私はゆっくりと目を開ける。
まだほんのりと温かい、ベットの中。
さっきまで隣にナルトがいた・・・大好きな彼のぬくもりがまだ残ってる。
私は手を伸ばして彼のいたシーツをさわる・・・・あぁ・・・・あったかい・・・・・・

「ナルト・・・・」

ふと隣にいない彼に不安になる。

突然、目の前から消えてしまいそうな、そんな彼・・・・
朝のまぶしい光が照らす、私の隣のからっぽのベット・・・・・

私はベットから這い出て、静まりかえった部屋を見渡す。


音の無い世界・・・・・
どうして一人でいると、こんなにも静かな事に不安になるんだろう・・・


昨日の夜まで、確かに響いていた、心地よいナルトの声・・・・・






下着のまま、部屋を歩きまわる。

「ナルト?ねぇ・・・ナルト?どこ?」

高鳴る心臓と、急に胸がしめつけられるような静寂・・・・・
やっと一緒に暮らせるようになったのに・・・こんなのイヤだ・・・・・・

「ナルトーーーー返事してよぉ・・・・・・」
私の声は小さな部屋中に響き渡った。




ガチャッ



扉の開く音・・・・
突然、眩しい陽の光が私の顔を照らす。
まぶしい・・・・・・

開けられた扉の向こうには、逆光で影になった彼の姿。


「おぉ・・・・・・おはよって・・・・・なんだよっその格好!!」

ナルトは真っ赤になって、私を指さした。

「・・・・・ナルト?・・・・・・・」




あ・・・・・・・




起きたまま歩きまわってたから・・・・・・




「もうっ 見ないでよっ ナルトの馬鹿!」

私はあわてて、ベットに走って、ほとんど裸状態の自分の体に布団を
巻きつけた。


「あーーーーびっくりした・・・・
 俺、朝から誘われてんのかと思ったってばよ・・・・」

額にかなり汗をかいて、ナルトは ふぅ と溜息をつく。

「ち、ちがいますっ・・・・・・」

私の頬がグングン熱くなっていくのが分かる。



だって・・・・昨日の夜は・・・・・・・
あぁ・・・変なこと思い出しちゃったよ・・・もうっ
ナルトの馬鹿・・・・・・



「と、とにかく、早く着替えてこっちこいって・・・に見せたいもん
 があるんだってばよっ」

ナルトはなるべく私を見ないように、下を向きながら、そう言った。


「なに?」
ナルトの秘密をもっと知りたいっ

私は目を輝かせた。


「だからーーーまず・・着替えろ・・・・・・」

ナルトはクルッと背を向けると、台所に入っていった。




「あーでも、着替えたら、先に朝飯食おうぜっ」

台所から声がする。



くすくす・・・・なんか笑っちゃう・・・・
私を気遣って・・・・ナルトって、本当かわいい・・・・・・

「はぁーーーーーい」


私はベットから服に手を伸ばして、ベットの中にいれ、
布団にくるまりながら、モゴモゴと服を着た。




「よっこいしょっと」

ベットから軽快に飛び降りる。
そして私は足早に台所に向かう。
ナルトの体に触りたいっ
ここにいるって実感したいっ


台所でナルトは牛乳をパックごとガブのみしていた。

「ん?」
チラッと私を見る青い瞳。

「おはよっ」
にこりと笑う私。

「おぉ・・・・・・」
ニシシと笑うナルト。

私はムギュッとナルトの体に抱きついてみた。

「だっ!なんだよ!あぶねーってばよ・・・」
ナルトは驚いて、牛乳パックを落としそうになった。

「だって・・・・ナルトってば、朝、隣にいてくれないんだもん・・・
   なんか心配になっちゃったよ・・・・・」
私は抱きついたまま、いつものナルトのいつもの服をムギュッと掴んだ。

「あーーーー・・・・悪ぃ悪ぃ・・・・これから気ぃつけっから・・・ごめん」

ナルトは綺麗な金髪をガシガシ掻きながら、真っ赤な顔をしていた。


「どこに行ってたの?」

そうだよ・・・まだ陽が昇って間もない、こんな朝早くから・・・・

ナルトはニシシと笑った。

「今から、にだけ教えてやるよ・・・・・」

優しく髪を撫でられる。

私にだけ?

その言葉が私の胸をドキドキさせる。
ナルトにとって、私が特別になれたって事だよね・・・・・


「まっ その前にまず朝飯朝飯!俺ってば、もうお腹すいて
 倒れそうだってばよ・・・・」
お腹をさすって、辛そうな顔をする。

「チョウジみたい・・・・」
私はくすくす笑う。

「だな?」
ナルトもニシシと笑う。




一緒につくる朝ご飯。


私は目玉焼きを ジューーーッ と焼く。

隣でナルトはパンを焼きながら、ジーーッとトースターを睨んでいる。


「何?してるのナルト?」
「ううーーーん。これ最近、調子悪いんだってばよ・・・だからな・・・
 見てろよ!っ」

ナルトは真剣な目でトースターを睨みながら言う。

「う・・・・ん」

私は目玉焼きを2つのお皿に置いた。

「よっしゃっ 今だっ」

ナルトは突然トースターをボカッと叩いた。

すると・・・


チーーーンッ


ほどよいキツネ色をした食パンが2枚、勢いよく出てきた。


「ほーーーらなっ 俺ってばパン焼きの天才っ!さすが火影になる男っ!」

「それって、全然関係ないよーーーー」

私とナルトは2人で笑った。



あちちっ


とか言って、お皿にパンを投げ捨てるように置くナルト。

「バター、バターっと・・・・」
冷蔵庫を開けて、中を覗き込む姿。

「あったぜ ! お前もつけんだろ?」
バターの箱を持って、手についた分をペロッと舐める仕草。



その行動の一つ一つが、一人じゃないって実感させてくれて、私は妙に
安心する。
ナルトが側にいてくれるだけで、私の心臓は心地よいリズムを刻む。


生きてるって気がするの・・・・






「なにボーーッとしてんだ?、早く食おうぜっ」


旨そーーーーっ

なんて呟いて、ナルトは席につく。

「うん。」
気がつくと、私はいつも満面の笑みを浮かべている。



こんな幸せな時が来るなんて、想像もしてなかった・・・・



パンにバターを塗っていると、向かいの席でナルトがジーーーっと
私を見ていた。
青くて優しい瞳が私をうつしている。

「な、なに?」

その綺麗な瞳が私をいつもドキドキさせる。

がいてくれるだけで、俺ってば、なんかスゲー幸せだって思え
 んだ・・・・・生きてるって実感できる・・・・・」

ナルトは目を優しく細めて笑った。






思わず、バターナイフを落とした・・・・・・




ナルトも私と同じこと・・・・・感じてくれてたんだね・・・・・・




?なんだ?どしたんだよっ」

心配そうに覗くナルトの顔。


「私も・・・同じこと・・・思ってた・・・・・・」
私はナルトの顔を見て、微笑んだ。

「そ、そっか・・・・そりゃ良かった・・・・・・」


ナルトと私。
向かいあって、お互いに真っ赤な顔でパンをかじりながら、
時折、目を合わせて笑いあう。

あなたの青い瞳に私がうつってる。
私の瞳にもあなたがうつってる。


あったかい朝食・・・・






「はぁーーーー旨かったっ」
ナルトはお腹をさすって、満足気に笑う。

「ごちそうさまでした!」
私はぺこりと頭を下げる。

そしてまたお互いに顔を見合わせて、ニシシとわらう。
こんな日常が毎日続いたらいいのに・・・・・・・・



「さーーーーて。そろそろ行くかっ」
ナルトが一つ伸びをした。

「どこに?」

「いいから、来いってっ」
ナルトが急に私の手首を掴んで、勝手口に向かっていく。


握られた手首からナルトの熱が伝わって、私はドキドキしながら、ついて行く。




「ねぇ・・・ナルト・・・何?何があるの?」

私はナルトの背中に話しかける。

「へへ・・・・内緒っ」
振り向いたナルトはイタズラっぽく笑った。




外付けの錆びた階段をカンカンと音をたてながら2人で下っていく・・・・


小さな中庭に出た。


そこに、ビニールで覆われた、いかにも手作りって感じの小さな箱のような家。




「ここだってばよ・・・・・・」

「え?ここ?」




ナルトはゆっくりと扉を開ける・・・・・・











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








輝くような緑。
見たこともないような草花の数々。
どれもみな、丁寧に鉢植えされていて、その鉢に名前が書かれている。

大きな緑の葉や、小さな芽が生き生きと呼吸していた。

少し湿気が多くて、少しムシ暑いその空間には、植物の鼓動だけが響いているようだ。




「これって・・・・・」
私は目をまるくした。

「へへ・・・・ここは俺の宝の部屋なんだって・・・・みんな俺が育てたんだ・・・・」
ナルトの目は優しく細められた。

「ナルトが・・・・全部・・・自分で育ててたの?」

私は360度、あたりを見回す。
空に向かって伸びる緑の葉たち。
どれも生き生きと輝いて、私を圧倒する。


「あぁ・・・・・花とか草とか見てっと落ち着くんだ・・・・・みんな言葉はしゃべんねーけど、
 ちゃんと生きてて・・・・こいつらは誰のことも拒絶しねーし・・・どこにも逃げたりしねー。
 いつだって、しっかり根っこで踏ん張って、ここで一所懸命生きてんだってばよ・・・・・」





ナルトの青い瞳はまるで花を通して、遠い先を見ているようだった。





「すごい・・・・綺麗・・・・」

私は目の前の大きな緑の葉に触る。

ツツツ と水滴が優しくこぼれ落ちて、私の指先をぬらす。
それは、とても美しくて、とても優しくて、私の心をジーーンとさせた。

「朝早くにナルトがいなかったのは・・・・ここのみんなにお水をあげてたのね?」

「あぁ・・・・・・」


大きく深呼吸する・・・・
青い香りがした。
なんて心地よい空間なんだろう・・・・・・・


・・・・・こっち・・・・来いよ」

ナルトが手招きした。

「うん」



ナルトのしゃがんだ目の前には、小さなピンクの花が、小さな鉢に植えられていた。


「かわいい・・・・」
私は思わず呟いた。

「こいつは、この間の任務の時に見つけたんだってばよ・・・・・」

ナルトは指先で優しくピンクの花をはじいた。

「荒れた土地でさ・・・・めったに雨も降らねーとこらしくて、他の草花はほとんど枯れてたな・・・」

「うん・・・・・」

「けど・・・こいつは、そこに咲いてたんだ。 たった一人で頑張って、たってた。
 こんな小さくて、こんなに弱そうな花なのによ・・・・こいつはこんなに綺麗に咲いて・・・・」

「へぇ・・・・」
私はかがんで、その小さなかわいい花を見つめた。

「だから連れて帰ってきたんだ・・・・今は俺の一番大事な宝物なんだってばよ・・・・」
隣のナルトの優しい瞳。
私ったら、花に嫉妬しそうだよ・・・・


でも・・・・・





「あ・・・・・・・」

その花の鉢に書かれた名前・・・・・・・          ・・・・・・・・・・・



に似てんだろ?だからつけたんだ・・・お前の名前・・・・」

私は何も言えなかった・・・・・
言葉に出来ない嬉しさって、こういうことなんだろうな・・・・・
胸がジーーンと熱くなって、なんだか苦しくて・・・・


「小さくて、か弱そうなくせして、一人でずっと頑張ってきてさ・・・
そんでもって、すげーかわいくて、綺麗で・・・・優しくて・・・・・」

ナルトの腕が私を引き寄せる。

・・・お前は俺の宝物なんだって・・・・・」

そっとナルトの顔が私の左頬にくっついた。
ほのかなあたたかさと、ナルトの優しい呼吸が頬にあたる。
抱き寄せられた肩がギュッと握られた。
心地よい痛み。

私をこんなにも大事にしてくれる。
ナルトはこんなにも私を愛してくれる。



「ナルト・・・・・・」
私の頬に涙が流れ落ちた。


ナルトはそれを優しく舌で舐めてから、そっと私にキスをした。


好きで好きでしょうがないよ・・・この気持ち・・・・・・・・・
あなたはずっと前から私を見ていてくれていた・・・・・
こうなる前からずっと私だけを見ていてくれていたんだね・・・・・

唇を離すと、ナルトの大きな手のひらが私の頬を包んでくれる。
あったかい手のひらからじんわりと伝わるナルトの体温。

おでこと鼻先をくっつけて、お互いの目を見つめ合った。
私は涙が止まらなくて、頬に流れ落ちるたびに、ナルトの優しい親指が
何度も何度も拭ってくれた。

・・・・・・・俺、もう・・・お前を離さねーから・・・・・・・」
「うん」


そして私達はもう一度、永遠を誓うキスをする。



キラキラと新緑が輝く、2人のはじまりのこの場所で・・・・・・・・・





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