誕生日プレゼントなんてもんを、家族ではない
他人から初めて貰った時・・・それは俺が3歳
なんて、まだガキの頃だ。

もちろん俺にはそんな記憶は残っちゃいないが、
俺のアルバムに写真がキッチリ残っていやがる。

でっかいプレゼント袋を握りしめて、真っ赤な
顔で突っ立っている俺と、その隣で、ちょっと
背伸びしながら、俺のほっぺたにキスをする
の写真が・・・・・・







ジリジリジリジリ〜!!


バンッ!


俺は耳をつんざく目覚まし時計を
布団から手だけ伸ばして、力なく
止めた。



「あーーーぁ。もう朝かよ・・・・」

上半身をゆっくりと起こし、ふぁぁ〜とひとつ
あくびをした。

ん?

部屋の壁にかけられた、どこの国とも分からな
い風景画のついたカレンダー・・・

そこに真っ赤なマジックでうずまきがかかれ、
ハートまでちりばめられた日にちが一つ。

それは俺のカレンダーらしからぬ、派手な演出
をされており、嫌でも目につく・・・・



はぁ・・・・・・のやつ・・・・・



しかも、その下には、次の週の日にちにかぶる
ほどの大きさで、



9月22日
        シカマルの日!


と太字ででっかくそう書かれていた。

シカマルの日って・・・・俺の日じゃねーーっつうの。
他にも9月22日に生まれた奴なんて、数えきれな
いほどいるだろ・・・・
まったく、あいつはどこまでアホなんだよ・・・・・

はぁ・・・・

俺は盛大な溜息をついてから、ベットから起き上がり、
「くぅーーーっ」とか、うなりながら、背伸びをした。

こんなんだから、俺はよく 

「シカマルじじくさーーー」
とか言われるんだよな・・・・けど、仕方ねぇだろっ!

だってよ、めんどくせーけど、俺は今日でまた一つ、
歳とっちまうんだからよ・・・・・


そう!今日がその(シカマルの日)いや・・・もとい、

俺の誕生日・・・・・なんだよ・・・・






「いってきやーーす。」

俺はポケットに手を突っ込みながら、おまけに
「ダリー」
とか言いながら、今日もくだらねー任務遂行の為、
里のとある屋敷に向かっていた。

依頼は、屋敷の主人とやらの外出中の掃除、草刈、
その他雑用だ・・・
いのやチョウジとは現地で待ち合わせ。



相変わらず、どーーーっでもいいような任務。

俺は歩きながら、ボーーッと空を見上げていた。

雲ひとつねーーよ・・・・・

「あーーーーぁ めんどくせーーな」
俺はつぶやいた。

その途端、俺の右腕に何かが張り付いた・・・

「なにがめんどくさいの?」

うわっ 

がいつものように、俺の腕に抱きついて
きたのだ。

・・・・ 急に出てくんなよ!驚くだろうがっ」
俺はびっくりして後ろにコケそうになった。

「急じゃないよー さっきから坂の下にいたんだから!
 シカマルが歩いてきたから、手を振ったのに!
 もう!シカマルは空しか見てないんだから!!!」

ほっぺたをふくらませて、怒ってる。



その顔は・・・・ちょっと、かわいいじゃねーかよ・・・



俺は不覚にも、に対して、そう思ってしまった自分
がかなり恥ずかしかったので、

「そうかよ・・・・悪かったな・・・・」
とだけ言って、また歩きだした。

本当はお前が俺を待ってたんだろうってことぐらい
察しはつくんだが・・・ちょっと意地悪。

「あーー 待ってよ!シカマルーー」
案の定、は俺のあとをパタパタという足音をたてて
ついてくる。
俺は振り返って言った。

「あのよ。俺はこれから任務なんだけどよ・・・・お前
 なんか用かよ・・・・」

「うん。」

なんだよっ 早く言え!と俺がせかすと、
は俺の顔をジッと見て、真顔で言った。

「やっぱり覚えてないねー シカマル・・・」
なんて溜息をついてやがる。


覚えてないわけねーーだろ!
あんなド派手な印をつけられて、見落とす方がどうか
してるっつうの!バカか、お前は!

あっ!もちろんこれは俺の心の叫びね。

こんなこと口に出して言っちまったら、まためんど
くせーことになるだろ?

今度は、は俺の顔を覗きこんで、
「ねーシカマル、今日は日が落ちる前にうちにきて!
 絶対よ!約束!」
と言った。


あーーもぅ 分かってるよ・・・
分かってるって・・・・・
そんなに嬉しいのか、お前は他人の誕生日が・・・・

俺は
「へいへい・・・・」

と言うと、に背中を見せ、手をヒラヒラさせて
歩きだした。

「シカマルーーー!絶対よーーー!」

の叫び声が後ろから聞こえる。

分かったっつうの。

俺のために、毎年毎年、一生懸命選んだんであろう
プレゼントをくれるお前が、恥ずかしそうに、
手渡してくれる姿は、まぁ結構かわいいし、
今日ぐらいお前の言う通りに帰ってやるよ・・・・

かなり遠くなった後方から、また、の叫び声が
響いてきた。


「忘れたら殺すからねーー!!」

俺はコケそうになった・・・・そんなことぐらいで
殺されるんか、俺は・・・
まったく誕生日なんてもんは、めんどくせー日だな。
まっ でも、いい事もあるっつっちゃーあるけどな
・・・・・・・・

俺は早くも任務後のとの約束で頭をいっぱい
にしながら、任務場所へと足を早めた。









「ここの草刈ったら、だいたい良いんじゃない?」
いのが腕組みをしながら言う。

「お腹すいたよー 俺もうダメーー」
チョウジは庭の草の上で倒れる演技をした。

「コラーっ チョウジ!さぼるなって言ってるでしょ!」
いのに頭の上からどやされて、チョウジは仕方なく
草刈を再開する。

「っつうか、お前も手伝えよ!いの」
俺はかがみすぎて、痛くなった腰を叩きながら言った。

「いや!夏も終わったっていうのに、この庭って
 まだ蚊がウジャウジャ飛んでるじゃない!
 蚊にさされてデコボコになっちゃった足なんて、
 見せられないわーーー」

いのは自分の頬に両手をつけて、えへっとか言って、俯いて
いる。

「っつうか。 誰が見んだよ・・・お前の足・・・」
「サスケは見ないよねー・・・そういうの興味なさそうだし」
俺達が口を滑らせると、

「は?なんか言った・・・シカマル、チョウジ・・・・」
いのの殺気がマジで怖かった。

「へいへい。サスケをがっかりさせないように、せいぜい
 大事にしてくれ!」
「そだね・・・・いのファイト」
「チョウジのはフォローになってない気もするけど・・・
 まっいいか!」

その後、3人で笑った。
結局、いのも手伝って、夕方には作業は終了。

「おーーーーっし!任務完了!」
アスマがやってきて、俺達はふぅーーっと溜息をついた。






「ねー これ終わったら、アスマになんかおごってもら
 おうよ! ねっシカマル!」
チョウジが笑顔で言った。

「そうね、たのんでみよっか!」
めずらしく、いのも乗る気だ。

「無理だって。アスマがおごる時は特別な日だけだろ」
俺が言うと

「だって、今日は特別な日じゃん!」

いのとチョウジは2人で顔を見合わせて、せーーーの!
なんて息を合わせて



「シカマル 誕生日おめでとーー!!」



その叫び声とともに、2人が隠していた両手を思い
切り空にむけて振りあげた。

俺の頭の上に、色とりどりの花がヒラヒラっつうより、
 バサバサと降りそそいだ。

「っつうか・・・・キレイっつうより、痛いって・・・・」

正直嬉しかったけど、恥ずかしいだろ・・・・お前らまで
そんな、俺なんかの誕生日によ・・・・こんな演出まで
考えてよ・・・・

「素直にありがとーって言えっつうのーーー!」
いのは笑ってる。
「本当は嬉しいんでしょ?シカマル!」
チョウジも笑ってる。
「あぁ・・・・・・サンキューな・・・・」
俺はテレ笑い。
後ろからアスマが
「おーーーシカマル!お前って奴は幸せ者だなっ」
とか言って、肩を抱きかかえられた。

そうだな・・・・そうかもしんねーーー・・・・・・

「けどな・・・残念だが、おごらんぞ」
アスマの一言。

「えーーーー!なんでーーー!!」
「アスマのケチー!」

「バーーカ。俺はシカマルの為に言ってんだっ
 今日はシカマルを早く帰してやるのが、本当の
 優しさってもんだろっ」
アスマは 「なぁ シカマル」なんて俺を小突いた。

いのは
「あーーーー そっかーーー」
とか言って、手をポッンなんて叩いてやがる。

チョウジはニコニコしながら、
「シカマル〜 幸せ者だねーーー」
なんて笑っていやがる。

「さぁ、とっとと帰れよ!お前の大事な子がきっと
 首長くして待ってんだろうよ。」
アスマは腕を組んだまま、ニヤッと笑う。

「んだよっ それっ」
俺は チッ とか舌打ちした後、

「そいじゃーな」
とみんなに背をむけた。

揃いもそろって、
「幸せになーーーーーーーー」
だとよ。

まったくこんな時だけ、10班は息合ってる気
がすんぜ・・・・・・・まったく、いい班だよ・・・・
いや、マジでさ・・・・・

俺の顔は笑顔になった。

同時に、心の中では、の顔が浮かんできて、
無償に会いたいと思っていた。

俺の足はだんだんと早足になっていく。




誕生日にはプレゼントをもらえるという嬉しさ
もある。
けど、俺との誕生日には、もう一つ、あんだよ・・・・

本当の楽しみは、そっちか?俺・・・・・

それは、3歳のあの誕生日から続いている、俺達だけの
恒例の儀式みたいなもんだ。





「シカちゃん。誕生日おめでとう」
「うん。ありがとう、ちゃん」

ちゅっ

もちろんほっぺたに軽くするようなやつだけど、
幼いながらに、かなり恥ずかしくて、俺はに聞いた。

「ねー なんで、ちゃん いつもちゅーするの?」

「だって、誕生日はシカちゃんが生まれてくれた大事な日
 でしょ?だから感謝の気持ちを込めて、ちゅーする日
 なんだよ?」

「そうなの?」

「うん。のママはいつもそう言って、ちゅーしてくれる
 よ。」

「そっか。ありがと ちゃん」

俺は嬉しさと、恥ずかしさで真っ赤な顔をしてたらしい。
それを見て、は不思議そうに、シカちゃんどうしたの?
なんて聞いてたっけ・・・・・・






それから時が過ぎて、俺達は 「」 「シカマル」と
呼び合う歳になっても、その儀式だけは続いていた。

俺の誕生日には、が。
の誕生日には俺が、頬に触れる程度のキスをする。

もちろん、いつもせかすのは、の方で、
「早くしてよー」
なんて甘え声で言ってくるんだけどよ・・・・・・

結局、俺達の関係はただの幼馴染でしか無いんだけどな。
なんかよくよく考えると変な関係だ。






結局、俺は息を切らすほどに走って、ようやくの家の
玄関までたどりついた。
辺りは既に真っ暗。

日が暮れる前に・・・という、との約束は守れなかった。

俺はまだ整わない息のまま、玄関のチャイムを鳴らす。


ガチャッ 


あ・・・・・・・・怒ってる?

「もうとっくに日が暮れてますけど?」
玄関先で、は目を細めて、俺を睨んで立っている。

「悪かったって・・・・これでも急いで来たんだかんな」
俺はハァハァと肩で息をしながら答えた。

「シカマルにしては、頑張ってくれたんだね。んじゃ、
 許してあげる〜」
は俺の腕をとって、玄関に入れてくれた。

ん?

部屋の中から、なんだか甘い匂いが漂ってきた。

「へへへ。 シカマル、入って!」
は照れたように笑って、さきに部屋に入っていく。

「お邪魔しやーーす。」

いちよう挨拶はするけど、結局、しかいねーーんだ。

の両親は凄腕の上忍だから、いつも遠征で家を
あけることが多い。だから、家にはいつも一人だ。

「あっ 座っててね」

「おう」

いつもの居間のソファー。
俺は一様、この家の常連だから、どこに何があるかも、
なんでも知ってる。

ソファーに深く潜りこんでいると、がおまたせー
とか言いながら、デカイ箱をもってきて、俺の隣に座った。

中身はケーキだとは分かっちゃいるけど、お約束だろ、

「なんだよ、これ」
俺はぶっきらぼうに言う。

「えっへっへーーーー!今年はちゃんスペシャル
 手作りシカおめでとーケーキだよーーー!!」


何んだよ、その長いネーミングは・・・・・バカ。


俺の心の声にも気づかず、は「じゃーーーんっ」
とか言って、箱をあけた。

「おっ にしては上出来じゃねー?」

中には、この俺すら思わず褒めてやりたくなる
ぐらい、おいしそうなケーキがあった。

にしては、は余計です!はい!ローソク!」

は俺に歳の数分のローソクの束と、ライター
を手渡した。

「俺がつけんのかよ?」

「だって、火ぃつけるのって、火傷しそうで怖いんだ
 もん。」

お前なぁ。

「へいへい」

俺は自分で自分のバースデーケーキに火をつけた。

はキャー!いい感じ!とか叫んでる。

なにがいい感じなんか、俺にはよく分かんねーって。

「そうだ!電気消そうね!」
は慌てて立ち上がって、カチンと電気を消した。

「うわーーー キレイ・・・・」

本当だ。
暗がりにローソクがキラキラと光っている。
のケーキの上の果物が、色とりどりに輝いて見える。

俺はちょっとそのケーキに見とれた。

「シカマル・・・・」
小さな声でが俺を呼んだ。俺が隣を振り返ると、
の顔は少し赤い。

「あのね、これ・・・・・プレゼント」
は後ろに隠していた手を俺の前に差し出した。

それはキレイに包装された小さな箱だった。

「あっ サンキュー。」

「あ、開けてみて・・・・」

俺は丁寧にリボンをといて、箱をあけた。

あっ これって、俺が前に欲しがってたシルバー
のブレスじゃんっ 
結構、値段したんじゃねーーの・・・・・・

、なんか無理させちまって悪かったな。」
俺は頭を掻いた。

ううん。 は横に首をふると、

「つけてあげるね」

と言って、俺の左手首をとって、ゆっくりと、
つけてくれた。

の小さいかわいい手の感触が俺の腕の神経
を刺激して、俺はなんかドキドキした。

「似合うね」
が笑う。
「そっか?」
俺はそんなが心底かわいいと思った。




その後は、お互いなんか照れくさくて、2人とも
黙っていた。

この後は・・・・恒例の・・・アレ・・・か?

俺の心の中は、頬キスっていう例の儀式のことで
頭がいっぱいになっていた。

すると、

「あのね・・・・・今年はもう一つ、プレゼントがあるん
 だよ」
と言った。

え? 

俺は拍子抜けしたのと、プレゼントが2つって事は、
に大分お金を使わせちまったな。という罪悪感
でいっぱいになった。

、なんでだよ?2つももらえねーって」

俺が言うと・・・

「でも、シカマルにもらってもらわないと!
 だって次のは、さっきのなんかより、ずーーーっと
 高価なものなんだから!」

と言った。

俺の顔はザザーーーッという音をたてて青冷めてた
ことだろう・・・・・

さっきのブレスだって、結構高いぞっ
なのに、それ以上に高価って・・・・お前、どこにそんな金
あったんだよ・・・・・

俺はかなり焦った。

。やっぱもらえねーって」
俺がそう言うとーーーーーーーーーーーーーーーー

ちゅっ

「え?」

唇にやわらかい感触・・・・・
のシャンプーの匂い・・・・・・・
俺の前には、焦点が合わねーほどの至近距離で
の目を閉じた顔。

え?え?えーーーーーーーーーーーーーー?

しばらくして・・・・・・・・
唇が離れて、は俺を見上げながら言った。

「世界一 高価なプレゼントだよ!だって私の
 ファーストキスだもん。」

そ、そ、そ、そーーーゆうーーことかよ!!

まだ驚きで、瞬きすら出来ずにいる俺に、
は真っ赤な顔で言った。

「シカマル・・・・誕生日おめでと。これからも
 よろしくね」

「お・・・・・・おぅ」

なんだよ、反則!
どーすんだよ、俺は!どーしたらいいんだよ!

俺の心臓はムダに早くなっている。 
マジやばいって。

そんな俺をしりめに、

「プレゼントもあげ終わったことだし、
 さ、さ、ケーキたべよ。」

なんて、言って、ケーキにナイフを入れてる。

けど、もかなり動揺してるな。
お前の手、震えてんぞっ

「まったく・・・・・・・・」
俺は溜息をついた。

やっぱ俺はにはかなわねー。
お前のこと、すっげー好きだし。

ファーストキスを俺にくれたってことは
お前の気持ちも一緒ってことだよな?



俺はを後ろから抱きしめた。

「きゃー ちょっと!シカマル!」

叫んでもムダだって・・・・俺をマジにさせたのは
の方だろ?

「お前が悪い」

「え?だって。」

いい訳しようと振り返るの唇に俺はキスを
した。
今度はが真っ赤な顔で無言になってる。

そんながかわいくて、俺はまた抱きしめて、
「俺は本気だかんな。お前のこと」

と、の耳元でささやいた。

「うん・・・・・私もだよ・・・シカマル大好き」
小さな声でが答える。

、もう離さねーーーって。
俺は言葉のかわりに、ギューッとを抱きし
めた。

あーーー これからは、誕生日ってやつが好き
になりそうだ!




それはそうと・・・・・・
「なぁ 
「ん?」
「ファーストキスはお互いあげちまったから・・・
 今度から誕生日には舌でも入れるか!」


バシッ



「いってぇーーーーーーー!」
「シカマルのバカー!」

俺達にはまだ本当の恋愛なんて、早いのかもな。
けど、俺は結構好きだぜ。お前とのこうゆう関係がよっ









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