私は公園のベンチで一人、ボーっとしていた。



あたかかい陽の光がやわらかく降り注ぐ・・・・


小さな公園・・・今は誰の姿も無い。
周りに植えられた桜の花はもう満開を過ぎて、ゆるやかな
風に花びらが ヒラヒラ・・・・・・





「どうしてるかな・・・・・・・ナルト・・・・・・」




私はヒラヒラ舞い落ちる花びらから覗く、青い空を見上げた。





「元気にしてっか?・・・・・・・・・」




突然、私の視界が遮られ、目の前には・・・・・



「ナ、ナルト!!」


ベンチの後ろから、私を覗きこんで、ナルトはニシシと笑った。


「い、いつ帰ったの?」
「あーー?さっき・・・・」

ナルトは平然と答えて、私の隣にドカッと座った。

「ブラッと歩いてたら、が見えたからさ・・・お前さ、ちょっと
 痩せたんじゃねーの?」

ナルトが私の腕をぎゅっと掴んだ。
私の心臓はドキドキと音をたてた。

「やっぱ・・・痩せてるじゃん。ちゃんと飯食えって」
ナルトは私の頭に大きな手の平をポンと置いた。

「ナルトこそ・・・またラーメンばっかり食べてたんじゃないの?」

私は真っ赤になった顔を見られたくなくて、わざと
プイッと前を向いて言った。

「へへ・・・当たり!任務先でさ、すっげーうめーラーメン屋があったん
 だってばよ!んでさ、俺ってば、毎日通いずめ・・・」

ナルトはまたニシシと笑った。


「ナルトらしいね・・・・・」




でも・・・・会う度にナルトは背も伸びて、また男らしくなったみたい。




「今回の任務・・・・長かったね」
「あぁ・・・まあな。2カ月だかんな・・・・」
「けが・・・してない?」
「してたら、こんなとこにいねーもん・・・・」
「そ・・・だね・・・・・・」


ナルトは私の顔を見て、笑った。
あったかい太陽みたいに・・・・・・・・


そんなに優しい顔で笑わないでよ・・・・・


そよそよと風がふいて、ナルトの金髪が風に揺れている。



「やっぱ、木の葉は最高だってばよ・・・・」
ナルトはうーーーーんと伸びをした。

そして、降ろされた腕は私の肩に置かれた。


ナルトはギュッと私を胸に抱き寄せる。


「ナ、ナルト?」
もうダメ、私きっと真っ赤・・・・・・

・・・・お前ってば、いっつもあったかいな。太陽みてー。」

ナルトの鼻先が私の髪に触れる・・・・

「すげーいい匂い・・・・・・・」



私は何もいえなくて、ただただドキドキしながら、ナルトの
胸の鼓動を聞きながら、桜が舞うのを見つめていた。

ナルトはそのままじーーーっと動かない。


「ナルトってばぁーーーー離してよぉ」
私はドキドキしながらナルトを見上げる。

「ちぇっ いいじゃん。 俺、お前とくっついてんの好きだし。」

それって?
どうゆう意味で言ってるのよ!!ナルトのバカ!

「もうっ 」

私は頬を膨らませた。

、機嫌直せってば・・・・・・」

頬を軽くつままれる。


やっぱり・・・ナルトにとっては、私はただの女友達・・・それだけ・・・




「なぁ・・・・・・・・」
「なに?」
ナルトの青く澄んだ目が私を見つめる。
吸い込まれそうなほど、綺麗な目・・・・・・

「俺ってば、また長期の任務にでるんだ・・・・・」


え?・・・・また・・・・・・?


私の胸は張り裂けそうに痛んだ・・・・

「どう・・・して?・・・やっと帰ってきたのに・・・・」
やっと会えたのに・・・・

ナルトは空を見上げて、言った。

「俺はもっともっと強くなりてーーんだってばよ・・・・」

なんで?・・・嫌だよ・・・・・・・・

「十分強いよ!ナルトは!」

私は必死だった・・・

そうよ!今、貴方は里のどの忍からも一目置かれる存在になった。
それが・・どれだけ私を不安にさせてると思ってるの?
どんどん遠くにいっちゃうナルトに追いつけなくて、わたしはいつも
一人ぼっちで・・・・

「まだまだ足りねーーーんだって・・・・もっと強くならなきゃ・・・・
 火影にはなれねー・・・・・」


なんて・・・・強い目・・・・・・・


「もっともっと強くなって・・・そんで・・・この里を守るんだ!」

ギュッと握られたナルトの拳は、大きくて力があって、男の人の手
だなって思った。


「そう・・・・そうだ・・・ね・・・・・・」
それがナルトの夢だもんね・・・・・・・・・


分かってたけど・・・それでも・・・私は・・・・

いつもドジばっかりして、
先生から逃げ回っていた、あの頃のナルトが好きだった・・・・
私の隣にやってきて、一緒に笑ったあの頃のナルトが・・・・


だって、あの頃はいつだって一緒に・・・側にいてくれたじゃない・・・・・



「ナルト・・・・行かないで・・・・・」
「え?」

私はベンチに座ったまま、うずくまって泣いた・・・・・

・・・・・・」


ナルトはきっと困っている。
私の背中を抱いて、何も言えずにずっと側にいてくれた。
ナルトの鼓動が私の体に規則的に音を奏でる。


ドクドクドクドク・・・・その音は私を安心させてくれる音
ずっと側で聞いていたい音・・・・・・






「さっき・・・・偶然お前を見つけたって言ったろ?」

ふいにナルトが言う。
私はまだうずくまったまま黙っている。

「あれさ・・・嘘なんだって・・・・・・」

え?

私はゆっくりと顔をあげる。

「今回の任務・・・結構キツくてさ・・・・木の葉に帰ったら、まっさきに
 に会いたくなっちまった・・・・」

ナルトは頭をかいた・・・・

「んで・・・必死で探したんだ・・・お前を・・・・・・」



ナルト・・・



「見つけて・・・本当はさ・・・・・まっさきにしたかった・・・・」

「何・・・を?・・・・・」


ナルトの手の平が私の頬に触れる・・・


フワーーッ

風が吹いて、ピンクの花びらが私達の頭の上に降り注いだのを
私はぼんやりと見た・・・・・


「好きだ・・・・・・・・・・」

ナルト・・・・・



それはあったかくて、優しくて、やわらかい春の陽みたいなキスだった。








・・・待っててくれるか?」

大好きな手が私の髪をなでる。

「うん。待ってる・・・ずっと・・・・・・」





「よーーーーーーーっしゃーーーーー!」

ナルトはベンチから勢いよく立ち上がると、空にむかって
大きな伸びをした。


振り向いたナルトはまたニシシと笑って、

「んじゃ、行ってくるってばよっ!」

おでこにあてられた手・・・・・・

「行ってらっしゃい・・・ナルト・・・・」

「おう!」





片手を挙げて、ナルトが行く。



大きな背中と陽に輝く金色の髪・・・・・・・・


私・・・・あなたが好き・・・・・だから待ってる・・・あなたを信じて・・・・

あなたはきっと、もっともっと強くなる・・・そしていつか・・・・
あなたの夢がかなうその日まで・・・


「ナルトーーー!大好きだよーーー」

私は遠ざかる背中に叫んだ・・・
驚いて振り返るナルトの顔・・・

「バーーーーカ!声がでけーーーってぇの!」


ほら・・・やっぱりナルトの笑顔は太陽みたいにあったかい。
大好きだよ・・・・・ナルト。

私は大きく手を振った。
ナルトも手を振り上げた。





ナルトの後ろ姿に桜の花びらが舞っていた・・・
陽に照らされてキラキラと・・・・
それはまるで、門出を祝う桜吹雪のように・・・・




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