「まったくっ アイツったらなんで来ないのよぉ」
サクラは頬を膨らませて怒っている。

「ふんっ どーせくだらない任務だからってサボった
 んだろう・・・」
サスケは溜息をついた。

「まぁまぁ2人とも・・・任務は無事に終了したわけだし・・・」
間に入ったカカシは頭を掻きながら、2人をなだめている。

「もうっ カカシ先生はアイツに甘いのよぉ!アイツが
 来なかったせいで、私は2倍も働かされたんだからーーっ」

「まぁまぁサクラ・・・お前はよくやったよ・・・・」
サクラの肩をポンポンと叩いてなだめるカカシ。
当のサクラはまだふくれっつらだ。


「ふんっ 午前には終わる予定が2倍かかったぜ・・・
 あのウスラトンカチが・・・・・」



ふぅーーーーーー

カカシは不機嫌極まりないという状態の2人に手を焼いている
ようだ。


カカシはふと後ろを振り返る。

「おっ いいタイミングだ・・・・!!」









「え?」

はいきなり遠くから自分の名を呼ばれて、驚いた顔で
声の方に振り向いた。

「こっちおいでっ」
ニコニコ笑うカカシ先生・・・・

(なんの用かな?)

は急ぎ足でカカシの側に駆け寄る。



そこにはサクラとサスケの7班のいつものメンバーが・・・
あ・あれ?ナルトがいない・・・・・

「ねぇ・・・サクラ・・・ナルト・・は?」

「あっ !アイツったら無断で任務休んだのよぉ!
 あんたからも文句言ってやってよぉ」

(ナルトが無断で?・・・・・)

私はなんとなく不安になる・・・・

・・・・」

カカシ先生が耳元に小声で囁く。

「悪いがナルトを見てきてくれ。アイツが無断で休むなんて
 ちょっと気になってな・・・・」

「はい」

私も小さい声で答えた。

ナルトはいつだって強くなりたいと願っていた。
サスケにだけは負けたくないって。
だからどんなくだらない任務であっても、サボるなんて考え
られないよ・・・ナルトに何かあったのかな?


「まぁ私はサスケ君と2人きりで嬉しかったんだけどぉ」
真っ赤な顔で ね?サスケ君 と恥らうサクラ。

「うざい・・・」

2人のいつもの会話を背中で聞きながら、私はナルトの家へと
向かう。

最後にカカシ先生が

・・・頼んだぞ・・・・」

と呟く声が聞こえた。







ナルトの家へと続く道。

なんだか変な胸騒ぎがする。

以前、私は偶然耳にしてしまった。
ナルトのお腹には九尾の妖狐が封印されていること。
そしてその莫大な力を利用しようと、誰かがナルトを狙っているかも
しれないということ。




もしも、あの薄暗い部屋でナルトが殺されていたら・・・・・
もし、もうどこにもナルトの姿がなかったら・・・・・


私の心臓はバクバクと音をたてた。



お願い・・・ナルト・・・・無事でいてっ!!





ドンドンドンッ



思い切りドアを叩く。

「ナルト!ナルト! ねぇ開けて!」

中からは物音一つしない。


イヤ・・・イヤだよ・・・神様・・・私からナルトを取らないで!



ドアノブに手をかける。


ガチャリ・・・・


静かな金属音。
閉められているはずのドアは鍵がはずれたまま、ゆっくりと
開かれた。


「ナルトーー!」

中に誰かいるかもしれない・・・でもそんな事はどうでもいいっ
たとえ私が殺される目に遭うんだとしても、この部屋のどこかに
ナルトがいるならば、私はあなたを助けたいっ




部屋に上がろうと足を踏み入れた途端・・・・


グニャ・・・・


足に踏みつけた柔らかい感触・・・・

私は恐る恐る足元を見た。







「ナルト!!」

ナルトは玄関先で、今、まさに任務に出ようという格好で
倒れていた。



「ナルト!ナルト!しっかりして!」

体を揺さぶる。
返答は無い。

「いやだよナルト!死んじゃいや!」

体を抱き締めて、必死で叫ぶ・・・・








「俺はそう簡単に死なねーってばよ・・・・・・・」

ナルト?

「生きてるの?・・・・・・・」
私はホッとして涙が溢れた。

ナルトはうっすらと目を開ける・・・・

・・・・何泣いてんだってばよっ・・・・変なやつ・・・・」

「だって・・・ナルトが・・・死んじゃったのかと」

「なんの・・ことだってばよ?・・・・そうだ俺ってば任務行かねーと・・・・」
ナルトはハァハァと肩で息をしている。

よく見ると、ナルトの顔は蒸気して真っ赤。
・・・・・熱があるんだ・・・・・
ナルトのバカ・・・・こんな状態でも任務に行くつもりなの?

「もう・・・終わったよ・・・・」
私は優しくナルトの頬を撫でた。

「なにぃ?そんな・・・・俺ってばまたサスケに遅れちまう・・・・」
額を押さえて、ニガイ顔をするナルト。

私はそんなナルトを抱き締めた。

「大丈夫・・・・ナルトはもっともっと強くなれる・・・・」


ナルトは私の顔をゆっくりと見た。

苦しい息遣いが辛そうだ。

私はナルトのおでこを触る。

「ナルト・・・すごい熱・・・・ベットまで運んであげる・・・・」

私はナルトの片腕を自分の肩にまわさせた。

「いいって・・・俺、一人で歩けるから・・・・お前、小せーから、俺なんか
 支えたら、折れちまうぞっ」
ハァハァと苦しそうに息をしながらも、心配してくれてるみたい。

「私はそんなにヤワじゃないです」
私は笑った。

「へ・・・・・・そっか。」
ナルトもニシシと笑った。






ひきずるようにナルトをベットに寝かせる。

「何か作ってあげるね・・・」

「んじゃ、ラーメン・・・・」

「ダメッ!」

「なんで?」

「ラーメンなんて、風邪で弱ってる時に食べるものじゃないよ。
 おかゆ作ってあげるから・・・・・」

「おかゆ?おかゆってなんだ?」
ナルトは目を細めて、疑うような目で私を見た。


そうか、ナルトには生まれた時から両親がいないから、
風邪で寝込んだ時におかゆを作ってもらったことなんて無いんだ・・・

胸が締め付けられる想いがした。


「おかゆは風邪の時に食べる、お腹に優しい食べ物だよ・・・」
私は優しく微笑んだ。

「ふーーん。んで、どんな料理?」
ナルトはまだ疑わしそうに私を見ている。

「だいたい普通のはお米とおだしと梅干ぐらいだけど・・・
 少しお野菜も入れようかな・・・・・」

私が呟くと・・・瞬時にナルトの声がかえってきた。

「いらねー・・・・」

「な、なにソレッ!私、料理得意なのに!おいしいから食べなさいよっ!」

私はかなりムッとした。


「違う違う・・・違うんだってばよ。の料理の腕じゃなくて、
 俺ってば、野菜が苦手なんだって・・・」
頬をかきながら恥ずかしそうに言うナルト・・・


「ナルトったら、子供みたいっ」
私はくすくすと笑った。

ナルトは真っ赤な顔で、でもすっごく小さな声で
「うるせーっ。」
と言った。











我ながら良く出来たと思う。
ちいさなどんぶりに温かい湯気を出して、私はおぼんにおかゆを
のせて、ナルトの寝ているベットまで運んだ。


「悪ぃな・・・・・・・・」
ナルトは、熱でほてって真っ赤な頬をしながら、よっこらしょっと
上半身を起き上がらせた。


「はい・・・ナルト・・・・あーーーんして?」

「え?いいって ・・・自分で食えるって・・・・・」
ナルトは熱とは別に耳まで真っ赤にした。

「あーーーーーん」
私はそんなナルトを無視して、口元におかゆを運ぶ。

仕方なくといった感じでナルトは口を開けて、私からおかゆを食べた。




「う、うめーーーーっ」

ナルトは生まれて初めて食べたおかゆに感動してくれたみたい。
そこまで感動されると私もちょっと得意になっちゃうよ・・・・


その後、ナルトは私からずっと あーーん とおかゆを食べつづけ、
あっという間に全部たいらげてしまった。

「うまかった・・・・・・・サンキューな」
ナルトは笑った。



「少し寝て?」
「あぁ・・・そうする・・・・・・」
ナルトをそっと寝かせる。

私は洗面器に水をはって、タオルを冷やし、ナルトの額に置く。

「すげー気持ちいいてばよ・・・・」
ナルトはゆっくりと目を閉じた。


寝入ったナルトは苦しそうに息をしはじめた。
顔もさっきより赤い・・・また熱が上がったんだ・・・・・
私はなんだか不安になった。

「そうだ・・・薬もらってこよう・・・・・」

ベット脇から立ち上がろうとしたら、腕をグイッと引かれた。
 
きゃっ

よろけた私はナルトの上に倒れこんだ。

「ナ、ナルト!」
「一緒にいてくれよ・・・・・」
「・・・・・・うん・・・・分かった・・・・」

目の前にナルトの顔・・・・・
目を閉じたままだけど、ナルトの顔を近くでみたら、安心してしまう。
私は優しく金色の髪を撫で、指先でそっとナルトの唇に触れた。

その感触に、ナルトはうっすらと目を開ける。
そして突然私をグッと抱き寄せた。

・・・・・」

ナルトの唇が私の唇を塞ぐ。

「んっ・・・・・」

突然のキスに動揺する私。

唇から伝わる体温がいつもより高い。
絡めた舌もやけどしそうな程に熱く感じた。
熱があるから?
ナルトは私の頭を抱えて、いっこうに離れようとしない。
唇を押し付けられたまま、私は苦しくて、ナルトの胸のなかでもがいた。

ゆっくりとゆるめられる腕・・・・そしてゆっくりと離れる唇・・・・

すると・・・・・

zzz・・・ zzzzz・・・ zz・・・


え?





「嘘?寝てる・・・の?・・・・・・・」




なんだか頭にきたっ
(キスしたまま、ふつう寝る!?信じられないっ・・・・・・・)




なんだかんだ文句をたれながらも、私はナルトが心配で看病し続けた。
何度もタオルを替え、汗をふく。

その間、幸せそうな顔で眠るナルトがすごくかわいかった・・・・

なんだか疲れたなぁ・・・・・

ちょっとだけならいいよね・・・・
私はナルトのベットの脇に頭をのせて、眠ってしまった。









辺りはもう夕方。


「あっ!!」
私は自分がかなりの時間寝ていたことに気づいて、驚く・・・・

あ、あれ?ここどこ?

私は確か、ナルトの看病をしていて・・・ナルトのベットの脇に頭を乗せて
寝たんだよね・・・・
でもここは・・・・ベットの中・・・・・・

私は驚いて横を見ると・・・・

ナルトがジッと私の事を見つめていた。

「ナ、ナルト!なんでっ!」

「目ぇ覚ましたら、がベットの脇で寝てっから・・・風邪ひくといけねーと
思ってさ。俺が抱えて、隣に寝かした。」

平然と答える。

「あ・・・そうなんだ・・・・ありがと・・・・」

同じベットで寝てたってこと?
それってお礼を言うべきなのかなーーーー?恥ずかしくて、なんだか頭が混乱した。

「ねぇ・・ナルト・・・元気になったの?」
私はなんだか恥ずかしくて布団を口までかぶって、ナルトの顔を見上げる。

「あぁ・・・メチャクチャ元気になったってばよっ」

ニシシと笑う顔

「良かったぁ・・・・」
私も思わず笑顔になった。


すると突然ナルトが私に覆い被さってきて、体をギュッと抱き締める。

「ちょっとちょっと!ナルトったら イヤ!」
私が抵抗すると

「へへ・・・感謝の気持ち・・・」


もうっ ナルトは本気なのか冗談なのか分かんないっ 

私の心臓はドキドキと音をたてた。








・・・・・お前、マジで帰っちまうのか?」
玄関先でナルトがしかめっ面をした。

「当たり前でしょっ」
だってもう暗くなっちゃうよ・・・・
いくら私に両親がいないからって・・・
男の子の家に泊まるわけにはいかないし・・・・・・

「今日はありがとうな・・・・・・なんだっけか?おかゆ?
 あれ、めちゃくちゃうまかったってばよっ」
ナルトは頭をかいて、少し照れていた。

すっごく嬉しいな・・・・

「ナルトの為なら、いつでも作ってあげるよ」
そう・・・ナルトが大好きだもんっ・・・
あなたが望むなら、飛んできて作ってあげるっ・・・・・

私は微笑んだ。


気がつくと、目の前でナルトは真剣な顔をして私を見つめていた・・・・・


「んじゃ、毎日食いたい・・・・・」

「え?」

「毎日、の顔見て、毎日の作る飯くいたい・・・・」



え?それって・・・どうゆう意味なの?ナルト・・・・・






・・・・・・・ここで一緒に暮らそう・・・・・」







私の目の前に差し出された大きな手。
私を見つめる澄んだ青い瞳。

私の思考回路はプツリと途切れた・・・・そして考える間もなく
私はコクリとうなずいていた。






ふわりと抱き寄せられる体。
「好きだ・・・・・・俺が一生お前を守ってやるよ・・・・・・」
耳元で囁かれる言葉・・・・・

あぁ・・・・私はきっとまたあなたの前で泣いてしまう・・・・・・

一人で泣いていた雪の日、あなたは私の名前を呼んでずっと側にいてくれた。
一人が辛いといったあの日、あなたは私にあたたかいキスをくれた。

私にはナルトしかいない・・・・・
世界中であなただけが私を安心させてくれる・・・・・・
だから、ずっとずっと側にいさせて・・・・



私はナルトの背中に腕をまわす。
あたたい大きな背中にしがみつく。

今日2度目のキスは心地よい体温で、私を包んでくれた。
ナルト・・・・・大好きだよ・・・・・
・・・俺もだってばよ・・・・・

2人で顔を見合わせて笑う。

そして、ナルトは私の手をひいて、部屋へと導く。
私の背中で パタン と扉が閉じる音がした。





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