「はぁ・・・・・・」

俺は深いため息をつきながら、坂を登っていく。

今日の任務も疲れた。マジ最悪。
俺にとっちゃぁどうでもいい内容に思える、ただただ肉体を駆使して
疲れるだけの、くっだらねー任務。


早く帰って風呂入りてぇ・・・・


一歩一歩歩く足取りも重い。


なんで俺の家へと続く一本道は坂なんだ?


「はぁ・・・めんどくせーなぁ、もう・・・・」

不機嫌この上なし!
っつう顔で、俺はノソノソと家へと向かう。


真っ暗な暗がりの向こうに、俺の家がようやく見えてきた。


「あーーーーーーぁ。歩くのもかったりぃぜ。」



1階のリビングに明かりがついている。


「腹減ったなぁ・・・今日の飯なんだ?」


開けられた窓から、なにやらうまそうな匂い。
俺は少し早足で、坂を登る。

俺の家へと近づくたびに、窓からキャッツキャッと母ちゃんともう一人の女の
笑い声。
その声に俺の心臓はバクバクとゆっくりだが大きな音をたてる。


・・・まだいんのか?」


俺の足はますます早足になる。
最後は小走り状態。

「俺って超バカだよな・・////」

の顔が見たいって思うだけで、疲れが吹っ飛んだように感じる。



思っていた以上に早く、俺は玄関の前についた。

ここで一つ深呼吸・・・・

スーーーーーハーーーーーーー



玄関の扉をゆっくりと開ける。

「ただいま」

俺が小声で呟くと、部屋の奥から声が聞こえた。



「あっ!シカマルだ!」



ペタペタペタ・・・・



(の足音だ・・・・・)


「ペンギンかお前はっ・・・・」

俺は思わず、くくく と笑った。


その瞬間、


「シカマル!お帰り〜//////」


すっげーかわいい笑顔で、すっげー嬉しそうな声でが俺に飛びついてきた。

「お前、まだいたのかよっ」

「うん////」

知ってたけど・・・知らないフリ。
まさか、お前がいるって分かったから、走って帰ってきたんだぜ なんて言えるかよっ////




俺の胸にギューーッと顔を押し付けて、背中に腕を絡ませて、は俺に体をあずけている。

「やっと帰ってきた〜。」

「重いっつうんだよっ バカっ! 離れろっ!!」

新婚の夫婦じゃねーんだからよ・・・・まったく、無意識に俺の心臓を高鳴らせるような事すんなっての。
は天然だから困るよな・・・
まっ そこがかわいいんだけどよっ・・・って何言ってんだ俺・・・・


俺はの腕をグイッとひっぱって、顔をあげさせた。


「あのなぁ・・俺を部屋にあげさせろよっ ったく。」

「やーーーだ。ずっと待っててあげたんだからねーーっ。ちょっとぐらい甘えてもいいでしょ!!」

「なんだそれ?俺は別に待ってろなんて頼んだ覚えねーよっ////」

「ぶーーー。ケチッ」

は頬をプクッと膨らませて、俺から離れた。

(あーーーだから、その顔はやめろっての。かわいいんだよ。ったく////)

「お前、超不細工になってっぞっ」

俺はの膨れた頬を ムギュッ とつまんで、部屋へとあがる。


「あーーーーーっ!今、不細工って言ったっ!!おばさーーんっ シカマルったらヒドイのぉぉっ!!」


は俺を抜かして、先に部屋へと走って逃げて、母ちゃんにそう言った。


「まぁったく、しょうがないバカ息子だねっ こんなかわいい彼女がわざわざ帰りを待っててくれたって
 いうのにっ!ねぇ、

「本当だよっ シカマルのバカっ」

「はいはい。悪かったよ・・・」

母ちゃんとは顔を見合わせて笑った。


ったく、女が2人もいると、男の俺の立場がねーっつうの/////


でもよ、なんか良く分かんねーけど、こうゆうの・・俺は嫌いじゃねー。
なんかホッとすんだよ、がいると。
俺の帰る場所には、やっぱ、がいねー方が不自然なんだ。
あーーぁ。
俺、どこまでこのバカに惚れてんだよっ 




「シカマル、ご飯食べるの?」

母ちゃんが聞いた。

「あぁ・・・なんも食ってねぇよ。腹減った。」

俺はリビングのいつもの椅子にドカッと座った。

「親父は?」

「また飲んでるに決まってるでしょ?」

「あっそ。」

それもいつものことだ。
まぁ母ちゃんが怖えーから、12時前には帰るのが親父の鉄則。
門限過ぎたら、母ちゃんが鬼のように怒るからな・・・

尻にひかれすぎだぜっ 親父のやつ。 まったくよぉ 


が俺の席の隣にチョコンと座る。
俺は横目で隣のをチラリと見る。



まぁ・・・かくゆう俺も・・・親父と同じ道を辿るのかもな・・・
俺もこいつにだけは逆らえねーもんな。

血は争えねーぜ・・・・めんどくせー。

「はぁ・・・」

思わずため息。

「なに?」

キョトンとした顔

「なんでもねー////」

またかっ。その顔もかわいいんだよっ
あーー俺、顔真っ赤になりそうだ・・
勘弁してくれっ////



最近、俺はコイツを妙に女として意識しちまう・・・
マジで今の関係より一歩先に進みてぇとかいつも思ってる。

手ぇ握ったり、軽くキスするぐらいじゃ、俺はもう・・・・
けどよ、当のコイツにその気がねーんじゃーなぁ・・・はぁ、無理にやったら
きっと怒って口も聞いてくれねーんだろうし・・・女ってマジめんどくせーよ。




「ねぇねぇ・・シカマル」

そんな事を思っていたら、隣のが急にモジモジしだした。

「な、なんだよ?/////」

俺は飯をパクリと口に入れて、聞き返す。

「明日はシカマルの誕生日だねっ/////」

は何やら頬を赤らめて俺を見た。

「え?あぁ・・・そうだっけか?」

あぁ・・・そういえば・・・今日、気になることがあったんだった・・・
思わず、このバカにみとれて忘れてた・・・・

なるほど・・・俺の誕生日ね?・・・それでか?・・・

今日の任務後に、いのやチョウジから、
『明日はパーティだからね!!シカマル、あんた絶対来るのよっ』

とか言われて、

めんどくせーから俺は行かねぇって応えようとしたら、

『めんどくせーは無しだからねっ あんたが来なきゃ始まらないでしょーっ』

いのに心を見透かされて気がして、ちょっと驚いて、話しの趣旨も聞かずに
俺は 

『分かったよ』

とか応えちまってたんだった・・・それから帰る道で、俺がいなきゃ始まらねーパーティーって
一体何なんだよっ とずっと疑問に思ってたんだった・・・



なるほどな・・・・俺の誕生パーティね・・・・・・・一般的に言えば、ありがてぇ話しなんだろうけどよ
・・・俺はやっぱ、めんどくせーっ





「シカマルったら、やっぱり忘れてると思ってた!パーティは明日だからね!絶対来なきゃダメだよっ!!
 でないと・・・私が怒られちゃ・・」

「あ?なんだって?」

「ううん。なんでも無い、なんでもないよぉ////」

はそう言ってわざとらしく笑った。

「ふうん。で?なんでお前さっきからオドオドしてんだよっ」

俺はなんだかがいつもと様子が違うことが気になった。

「べ、別にぃ・・・な、な、な、なんでもないです////」

「すげー動揺してる様子バレバレだぞ・・お前・・・」

あやしい・・・絶対何かあるっ!!
これは明日は用心しておかないと、大変な目にあわされるぞ・・・
長年の俺の勘がそう言っている。

のこの慌てぶり・・・・裏で糸ひいてんのは誰だ?

「ちょっと質問するけどよ・・・俺の誕生日パーティで何かたくらんでねーか?」

「たくらんでるって人聞きの悪いっ!!べ、別にぃ・・シカマルの誕生日パーティで何かあるなんてぇ・・・
 私知らないしぃ・・そんなこと・・あ・・あるわけないしぃ・・・」

見事な動揺っぷりだな・・・・
目が泳いでるよ・・・

「そっか。んじゃよっ 明日のパーティはバックレて、俺と2人だけで誕生祝いすっか?」

「ダメダメ〜!!そんな事したら、いの達の計画が台無し・・・あっ///////」

やっぱりな・・・後ろで糸を引いてんのは、あいつらかよっ・・・・

「ふうん。お前もいの達の計画の1部に入ってるってわけか?」

俺がジロッとを睨むと・・・

「うーーーー。シカマルの意地悪。私はまだ何するのか知らないの・・・これから教えてもらうんだもん///
 でもね、みんなシカマルが一番喜ぶパーティにしてあげるんだってはりきってたよっ!!」

「本当か?」

「本当だよっ!!だから絶対パーティに来てね!ね!シカマルっ!!」


はぁ・・・
が内容を知らねーっつのは、どうやら本当らしい・・・
でも、このパーティには何かあるなっ・・・


俺の脳裏に、いのとサクラが くくく と笑う無気味な姿と、キバとナルトとチョウジが ニシシ と
笑うアホ面が浮かんできた。



あぁ・・・・めんどくせー・・・俺は明日どうなっちまうんだよっ・・・













その後もに何気なく質問を繰り返してみたが、さすがのも俺を警戒して、それ以上は
何もしゃべらなかった。
詳しい内容も本当に知らねーみたいだし・・・

うーーーーん。


を送りながらも、明日のことが気になって仕方ねー。

「シカマル!ねぇシカマルったら!!」
が俺の腕をひっぱった。

「あ?あぁ・・・」

気がついたら、もうの家の玄関前だ。

「もうっ!シカマルったらさっきからボーッとしちゃってさっ 私の話なんて全然
 聞いてないんだからっ」
はまたふくれっつらをした。

「悪かった・・・」
ふくれた頬をつねると、はもっと不機嫌な顔をした。

「それじゃー明日ねっ」
「あー明日な・・・・」

俺がはぁとため息をついたら、が俺の腕にひっついてきた。

「大丈夫だよシカマル!みんなシカマルが大好きなんだから!きっと素敵なパーティに
 してくれるよ!」
かわいい笑顔で、にこりと笑う。

お前はその気でもなぁ・・・相手はあのアホ連中だかんな・・・
でも、ま、いっか。

「分かったよ・・・んじゃな、。 んっ」

俺はの背に合わせて少し背を丸める。

「うん。明日ね////」

ちゅっ

俺の頬に触れるだけのキスをして、は真っ赤な顔でバイバイと言って 帰って行った。



バタンと閉じた玄関の音を聞いてから、俺は小声で呟やいた。


「あんだけじゃ、俺もう足んねーんだけどよ・・・・」












を送った後も、気になってなんかモヤモヤする。

「あーーーやな予感がするぜ」

俺はため息をもらしながら、布団に入る。



明日は俺の誕生日・・・・みんなで開いてくれるらしいパーティ・・・そして不吉な予感。
あぁ・・・めんどくせー。行きたくねー。逃げるか?
そうだなっ めんどくせー事になる前に逃げちまえばいいやっ・・・


そんな事を考えているうちに、俺は眠ってしまった。







次の日の朝。


「シカマル!新聞とってきてちょうだいっ」

母ちゃんの声。

「はいはい」

俺は寝ぼけ眼で ふぁーー とあくびをしながら、家の外のポストへ向かう。

「新聞、新聞っと・・・・」

郵便受けを開けたら、中から手紙らしきものがポトンと落ちた。

「なんだ?こりゃ」

拾い上げると・・・・





奈良シカマル様   心優しい仲間達より





あぁ・・・やっぱ不吉な予感は的中した。
封を切ると、俺宛の手紙・・・いや脅迫状が届いていた。




☆本日、シカマル誕生日パーティを開催いたします。☆
7班8班10班全員参加でお願い致します。

場所はの家。

任務終了予定時刻 17時より開催。

尚、張本人のシカマルは絶対参加。
逃げた場合は、見つけ次第、死なない程度に捕獲、連行のこと。






死なない程度に捕獲・・・連行!?
しかも、相手は7班8班10班全員???



無理だろ・・・いくら俺でも逃げられねー・・・



ダラダラと汗が出る。


「なんで・・・誕生日に脅迫されなきゃならねーんだ?誕生日ってそういうもんじゃねーだろ?」


手紙を持つ手が震える。


その時、



ピーーッ



「なんだ?」

振り返ると、チョウジの後ろ姿。


「ターゲットは只今、手紙を受け取り、内容を確認した模様。」

ピーゴロゴロッツ

『了解。もどれっ』

「ラジャーッ」



見えてんぞっ お前・・・・



「おい・・・チョウジ。お前そこで何してやがるっ」

「あーーシカマルおはよう!今日はいい天気だね///」

チョウジは慌てて立ち上がり、てへへと笑った。

「お前、今、確実に動揺してやがったろ?その無線は何だよっ!!おい!!」

「え?これ?別になんでもないよぉっ」

目が泳いでるっつうの!

「それよりさ、シカマル。悪いことは言わないから、とにかく手紙の指示に従うことだよ!
 ごめん。それ以上いえないからっ シカマル本当ごめん!!」

「おっ おい!チョウジ!!」


チョウジは慌てふためいて、逃げるようにさっていった。




ヒューーーッ



風が吹き抜ける。



あぁ・・・もうすげー行きたくなくなったぜ・・・誕生日パーティ・・・・









「いってきます。」

重い足取りで任務に向かう。



その後もあの不吉な音が俺の頭を苦しめる。



ピーゴロゴロッ


(またか・・・・・)

俺は気づかないフリをして、音がする方向にちらりと目線を動かす。





「ターゲットは間違いなく任務先に向かっている模様です。」

『了解。任務先まで尾行しろっ 逃げたら即捕獲だっ』

「了解!!」





「ナルト・・・お前、そこで何やってやがる」

俺は歩きながら、振り向きもせずに、草原から身をかがめて俺を尾行するナルトに話しかける

「よ、よぉシカマル!いい天気だってばよぉっ」

ナルトはニシシと笑っている

「だから、なんなんだっつうのお前ら!!」

「いいからいいから、お前はちゃんと任務こなしてこいってばよっ!!んじゃーなっ」

肩を叩かれる

「もう勘弁してくれっ・・・・はぁ・・・めんどくせー」 







今日の任務は、なくした高額の指輪の探索
任務のくだらなさにもあきれるが、もっとあきれるやつもいた。




ピーゴロゴロッ



「ターゲットは今、かったるそうに任務をこなしている模様。今のところ逃げる気配無し。
 まぁ逃げやがったら、即ぶったおして連行すっけどよ」

『了解。気を抜くな。やつを見失わぬように尾行を続けろ』

「了解」







「誰をぶったおすって?おいキバ!!」

電信柱に向かって俺が声を荒げると、

「シカマル。 お前、こんなところで何やってんだーー??」

キバが頭をかきながら、嘘くさい笑顔で俺に近づいてきた。

しらじらしいっつうんだよっ お前がつく嘘なんざ即バレだっつうの!!

「くだらねーことしてねーで、お前も任務行けよっ!!」

「うるせー分かってる。シカマル。逃げんなよっ」




キバは捨てセリフを吐いて去っていった。




「はぁ。マジ行きたくねーよ。誕生パーティ・・・・」








依頼の品は夕方に見つかった。

「ご苦労さん。今日は解散だっ」
アスマの声に俺もチョウジも安堵した。



「はぁ・・・ようやく終了かよっ くそっ」

「良かったねシカマル。ちょうど予定時間前に終わってさっ」

チョウジがニシシと笑った。

「ところでよぉ・・・いのはどうしたんだよ?」

「シカマルの誕生日パーティの準備があるからとかで先に帰ったよ」

「はぁ・・・で?俺はやっぱ絶対参加なのか?」

「そりゃそーでしょ?だってシカマルの誕生日祝いじゃない。」

「まぁ・・そうだけどよっ・・はぁ・・・めんどくせー」



ピーゴロゴロ

「ターゲットは今、めんどくせーと呟きました!どうぞ?」

『逃げ出す前に捕獲、連行しろ!!』

「ラジャーッ!!」





「え?」




ザザザッ



どこから現れたのか、草陰から、ナルト、キバ、シノ、そして今まで俺の仲間だったはずの
チョウジまでが俺を取り囲む。

「な、なんだよお前ら!!」

『シカマル〜もう逃げられねーってばよっ』
『お前はおとなしく着いてくりゃーいいんだよっ』
『まあ・・そういう事だ・・・』
『ごめんねシカマル。そういう事だから・・・』


「う、うわーーーーーーーーーっ」











「なんなんだよっ!いい加減にしろっ 離せ!おろせ!くそっ テメーら全員死ねっ!!」

手首と足首、ついでに腹まわりまで縄でしばられて、俺はみんなに抱えられて、
家まで強制連行された。

「やだっ 行きたくねー。誕生日なんざ一人で祝うから、余計なことすんなっ!!」


ドスンッ


「痛てーーーーーーーーーーーっ」

めちゃくちゃ乱暴に玄関前に落とされた。
俺を縛っていた縄はナルト達に乱暴に解かれる。

「痛てーっつんだよっ  バカっ!!」
『うるせーぞっシカマルっ!!』


なんでみんなに怒鳴られなきゃならねーんだ?


その時、玄関前でナルトが無線機を取り出した。



ピーゴロゴロ

「ターゲット捕獲連行完了・・・だってばよっ」

「了ーー解」

ガチャリッ


玄関先から、すげーうざったそうな顔をしたサスケが現れた。


「ったく。めんどくさいことさせやがって。シカマル、早く中に入れっ」

「サスケ・・お前まで何やってんだよっ」
俺はなかばあきれて、サスケを睨んだ。

「ふんっ 知るかっ。俺は頼まれただけだ!」

だったら引き受けんなっつうの・・・サスケ・・お前はそんなキャラじゃねーだろーが!!

(はぁ・・・まじめんどくせー。)

「おらおらシカマル、早く入れよっ!!」
キバに蹴られるように玄関の中に入れられた。




なんで誕生日に、俺、捕虜状態なんだ?!・・・まじ勘弁してくれっつうのっ!!





その瞬間・・・


パンパンパンッ!!



『シカマル、お誕生日おめでとーーーーーーーーvvvvvvv』



ものすごいクラッカーの数と紙ふぶき。紙テープで俺の頭も体も、くもの巣にひっかかった
マヌケな虫状態だ。

「な、なんなんだ?一体・・・」

もう訳わかんねーっ

「ちょっとぉ!アンタの為にみんなで頑張って用意したんだからね!ちょっとは嬉しそうな顔
 しなさいよっ!!」

いのの怒鳴り声・・・
なんで俺、誕生日にまで怒られてんだよ・・・・

「はいはい。ありがとうよ・・・・」

顔をあげたら、いの、サクラ、ヒナタ、ナルト、チョウジ、キバ、シノ、サスケ・・・んで、
の笑顔があった。

それを見たら、俺の心臓はドキドキと早くなる。

いや正直嬉しいような・・・恥ずかしいような・・・っつうか、なんでここまで大袈裟な・・・
今までの経緯を考えると、なんか腑に落ちねーけどよ。
でも・・・ここは素直に言うしかねーか・・・

「いや・・・マジ・・・サンキュー・・・・」








「さあさ、ご馳走もいっぱいあるわよ〜」

部屋へ案内されると、テーブルに山のようなご馳走。

「おいしそーーーーっいただきまーーーすっ」

『お前はいいんだよっ!!』

チョウジが羽交い絞めにされてやがる。

『んじゃ、みんなで食おうぜぃっ!!』

ナルトの一声でみんなが一斉にテーブルの飯を取り始めた。



「はぁ・・・」

飯食うだけなのに、この疲れは一体なんなんだ・・・はぁ・・まじで疲れた・・・
俺は今朝からの出来事を思い出して、深いため息をつく。

「シカマル////はい。」

「あ?」

皿の上に俺の好物のさば煮やら煮物やらを載せて、が隣にたっていた。

「あぁ・・・サンキュー」

こんな時に、俺にさりげなく気を使ってくれるがすげーかわいいとか思う。
はニコリと照れたように笑う。
俺の心臓がまたドキッと音をたてた。

「そ、それじゃーね/////」

は頬を真っ赤にしている。

「おい・・・・・・・」

俺はお前に隣にいて欲しかったんだけどよ・・・
は俺から逃げるように、ヒナタのところへ行っちまった・・・・


なんかいつもと様子が違って、すげーよそよそしくて、俺はが気になって仕方ねー。
なのによ・・・

「それではみなさん!宴もたけなわっつうことで、ここらへんでシカマルの誕生日を祝う
 為に各自用意してきた芸を披露してもらうってばよっ!!」

いつの間にか、マイクを握って、司会になってるナルトの叫び声とともに、
俺はシノとチョウジに腕をぐいぐいひっぱられて、真ん中に座らされた。

「今度はなんなんだよっ おいっ」






ジャカジャーンッ


突然、耳をつんざくようなギター音

『シカマル!誕生日おめでとーっ 俺の歌を聴きやがれっ!!』

キバがギターをかき鳴らして、キッチンから出てきて、俺の前に立ちふさがった。

「・・・お前なぁ・・・・」

『いいからっ 聞け!!!』


キバの歌がはじまった。




&%$#"+*`~|%&#####ーーーーーーーーーッ!!!☆☆☆!!!



なんなんだ!これは!歌じゃねーーっ 


「うるせーーーっ 頼むから、やめさせろよっ!!死ねバカ!!」




俺の一声でサスケやシノが現れた。

「バカ!こっからサビ入んだぞ!聞いとけよシカマル!!」

キバは体を引きづられて、2人に奥にひっこまされていく。


なんなんだ、こりゃ?・・・もう勘弁してくれっ!!
俺は頭を抱えた。

なのによぉ・・・俺の気持ちなんて完全に無視して、またナルトの司会が始まった。







『えーー続いては、チョウジの登場だってばよっ!!』



「シカマル!誕生日おめでとーっ 僕、シカマルの為に一気しますっ!!」

チョウジは机の上の大皿を片手で掴んで、一気に口にほおりこんだ。


「すげーなおい。さすがチョウジ・・・」

その豪快な食べっぷりに、さすがの俺も目を見張った。
でもな・・・

『バカ!あんた何やってんのよっ!これは私がサスケ君の為に作った料理だったのにぃぃ』
チョウジはいのに頭をはたかれ、

『ちょっとぉぉ!サスケ君にって何よ いの! 今日はシカマルの誕生日祝いでしょー!』

「そうだよっ いの」

『うるさいっ あんたは黙ってなっ!』

ついでにサクラといのにもう一回殴られて、チョウジがまた奥に引きづられていった。





あーーー 案外笑える・・・・こりゃいいかもなっ・・・・
第一、俺は見てるだけでいいってとこが楽だしよっ・・・・
俺はちょっとこのパーティがおもしろくなってきた。




『えーーー続きましては いつもクールなシノの登場だってばよ』



ブーーーン

「俺の蟲が芸を・・・」



「食欲なくなるからやめてっ シノ・・・・」

女どもの一声でシノもはけさせられた。


俺はちょっと興味あったのになぁ・・・まぁいいけどよ・・・・





『つづきましては・・・いつも大人しいヒナタの登場だってばよ!!』


ヒナタは俺の前にでてモジモジしている。


ヒナタが一体何やってくれんだ?
俺はものすごく興味津々でヒナタを凝視していた。

「シ、シカマル君。・・・あ、あの・・・その・・・・えっと。」


うーーん。じれってぇ・・・早くなんかやってくれっ 無意識のうちに眉間にシワを
寄せていたらしい・・・

「ごめんなさいっ シカマル君怒らないでぇ・・・」

ヒナタは突然泣き出した。

「あぁ!こらぁ!シカマル!てめー!せっかくヒナタが芸を見せてくれるっつってんのに
 何キレてんだよっ ヒナタいじめてっと俺が許さねーってばよっ! 」



いや?俺はなんもしてねーし・・・・



ヒナタはナルトに肩を掴まれて、真っ赤な顔をしながら奥にひっこんだ




つうか・・マジ、何してくれようとしてたんだよっ ヒナタ!! すげー気になるじゃねーかっ!!





『つ、続いてはサスケの登場だってばよっ!!』


サスケも何かやるのかよ!?以外だ・・・っつうか、この状況でやるか?普通?


「あーーー。まぁ、その、なんだ。一回だけだからなっ こんなことすんの・・・」

その瞬間、サスケが手のひらから花を出した。




なんだ?その素人かくし芸のような手品は・・・・
お前、完全にキャラ壊れてっぞ・・・




『きゃーーサスケくぅーんvv 素敵〜///////』

真っ赤な顔で立ち尽くしているサスケの両腕をサクラといのが抱えながら、
「素敵だったわー ねぇサスケ君どうやったの〜?」
「私も知りたーい。手取り足取り教えてくれな〜い?」
「う、うざいっ・・・・」
2人に腕をひっぱられて、サスケもひっこんだ。


これは、お約束ってやつか?・・・・・・まぁいっか・・・・。







『待ってましたぁ!いよいよ俺の出番だぜぃ!シカマル!おめでとうだってばよっ』

ナルトはマイクを放り出す。


「おいおいっ 一体、何しよーってんだよっ!!」

その瞬間・・・



        『お色気の術!!!』



  ボンッ


真っ白い煙の向こうに全裸の女が立っていた。


「お前なぁ(怒)!!」


「うっふ〜んvvv シカマルぅぅ。私を好きにしていいのよ〜んvv」


「のわっ こらっ!てめー ナルト!やめろよバカ!」

お色気の術で女になったナルトが俺に抱きついてきた。

「バカ!ナルトやめろよっ!シカマルが欲しいのはお前じゃねーんだよ!」
「このウスラトンカチが。それじゃーパーティの意味が無くなる!やめろっ!」
「はしゃぎすぎだぞ?ナルト。もうやめておけっ」
「そうだよっ!シカマルにはこれから、とっておきのプレゼントが待ってるんだからさっ!」



「そうだったでばよっ」

ボンッ

ナルトが元にもどった。

「とっておきのプレゼント???」

俺は抱きついていたナルトをひっぱがして、キバとサスケとシノとチョウジの顔を見上げる。


4人は一斉に顔をそらした。

すげー胡散くせぇ・・・・・なにがとっておきだ!!
ぜってー何かあるっ!!!

「お前ら、なにたくらんでやがんだよっ くそめんどくせー はっきり言ってみろっ!!」

ったく仕方ねーなっ
とか言って、キバが俺の肩を掴んだ。

『これがこのパーティの本当のメインだかんなっ お前の為に苦労したんだぜっ まったくよぉ』
キバが意味ありげにくくくと笑った。

『はぁ・・・シカマル。俺達に感謝しろってばよっ!!』
ナルトは横目で俺を見て、ニシシと笑った。

『シカマル、くれぐれも大事に扱えよ・・・』
シノもふんっと笑った。

『そうだな。お前にはもったいないプレゼントだ』
サスケもなにやら意味深に笑う。

『シカマルの幸せもの〜』
チョウジはぐるぐるの頬を赤らめた。


「なんなんだよっ 一体そのプレゼントってのは!!」
すげー嫌な予感!!!




その時、



『準備できたよーーーーーー』


女達の声


『シカマル・・・襖開けてみて〜』



なんか 開けるな!と俺の本能が言ってるんだけどよ・・・・・


『おいおいシカマル!早く開けろよっ 最高のプレゼントだぜ!!』

『そうだってばよっ!!じれってーなっ 早くしろってばよっ』

この状況・・・開けないわけにはいかねーらしい・・・
俺はゴクリと生唾を飲み込んで、襖に手をかけて、一気に開けた。





ジャーーーーーーーーーーーーーーーーーン






「え?」



襖の向こうは座敷。

そこに、かわいいワンピース姿で頭にリボンをつけたがチョコンと座っていた。





俺は呆然とその場で立ち尽くす。
もキョトンとした顔で俺を見上げて座りこんでいた。





「んじゃ、そういう事でvv お2人さん、お幸せに〜/////」

サクラがニシシと笑った。


「お前ら・・なぁ・・・・・・」


「こんだけ、お膳たてしなきゃ、あんたら何も進展しないんだもんっ ここまですんのに
 苦労したわーーー。」

いのが はぁ なんてため息をついた。

「いの!お前・・・・」

このキョトンとしたの顔・・・ぜってーコイツは意味分かってねーよっ!!

「あ!ちなみににはそれとなーーく意味は教えておいたから・・・たぶん大丈夫よvv
まぁ・・・分かってなかったら、あんたが教えてあげてねvv」

嘘だろ?・・・俺が?・・・どうやってこの天然バカに説明しろっつうんだよっ!!

「シカマル・・・私・・・・」

は不安そうな顔で俺を見上げている。


勘弁してくれっ 



「良かったなぁシカマル。これで、今夜は手ぇ握るのも、キスすんのも自由だぜっ////」

ナルトが俺に耳打ちする。

「ばーーか。どうせなら食っちまえよっ!なぁシカマル!!」

キバがニシシと笑って俺の肩を叩いた。





「お前ら・・・いい加減にっ!!!」

俺がキレかけた瞬間・・・

「シカマル・・・私がプレゼントじゃダメなの?」

がすごく不安そうに涙目で俺を見ている。


「え?いや・・だから・・・その・・・//////」

なんでそんな顔すんだよっ
まさかこいつマジで分かってんのか?
今夜、俺と何するのか・・・・



「んじゃ、邪魔者は消えるぜっ」


いつの間にやら玄関先でみんなが帰り支度を済ませて立っていた。

「これがとっておきってことか?お前らマジで帰るのかよっ////」

『こっから先は2人だけで、お祝いしなよっ』

一斉に笑顔で俺を見る。

『シカマル!おめでとーーvvvv お幸せに〜』

「お前ら・・・死ね・・・・・」




玄関の扉がガチャンと締められた。



シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン



この静まりかえった部屋の雰囲気。

どうすっかな・・・・・・・


俺がおそるおそる部屋に戻ると、はいじけ顔でまだ座敷に座っていた。

「せっかくかわいい格好までしてプレゼントになってあげたのに・・・ちっとも喜んでくれなくてさっ
 シカマルってばヒドイよっ!!」

むくれてやがる。

「あのなぁ・・・お前、プレゼントの意味分かってっか?」

俺はの前にかがんで、顔を覗き込む。

「え?意味って?」

きょとんとした顔。
こいつやっぱ全然分かってねーよ。

はぁ・・・たまらずため息が出た。

「とにかく・・・パーティは終わったみてーだし。俺は帰るぜっ」

「え?やだっ シカマル待って!シカマルにまだ言う事あるのっ」
は俺の腕を掴んだ。

「はぁ・・・なんだよっ」
俺は頭をガリガリかいた。

「シカマル。誕生日おめでとう。・・今夜は朝まで私を好きにしていいよ」







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。








「それはお前が考えたセリフか?」

「ううん。いの」

「だろうな・・・」

はぁ・・・俺はまた深いため息をついた。


だから俺は嫌だったんだ・・・この天然女が分かってるわけねーっつうの!!
めんどくせー。
とにかく、に意味を説明するのなんざ、絶対にごめんだ。
つう訳で、帰るしかねーよなっ・・・・

「んじゃ、そろそろ俺は帰るぜ。」



俺がに背を向けたとき・・・・


「いやっ シカマル!帰らないでよぉ」

が俺の背中に抱きついた。

「な/////何やってんだっお前! 帰らないって・・・俺がお前の家に泊まるわけに
 行かねーだろ??」

「あのね、おじさんやおばさんにはみんなで朝までパーティだから、今日はシカマルは
 帰りませんって手紙を送ってくれたらしいの。」

「誰が・・・?」

「えっと・・・ナルトとキバとチョウジ君・・・・・」





あいつら〜〜〜!!!(怒)





「だから・・・帰らないよね?シカマル・・・・」

俺の背中にくっついて、はギュッと俺の背中の服をつまんだ。

やべーそういうの無しだぜっ//////

たとえ、こいつが何も分からず、ただ俺と一緒にいたいとか思ってるだけだったと
しても、こっちはそれだけじゃ済みそうもねーし・・・

だからって、俺だって・・・その・・・と一緒にいられるなら・・・
やっぱ、ずっと離れたくねーし・・・・



ど、どうするよ?俺・・・・・



「うーーーーん」

俺は頭をガリガリとかいて、しばらく考えこんだ。






けど、やっぱ・・・・・






「あ、あのよっ 。・・・今夜は俺と朝まで一緒にいる・・・か?」

俺はが好きだ。
今はまだ一緒にいられればそれだけで幸せだ・・・
もそれを望んでくれてんなら、俺はずっと側にいてやりてー・・・
そりゃ、本当は・・・・ヤリてー気持ちもあるけどよっ//////

「本当?シカマル・・・」

は俺からゆっくりと体を離す。
振り返ったら、真っ赤な顔ですげー嬉しそうに笑った。

「私もシカマルとずっと一緒にいたいっ////」

男と女が・・・しかも付き合ってる俺達が朝まで一緒にいるってことが
どういうことなのか、お前は全然分かってねーんだろ?
でも、俺はお前が望むまで待っててやるよ。

「んじゃ、まぁ・・・今夜はよろしくなっ//////」

「こちらこそっ//////えへへ」


幸せそうなの笑顔。
マジでかわいいな・・・・
お前が俺の彼女だなんて、本当・・・俺にはもったいねーよ・・・・
素直でかわいくて純粋な

なんか恥ずかしくて、幸せで、俺はどうしようもなくが好きで・・・
だから俺はの頭をグリグリと撫でた。

「痛いよぉ!もうシカマルったらやめてーーーっ!!」

「うるせー。朝まで好きにしていいんだろ?お前は俺の誕生日プレゼントなんだからなっ!!」

「そっか・・・。うーーー じゃぁ我慢するっ」

目をギュッとつぶって、体に力を入れてる

「バーーーカ。お前って本当バカだなっ」

本当、すげーかわいいってのっ

だから、俺はまたの頭をグリグリしてやった。


「もう!シカマルの意地悪〜/////」


きゃははは。



楽しそうに笑う


かわいくて、たまらなくて、俺はをギュッと抱きしめる。


愛しい彼女の体。
それ以上はしねーから・・・だからいいだろ? こんぐらい・・・
お前の嫌がることはぜってーしねーから・・・


なのに・・・・


「ねぇ・・・シカマル・・・しよ?」

「え?」

俺の腕の中でが呟く。

「な、何を?」

俺の心臓が高鳴りだす。
また俺を期待させといて・・・コイツのオチぐらい分かってる。
ありえねー。

なのに・・俺はまた・・・


「シカマルが私と何をしたいかってことぐらい・・・分かってるつもり・・・」


すこし恥ずかしそうに、の潤んだ瞳が俺を捉えた。
嘘?だろ?・・・・・・

・・・」

俺を見上げるの瞳。
俺は吸い込まれるように、その瞳を見つめた。
心臓がドキドキしてうるせー。

「ねぇ・・・しよ?」

「・・・お、お前・・・・」

「私とシて?・・シカマル。」


っ」

俺の理性はあっさり砕かれた。

NEXTへ



戻る



    
55 STREET / 0574 W.S.R / STRAWBERRY7 / アレコレネット / モノショップ / ミツケルドット