その日帰ってきたシカマルの手には何やら見慣れない紙袋。


「なぁに?それ」


玄関先でシカマルを出迎えた私はシカマルにそう聞いた。


「バレンタインだとよ」


シカマルは無造作に靴を脱いで、部屋へとあがる。
私は手渡された紙袋を持って、シカマルの後から部屋へと入った。


これがみんなバレンタインのチョコ・・・それにしたってこの量は何?
机の上で紙袋をさかさまにしたら、中からザザザーとチョコが落ちてきた。


・・・安心しろ。それのほぼ9割りは義理チョコだからよ」


シカマルは部屋着に着替えながら、少し離れたところからそう叫んだ。


じゃあ残り1割の女の子からは本気の告白でもされてきたのかな・・・・


だって疑っちゃうよ。
中には小さな手紙つきのチョコまであるんだもん・・・・


その手紙をそっととって読んでみようかな・・・
私は箱のリボンにはさまっていた手紙をそっと手にとる。


「それって・・・良くねぇんじゃねぇのか?人の手紙を勝手に読むのってよ」


いつの間にか部屋着のパーカーに着替え終えたシカマルが私の隣にドカッと座った。


「だって・・・気になるんだもん」


私だって悪いことだってわかってるけどさ。
かりにも同棲している彼女、つまり私がいるのに、シカマルがこんな気持ちのたっぷりこもっている
ようなチョコをもらってくるから悪いんだよ・・・それじゃあ、私の立ち場って何?


「手紙は読むな。」


手の中からスッと手紙を抜きとられた。
シカマル宛ての手紙を読もうとする私はやっぱり醜いと自分でも思う。
だから、シカマルに取りあげてもらって本当は良かったんだよ。


でも、なんかどうしても私は泣きそうになる。


・・・約束する。俺はお前以外興味ねぇから」


コツンとおでこがぶつかって、それからシカマルが私を抱きしめた。


「でも・・・不安。だってその手紙にはきっとシカマルの事が大好きで大好きで仕方ないって
 書いてあるにきまってるもん・・・・」


なんか泣きたい。
シカマルの胸に顔をつけたら、涙が出てきた。


「バカ。泣くなよ・・・

「だって・・・・・」


なんか悔しいんだよ。
私だけのシカマルだって思いたいのに、どうして私以外の女の子の愛の気持ちの詰まったチョコを
あなたは簡単に受け入れてきちゃうの?
涙なんて止まりっこないよ。


「ちゃんと断ってきたつもりだった」


頭の上からシカマルの声。押し付けられた胸からシカマルの鼓動が聞こえる。


「なにを?」

「実はよ・・・・」


何人か、女から告白された。
お前と付き合ってるって知ってるけど、諦めきれないって言われた。
けど、俺は以外の女と付き合うつもりはねぇって言って断ったんだぜ。


手紙・・・ついてるなんてマジで知らなかったんだ。
こいつには、ちゃんと明日はっきりと断るからよ。


心配させちまって、悪かった。










私はたまらなくてワーーと泣いた。


それでも、シカマルがいつか誰かに取られちゃうんじゃないかって心配になった。







ポンポンと背中を優しくなだめるように叩かれる。


分かってる。シカマルが愛してくれているのは私だけだって・・・ちゃんと分かってるもん。
でも、でもそれでも、やっぱりシカマルが私以外の子にチョコをもらって帰ってくるのは嫌。


「このチョコは全部私が食べる!」

「・・・・

「シカマルは食べちゃヤダ!!」

私じゃない女の子の気持ちの込められたチョコなんて絶対シカマルに食べて欲しくない。
だから私は意地を張った。

「太るぞ?お前」

「いいもん。太ったらシカマルのせいだからね。」

「まぁ太ろうが、やせようが俺の気持ちは変わらねぇけどよ」

シカマルがぷぷぷと笑った。

「もの凄い太ってやるから!!」

「あぁ楽しみにしてるぜ」


シカマルは楽しそうに笑った。
なんとなくその笑顔にホッとした。


「ところで、お前からのチョコはねぇのかよ?」

シカマルが顔を覗いてきた。

「あるよ。」

もちろんシカマルに渡すために朝から作っておいた手作りチョコが冷蔵庫に眠っている。


「んじゃくれ。お前のは俺が食うからよ」


シカマルの優しい顔。
ずるいよ。
そんなことで私を騙そうとしてるんでしょ?
さっきの涙もチャラにしようとしてるんでしょ?


シカマルの・・・バカ。
ちゃんとずっと私だけを見ていてよ!!


「ねぇシカマル。私のチョコもちゃんと渡したいから、あっちの部屋で待ってて?」

「分かった」


シカマルは立ち上がって、隣の部屋に行く。







「シカマルを誰にも渡したくないもん/////」


私は深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。そしてちょっと時間をおいて、
隣の部屋へと向かう。





ベットに腰掛けているシカマルが少しだけ微笑んだ。



「楽しみだな。のチョコ。」

「シカマル、目ぇつぶってて?」

「ん」

シカマルはそっと目を閉じた。




私は高鳴る心臓を抑えながら、そっとシカマルに近づく。






ドサッ





「うわっ!!」





シカマルが驚いた顔をして、私を見つめている。
そりゃそうでしょ?
私はそんなシカマルを見下ろした。



「なんだよ?これ?」


ベットに倒されたシカマルはお腹の上に乗っかって見下ろしている私をジッと見つめてため息をついた。



「お前のチョコは寝ながら食べんのか?」




「そうだよ。これが私からのバレンタインのチョコのプレゼントだよ」



「あ?」



「シカマル。とろけるように甘いチョコのような夜はいかが?」









シカマルの顔に自分の顔を近づける。



私の下には 真っ赤な顔で目を見開いたシカマルの顔があった。



驚いてるシカマル。


でも、私は本気だよ・・・・
だって、シカマルを誰にも渡したくないんだもん。
でも・・・・女の私から誘ったら・・・・シカマルは嫌かな?



本当は私だって、こんなこと初めてでドキドキしてる。
もう嘘!って言って逃げ出したい。


でも、



シカマルはすごくマジメな顔をして私を見つめてる。
ここまでしといて、やっぱり逃げられない。


「冗談・・・・なのか?」


シカマルは低い声でそう聞いた。


「本気だよ。大好きシカマル。」


恥ずかしいけど、精一杯かわいい顔で笑ってみた。


「へっ・・・やっぱお前には誰も勝てねぇよ」








シカマルのがっしりした腕が私を優しく抱きかかえて、そっとベットに倒す。
そのまま2人でベットの上で甘いキスを繰り返していた。
ドキドキする心臓。

の甘い体、俺が食っちまっていいのか?」

鼻先がぶつかる距離で見つめ合う。

「うん。シカマル今夜私をもらってくれますか?////////」




「喜んで」


優しいキスの間にシカマルの長い指先は私の体をつたって、
そしてゆっくりとシャツのボタンを外していく-------------------






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