シカマルは真っ赤になって、ふん と顔をそらした。

「なーーにっ!勝手なことしといて、認めない気?かわいかったの?かわいくなかったの?」

はムキになってシカマルの腕をぐいぐいと揺らす。

「やめろっつうの!!」

「ちゃんと言うまでやめないっ!!」

「ったく、めんどくせーなっ!」

「早く言ってよぉ!!」


は更にぐらんぐらんと揺らす。
シカマルもいい加減目がまわりそうだった。


「か・・・・」

「か?」

はシカマルが言葉を発したのを見て、腕を揺らすのをやめて、じっとシカマルを見つめた。


「かわい・・・・かっ・・・・た・・・・・・・・//////////////」

「え?/////////」


それは、も予想外の答えだった。
いつもなら、どうせ最後は、んなわけねーだろ!とか冗談言うくせに・・・


「うるせーな。もういいだろ?//////」


シカマルはふんと顔をそらして、の腕を振り払う。
でもそれはシカマルの照れ隠しだと、も分かっていた。


だって、言ったシカマルも、聞いたもお互いに耳まで真っ赤になっていたから。


でも、は心に決めていた。

一つだけ、小さく深呼吸すると、小さな声でシカマルを呼ぶ。


「ねぇ・・・シカマル・・・・・」

「な、なんだよ?//////」


シカマルがチラリと横目でを見た瞬間




ちゅっ




シカマルの頬に、柔らかくて、心地よい体温をしたの唇が優しくキスをした。


シカマルはビックリして、しばらく呆然としてしまった。



「ありがとう・・・大好きだよシカマル」
「お・・・おぉ・・・//////」



頬に感じたのキスはほんのり甘いぶどうの香りがした。




しばらくの間、はシカマルの腕にくっついていた。
シカマルももお互い何も言わないで、くっついたまま空を見上げていた。


空はやっぱり青いままで、風が優しく吹いていた。
ポカポカとあたたかい日差しと同じぐらい、心もポカポカとあったかかった。



「そろそろ戻る・・・か」

「そだね・・・・・」


シカマルはゆっくりと腕を動かして、もそっと体を離す。


シートをたたんで、リュックに詰めた。



「行くか」

「うん」



シカマルのより少し大きな手のひらが、そっとの手を掴む。


それはとても自然な行動に見えたが、シカマルは内心ドキドキしていた。
ギュッと握り返したも本当はドキドキしていた。


でも、お互いに、それは自然なことだという顔をした。


だって、照れた顔をして、せっかく握ったこの手を離されるのは嫌だから・・・
もうしばらくは、この手を握っていたいから・・・・





握った手を離さずに、2人はシカパパの待つ入り口まで歩いていく。


ぶどうの甘い香りに導かれるように、ゆっくりと・・・
もう少しだけゆっくり歩いて・・・
もっともっと手を繋いでいたいから・・・・・・


お互いにそう思いながら・・・・・・
お互いの手のぬくもりを感じながら・・・・

ゆっくりゆっくり歩いていく。













「遅っせーーーーぞっ!2人とも!!」

入り口でシカパパが叫んだ。

「おじさま、ごめんなさい」

「うっせーな。いいだろ?ぶどううまかったしよっ!!親父だって食ったんだろ?さっき俺が採ったやつ。」

「あぁ食った。」

シカパパはシレっと答える。

シカマルは けっ と言った。


「んで?お前ら、親父様に土産分のぶどう採ってきてくれたんだろ?」

シカパパは2人の前に手を出した。




『あっ!忘れてた!!!』

シカマルとの声がはもる。





「なっにぃぃぃぃぃ!!うまいぶどう採って、母ちゃんと仲直りするために、お前らをぶどう狩りに
 連れてきたっつうのに! 肝心のぶどうがねーっつうのはどういうこった!! お前らもっぺん行って採ってこい!!」


シカパパは勢いあまって大変なことを叫んでいる・・・・・・・






「母ちゃんと仲直りだぁ?」

シカマルがジロリとシカパパを睨む。

「そ、それじゃぁ・・・シカマルと仲直りするために、ぶどう狩りに行こうって言ってくれたのは
 嘘だったんだ・・・」

は信じられないっ!という顔をした。

「え?いや・・その・・なんだ・・・」

シカパパの目が泳いでいる。

「甘いものねぇ・・・・女はみんな落ちるんだよなー親父?」

「う、うるせー!! おいシカマル!! お前だけ、甘いひと時過ごしてんじゃねーぞっ!
 親父様にも、ちったー おいしい思いさせろよ!!」


途端にシカマルもも真っ赤になる



『うるせーぞ!!バカ親父!!///////っ さっさとぶどう採りにいくぞ////』

『う・・・うん///////』


2人は真っ赤な顔で手を繋ぎ会って、再び、ぶどう園の中に走っていった。


『おじさまかわいそうだから、最高のぶどう採ってきてあげようね?シカマル』
『ったく めんどくせーな。』


でも・・・・


ちゃっかりまた、の手を握れたから、ここは一つ親父に感謝してやっか。
甘い言葉が言えたかどうかは分からねーけど・・・あのキスの瞬間、俺達は確かに甘い雰囲気の
中にいた。そんで、親父が言ったとおり、甘いぶどうが俺達をもっとひきつけてくれた気がする。


『ねぇ!これどうかな?』

がシカマルの腕を引く。

『あ?こっちの方がうまそうだって!』

シカマルがの手を引き返す。

『えぇ!こっちだよぉぉぉっ!!』

『バカ!こっちだって!!』

再び繋がれた手をお互い引き合いながら、なんだか2人して笑ってしまった。









2人のその姿を遠くからじっと見つめるシカパパ。

「なんだぁ?今朝まで大喧嘩してやがったくせに。
 あいつら本当に甘い時間を過ごしてきたっつうわけか・・・・
 ったく 親の前でラブラブしやがってよっ!!ませガキどもが!!!」

そう言いつつも、顔は何故かほころんでしまうシカパパ。


ところで・・・・


女は甘い雰囲気、甘い言葉、甘いもので必ず落とせる・・・・


「まんざら嘘でもねーんだな・・・この本」


シカパパは手にもっていた本---------イチャパラ恋愛術 女の口説きテク編---------を握り締めて
 ふむ と笑った。



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