雪だ・・・・・・

辺り一面、真っ白な雪で覆われている。

家も木々も道も公園も・・・・・まだ雪は大粒のままシンシンと
降りそそいでいる。

「はぁ」

私は手袋の上から自分の手に向かって息を吹きかけた。

外があまりにも綺麗だったから・・・・
雪の中を歩いてみたかったから・・・こうして私はここにいる。
外には誰もいない。

どこかの家から家族の笑い声が聞こえた。
でも、その音も雪の中に吸い込まれて、消えていく。

「一人・・・・ぼっちだな・・・私。」

分かってた。誰も私を見つけてくれるはずもない。
両親が任務で死んでから、私はいつだって一人だもの。
友達も先生もいるけど・・・でも、本当はいつだって一人だ。

冷たい雪が頬にあたったら、涙がこぼれた。

その場でうずくまって、私は泣いた。

多分とても大きな声で・・・・でも、今日だけは、雪がそんな私の
弱さも消してくれる・・・だから思い切り泣いた。








突然、私の頭の上で声がした。

ザクッ

雪の上に膝をついて、誰かが私の目の前に屈んだ。

「泣いてるのか?お前ってば、本当、泣き虫だな」

優しい声・・・・・・・・

「ナルト・・・・」
顔をあげたら、優しく微笑んだナルトがいた。

「どうして?・・・・」

「はは・・・雪が降ってたからさ・・・」
ナルトはなんだか照れたように頭をかいた。

「ゆ・・・き?」

「俺、雪の日ってなーんか苦手なんだってばよ。雪が降ってると
 周りの音も何も聞こえないぐらい静かになっちまうだろ。」

あっ・・・・・
私はナルトの顔を見つめた。

「一人で部屋にいると、なんつーか。この世界に一人だけ取り残さ
 れちまったような、妙な気分になるんだってばよ。」

(同じだ・・・・・・私と・・・・同じ・・・・・)

「ナルト・・・・私もだよ・・・・・」

そう、私も同じ。本当は雪景色が綺麗だから外に出たわけじゃない。
無音になった部屋の中で一人でいるのが悲しかった。

「私・・・私ね・・・・誰かに私を呼んでほしかった。名前を呼んでほしかったの」

ナルトはゆっくりと私の頭をなぜた。



「俺が、俺が呼んでやるよ・・・・・・





その瞬間、私は大きな声でワーーッと泣いてしまった。
まるで子供みたいに。その声は雪がくるんで消してくれた。
私はずーーっと泣いていた。

ナルトは何も言わないで、かがんだまま、私を包むように
抱きしめてくれた。

しばらく泣いて、顔をあげたら、ナルトの肩に雪が積もっていた。

「もう。平気か?」
ナルトが私の目をじっと見つめて言った。

「うん。ナルトごめんね。冷えちゃった?」

「俺は全っ然平気。俺の取り柄っていっちゃあ元気以外に
 ないってばよ」
ナルトはガッツポーズをして見せた。

くすっ

私はそんなナルトを見たら、なんだか笑ってしまった。

「なーーんだ。泣いてたかと思えば、もう笑ってるってばよ。
  お前って変なやつだな。」

「ナルトもね」

私とナルトは声を出して笑った。

そしたら体勢を崩して、雪の道に2人して転がった。

「きゃー 背中がびしょびしょ!」
「冷てぇー!風邪ひいちまう。部屋に帰ろうぜ!」

ナルトは私に手を差し出した。

「え?」

「俺の部屋ってば、あんまし綺麗じゃねーけど。構わねーか?」

「うん。」

私とナルトは手をつないだ。
雪に濡れて冷たいはずなのに、ナルトの手は暖かかった。
まるでナルトの心みたい。あなたはいつでも暖かい。
私の凍え切った心をストーブみたいに溶かしてくれるの。


暖房のつけてない部屋は息を吸い込む度に、鼻がジンジンするほど
冷え切っていた。

、待ってろ!今、あったかくしてやるってばよ!」

ナルトはかじかんだ手をゴシゴシこすり合わせながら、私をイスに
座らせてくれた。
つけたばかりのストーブは部屋を暖めるには時間がかかりそうだ。

しばらくすると、台所から、鍋を持ってナルトがもどってきた。

には特別に俺の特製ラーメン食わしてやるってばよ!
体もあったまるってっ」

ニシシと笑って机の真ん中に鍋をゴトンと置いて、ナルトは私に
箸を渡した。

「さーーー じゃんじゃん食ってくれっ」

「お鍋のままで?」
私がびっくりしてナルトの顔を見上げると、

「ん?なんか変か?」

ナルトは不思議そうに首をかしげて私を見ている。


あははは・・・ナルトらしいや

「ううん。何も変じゃないよ!」

「そっか?んじゃ・・・・」

『いっただっきまーーーーーす!』

私とナルトは向かい合って2人で手を合わせて大声で
叫んだ。

そして、机に身を乗り出して、おでこをくっつけて、
鍋のラーメンを2人で食べた。

私の目の前には必死でラーメンをすするナルトの顔。
こんな近くでナルトを見たのは初めてかも・・・・
お互い目があって、赤くなって、また食べて・・・

ナルト特製ラーメンは、あったかくて、ちょっぴりお塩
のきいた、優しい味。





「あったまったら眠くなったってばよ」

ナルトはベットにごろんと横になってあくびをした。

「私も眠いや」

つられてあくびをしてしまった。

 一緒に寝るか?」
「うん」

それは男と女でも、兄と妹でも、友達同士でもないような
奇妙な安心感と幸福感。

私は2つ返事でこたえて、ナルトの隣へすべりこんだ。

そして向き合って寝て、お互いの目をみつめていた。

「なぁ 。 こうしてたら雪の日でも、全然寂しくねーだろ」
ナルトは私に微笑んだ。

「うん。私、雪の日が好きになりそうだよ」
「ははは お前って本当、げんきんなやつ」

ナルトは私の頭をグリグリっとなぜると、自分の胸のあたりに
私の頭をグッと寄せて優しく抱きしめてくれた。

はあったけーってばよ・・・・」
「ナルトもあったかいよ・・・・」


しばらく間があって、それはとても優しい声で・・・・


「明日も雪ふりゃいいな・・そしたら、とずっと一緒にいれるしな・・・・」




「え?」




聞き返したけど、ナルトはすでに夢の中・・・・・
規則正しい寝息が私の頭の上に心地よくふりそそぐ。

だから私もだんだん瞼がおちてきて・・・・

(大好きだよ・・・・ナルト・・・・)

それは夢の中で言った言葉だったかな?


・・・・・・でも、私には確かに聞こえたの・・・・・




(俺も大好きだってばよ・・・・・・・・・)



あったかい体に包まれて、私は夢を見たのかな?
ねぇ ナルト・・・・・目が覚めたら、聞いてもいい?









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