ぼんやりとした私の視界に、大きな背中が見える。


ベットの端に座って、シャツを着ようと床に左手を伸ばしている。


「ねぇ・・・もう・・・着替えるの?」


だって、私まだ・・・足りない・・・
時計の音は今日も耳にうるさい。


「そろそろ・・時間だろ?」


振り向いた私の彼と私は16歳。



心も体ももう大人と変わらないけど・・・子供だからと言い訳もできる・・・
そんな微妙な歳。



「まだ一緒にいたいよ・・・シカマル」


「仕方ねぇだろ?時間切れだ。そろそろ帰ってくる。」



駄々をこねる子供を叱るような口調で、結った髪の乱れをめんどくさそうに直しながら、
シカマルはもう一度シャツに手を伸ばす。



「それでも一緒にいたい・・・」



シャツをとろうとしたシカマルの手が一瞬止まる。


・・・どうした?」


振り返ったシカマルは眉間にシワを寄せた。
でも決して不機嫌な訳じゃない・・・・それはシカマルが私を心配してる顔。


「こっちに来て?」


ベットに寝たまま両腕をシカマルへと差し出した。





シカマルは、何も言わずゆっくりと、細っこくて歳より幼くみえる私の小さな体を包み込むように
抱きしめる。
まるで宝物を大事にかかえるように・・・・


「親にバレねぇようにすんじゃなかったのか?」




そんなの分かってる。
だって私達がこうしている事を大人達は決して許さない。
でも、私は・・・・



「だって私・・・シカマルと離れたくないもん・・・・」

「バカ。俺だって同じだ。」




どうしようもないよね・・・私達のこの気持ち。






もう一度、シカマルと私の体が強く密着する。





心も体もあったかい・・・・



張り付くようにしっとりとなじむお互いの身体。
私の身体全体が シカマルを好きだって言ってる。


「お前、キスしろとか言うなよ」


ボソリと呟くシカマルの声


「どうして?今言おうと思ってたのに・・・・・」




「ダメだ・・・・俺またシタくなる。」

「もう!////エッチ/////」

「仕方ねぇだろ?お前とこんだけくっついてたら、理性も飛ぶっつうのっ」

上を見上げたら、シカマルは赤い頬でプイッと目を反らした。
照れてるの?
そういうところ、らしくなくて、なんか、かわいい//////


「シカマル・・・・好きvv」

ふいうちでキスしてみる。
触れた唇があったかい。

「バカ///////マジでもう一回ヤっちまうぞ?」

「いいよvv」

だって、もっともっとシカマルが欲しいもん。
毎日あなたが足りなすぎて、私はいつでも半分空っぽ。


「ったく」


肩をがっちり掴まれて、身体をベットに押し付けられたら、心臓がドキドキした。


ゆっくりキスされる。
熱く絡まるシカマルの舌、私の身体を優しくなぞる指が、私を本気で好きだって言ってる。


これ以上されたら、私もう止められない・・・・



でも・・・・・



              《カチコチカチコチ・・・》



身体はあなたを求めているのに、心はその音に奪われてしまう。






唇がゆっくりと離れて・・・・あぁ・・・やっぱり今日も私にはシカマルが足りないよ・・・・・


「・・・これ以上はもう・・・無理だよな」

「そうだね・・・・・」


私達はもう一度きつく抱きしめあった。
あふれ出る感情を抑えようと必死でしがみついて、埋めようの無い寂しさを押し殺して。


親の目を盗んで抱き合う私達にはいつも時間がなくて、そういうSEXって、
どこか何故かなんか・・・・ね・・・・・うまく言えない。


一言で言うなら・・・なんか・・・切ない。


終わった後に時計の音がカチコチ私達を責め立てる。


胸がギュッと痛くなる。
だからかな・・・・



「シカマル・・・ねぇ・・・私の事好き?」



急にね、ふと、そう聞きたくなる。
答えはもう分かってるんだけど・・・・・



それにね



日々シカマルの背中は大きく、頼もしく、『男』になっていく。
それってね・・・なんかすごくかっこよくて、ドキドキなんだけど・・・

たまにね、背中にまわした私の手・・・届かなくなっちゃいそうに感じるの。


そしたら全部が私の手と一緒に振り落とされちゃいそうな気がするの。



そんな事を考えてしまう私って、やっぱり変なのかな?
こんなに愛してもらってるのにね・・・・
最近、私の足元はふらついてばかりで、うまくバランスがとれないでいるみたい。


「私はね、シカマル大好きだよ・・・・本気だよ?・・・・遊びじゃないよ?」


どうしようもなく、なんかね不安なの。


「遊ばれてたまるかってのっ・・・今度はなんだよ? お前、意味わかんねぇ。」



だけどシカマルは私のそんな気持ち、きっと理解できないよね?
私だって、よく分からない。
シカマルはいつものようにめんどくさそうな顔で、私を見た。



「シカマル・・・私の事・・・好きだって言って?」

「さっきここでさんざん言ったろ?」

シカマルの長い指が私の髪に触れる。

そう、さっきまでベットの中で抱き合って、私の体にはシカマルのつけた跡が首にも胸にも腰にも
背中にも、内腿にも・・・ねぇ・・・あるんだよね?
それは言葉と同じ重みで私の体に愛を刻んでいく。


「うん・・・」



けどね、なんかね急に寂しいの。



・・・なんで泣くんだよ。」

「うーーん・・・なんかうまく言えないから言わない」



心の中がゴチャゴチャするの。
自然に泣けてくるの。


ベットの上に座らされて、シカマルは私をもう一度抱きしめた。



「うまくなくていいから言えって・・・」


そんなくっついて言わないでよっ/////
耳元が熱い。



シカマルはいつだって不器用に優しいから、好きだけど嫌い。




大きな手が私を抱きしめたまま、まっすぐな瞳は私をじっと見つめていた。




「だって・・こんなにシカマルが好きなのに・・・大人はきっと私達の関係を
 認めてくれない・・・いつか・・・全部バレて壊されちゃうよ・・・・」


あぁ・・・言っちゃった。
シカマルが悪いよ。
本当はこんな事言って、シカマルをまた困らせるの嫌なのに・・・・


「んな事・・・させるかよ・・・・・」


今、ギュッて抱きしめられたら、私は余計に泣いちゃうんだよ・・・・
シカマルって本当バカ。



壊されるのがこわくて、だから今日も私達は、大人に隠れて、騙して、嘘ついて・・・・
バレないようにこっそりSEXした。



私達、どうしたら妊娠するかぐらいもう知ってるよ。
避妊の仕方も・・・・ちゃんと分かってる。



なのにどうしてしちゃいけないの?
どうして認めてもらえないの?


愛してるのに・・・どうして大人は汚いものを見るような目で見るの?



「シカマル。私もう嘘ついてするの嫌。隠れて付き合うなんて嫌だよ。」


ねぇシカマル・・・・バカな事言ってるって思ってる?
黙っていれば、隠していれば、今まで通り抱き合っていられるのに・・・・
何回だって愛し合えるのに・・・・


でもシカマルは・・・・



「んじゃそろそろバラすか・・・・親父達に俺達の本当の関係をよ・・・」



「え?」


「だってよ、俺とは悪い事なんてしてねぇしな。」


「う・・・・ん」


シカマルがそんな事言うなんて思わなかった。



「愛してる女を抱いて悪いのかよ?俺達結婚すんだろ?」

「・・・・そうだね・・・・」


心がポッと温かくなる感じ。



そう、キスして、抱き合って、繋がって・・・最後に私達はいつだって、確認しあってる。





『一緒になろう』





「本気だって、認めてくれるかな?」

「さぁ?  めんどくせぇからお前連れて逃げちまうか?」



シカマルはニヤリと笑う。



「ダメだよ!シカマルの大事なパパとママにちゃんと分かってもらいたいもんっ!!」

シカマルの腕をギュッと掴んだら、シカマルはくくくと笑った。


「冗談だよ」


「もうっ!!」


「めんどくせぇけどよ・・・・・」


シカマルは頭をガリガリとかいた。


「なに?」



「俺も・・・・認めてもらいてぇよ・・・・親父達に・・・お前とのこと・・・・」





そのまっすぐな瞳でずっと私を見ていて欲しい。
幼い頃から今までずっと私を守ってきてくれたそのまっすぐな瞳で。









・・・一緒に暮らそう」




大きな手が私の頬を優しく包む。



「愛してる」

「私も」


そう・・・もう、いくらでも泣けちゃうくらい・・・






『いつかきっと』の約束をシカマルが『現実』にしようとしてくれてる。


もう逃げない。
私は迷わずあなたの手を握って、そして進んでいける。
その先にどんな事が起こっても、あなたと一緒ならきっと超えられる。超えてみせる。











ガチャリと玄関で扉の開く音。
「ただいま」

聞きなれた声。









「行こうぜ」


優しく微笑んで、シカマルが私に手を差し出す。
私はその手をギュッと握り返す。


この先、何があっても・・・・・・








「殴られちゃうかもよ?」

シカマルの顔を見上げたら、

「あぁ・・・だろうな」

以外と冷静な横顔が見えた。

「やっぱり逃げる?」

「いや。もう逃げも隠れもしねぇ。めんどくせぇけどよっ」

シカマルはふんと笑った。

「うん//////」







そう言うと思った。







だって、だからこそシカマルが好き。大好き。









部屋の扉は2人で開けよう・・・

そしたら心臓がドキドキと高鳴って。
シカマルの手が私を安心させるようにギュッと握り締められる。

「平気か?」
「うん。平気」

2人で笑い合う。



さぁ行こう・・・2人で一緒に、ここから先へ・・・2人の未来へ









「親父。大事な話しがある」







階下に向かって、私達は歩き出した-----------------------








戻る



55 STREET / 0574 W.S.R / STRAWBERRY7 / アレコレネット / モノショップ / ミツケルドット