「キバーーーーー遊びに行くよ!早く用意してーーー!!」

突然、俺の家の玄関の前での叫び声。

「あーー?なんだよ・・・お前、今日はそういう予定じゃなかったろ?」

キャンキャンッ 赤丸がを見て興奮して足元をかけづりまわっている。
だが俺はちょっとふてくされたようにを出迎えた。
だってよ・・・予定の時間より3時間も早い上に、当初の予定と全然違うじゃねーかよ。

「キバってば!何その格好!!そんなんじゃどこにも行けないじゃないよぉ!」

勝手に怒ってんじゃねーよ。
俺は出かけるつもりなんざ、はなっからねーんだよ。

俺は玄関先で、ハーフパンツにくたびれかかったどーでもいいTシャツという
いわゆる部屋着そのものっていうラフな格好で、まだボサボサの頭をかきながら、
逆切れているを見ていた。

「なんなんだよっ急に!昨日までは、こんな暑い日は外でたくないとか言ってたろ?
 俺の部屋でまったりしてーとかよ・・・お前が言ったんだろーがよ?」

「えーーーでもさ、せっかくもらったんだもん。遊園地のチケット!」

はへへへーーとか言って笑いながら、2枚のチケットを俺の前で振って見せた。


あーーーーまたはじまったよ。
俺の彼女の気まぐれが・・・・・

「誰にもらったって?」

「むふふ。シノ君だよvv」

「シノだぁ?」

シノとは昨日も会ったってのに、俺にはそんな話ししてなかったぞ。

「なんで、がシノからもらうんだよ!なんでお前らが会ってんだよっ」

あーーーなんかムカついたぜ。

キャンキャンッ

だよなー赤丸!お前だってそう思うだろ?

「うーーん。任務の帰りにキバに渡しそびれたらしいよ。そんで、私にわざわざ届けて
 くれてさ。」

「ほぉ・・・わざわざねぇ・・・・」

「どっかのお店の景品であたったらしいんだけど、シノ君興味無いからって・・・」

「んで?お前の家に届けてくれたってわけか・・・」

「そうなの!シノ君て優しいよねーーー」

遊園地がどうとか、急に予定を変更されたとか、この際そんなんどーでもいいっ!!
俺はお前がシノと仲良くしてんのが気にいらねーよ・・・
シノのヤロー。どうゆうつもりだっ!
人の女にちょっかい出しやがってっ!!


「なんかキバの体、ピクピクしてるよ?どしたの?」


あーーーそうだろうよ・・・俺は今、怒ってんだ!!
他の男に無防備すぎなんだよっ お前は!
人の気も知らねーでよ・・・


「またー?キバってば、やきもちやいてるよー 赤丸ぅ!!」

は赤丸を抱き上げて、笑った。
赤丸も ニマッ と笑う。

「ば、バカ言ってんじゃねーよ。誰がやくか・・・へんっ ふざけんな。」

実際そうだけど・・・とりあえず認めねーぞ。
ただでさえ、俺の方が立場弱えーってのによ・・・これ以上は冗談じゃねー




「ねー。だったら、早く行こうよ!遊園地! キバー お願いっ」


やめろ・・・その上目使いは・・・かわいいんだよ・・・バカ。


キャンキャン!

「きゃー赤丸も行く気バリバリだね!私と一緒だぁ」

嬉しそうなの笑顔と、赤丸のはしゃぐ姿を見たら、行かざるおえねーよな。やっぱ。


「分かった・・・仕方ねー。着替えるから待ってろっ」

「やったぜ赤丸ぅ〜vv」
キャンキャンッvv

はかわいい声で俺と赤丸のいつもの台詞を真似て大はしゃぎだ。
赤丸もそんなの足元で飛び跳ねている。

「お前らアホか・・・」

「あーーー!キバひどーーい!」
キャンキャンッ

俺が自分の部屋へと戻る廊下の後ろをと赤丸が楽しそうについてきた。








「ねぇ・・・かっこいい格好にしてねvv」

「知るかよ。とりあえず、Tシャツだけは、変えとくか・・・」

「うん。」

ふぁーーーーー 俺はあくびをしながらヨレヨレの部屋着を勢いよく脱ぐ。


「きゃーーーーーーっキバったらいきなり脱がないでよっ/////」

「は?」

真っ赤な顔で俺の部屋から飛び出していった。

「なんだよ・・・上しか脱いでねーだろ?」

ったく。こんなんで照れられたら、こっちまで変に意識しちまうぜ。
勘弁してくれよ。これから出かけるっつうのによぉ・・・
押し倒したくなんだろっ

あーーダメだ俺。
そんなことばっか考えてるから、いつもにうるさく怒鳴られるんだよな・・・
今日だけは我慢しとかなきゃな。


俺は洗いたてのTシャツを頭からかぶった。


ハーフパンツ・・・どうすっかな?とりあえず・・・変えとくか?

パンツに手をかけようとした時。



キャンッ



赤丸の声。


チラリと振り返ったら、扉からちょこりと目だけ出していると目が合った。


「覗きかよっ」

「ち、違うもんっ////もう終わったかなーって思っただけだもんっ」

オドオドしてやがる・・・アホか。
お前、今更なにそんなに照れてんだよ。本当かわいいよな。

「なんなら、ベットで全部見せてやるけど?」

あんましかわいいから意地悪してみた。

「け・・結構です!/////」

だはは。真っ赤でやんの。
マジかわいい。








「準備出来たぜ。」

部屋から出ると、赤丸を抱いて、まだ真っ赤な顔をしているがふくれっつらを
していた。

「もうっ 遅いよ!キバってば。」

「悪ぃ悪ぃ」

の頭をグリグリなでたら、はまた恥ずかしそうに笑った。


「んじゃ行くかっ」

「うん!!」

「キャンキャンッ!!」












「かぁーーーーーっ やっぱ外は暑ぃなっ」

部屋の中では分からなかったが、頭をジリジリと焦がすようなこの日差しに
俺は思わず目を細める。
でも、まぁ俺は嫌いじゃねーよ。こうゆうの。

「夏は暑いものなのーーーー!!ねー赤丸?」

キャンキャンッ!
は足元ではしゃぐ赤丸に顔を近づけて笑った。

「良く言うぜ。昨日までは暑い中出かけると、日焼けするから嫌だとか散々言って
 やがったくせによ。」

「うるさいっ」

「はいはい・・・・」

あーーー逆らうのやめとこ・・・・
せっかくのデートで喧嘩しちまうことほど、つまらねーことってねーよな。



「ほれ。」

俺はいつも通り、隣を歩くに右手を差し出す。

「うん////」

は嬉しそうにほほえんで、俺の右手をかわいい小さな手でギュッと握った。

お互い汗で手のひら湿ってるけど、これしないとは不機嫌になるし。
まぁ俺もとこうしてるの好きだから・・・

隣では嬉しそうに笑ってる。
そんなの顔に俺はドキドキする。
あーーーマジかわいい。


炎天下の中をぐっしょり汗かきながら、俺達は遊園地へと歩いて行く。
足元で赤丸はときおりキャンキャンと嬉しそうに吼えた。

あーーーーこういうのデートって感じすんなぁ・・・・
俺、今幸せだーーー/////












「おーーーー見える見える!」

俺は遠くに観覧車を発見した。

「わーーーvv 早く乗りたいよぉキバー!あれやってよ!!」

なんか俺もワクワクしてきたっ!

「あーーーあれな?」

そうだな、俺も早くと遊びてーし。
ここは気合いれていくか!

「よっしゃーーーっ んじゃいっちょ飛ばしてやっかっ」

「やったーーーーっ お願いしますっ キバ君!」

「んじゃまず赤丸こっち来い!」
キャンッ

赤丸は俺の頭に乗っかった。

「ほれ。急げよ姫。」

「はーーーーいvv」

が俺の首に抱きつく。
俺はを抱き上げて、足元にチャクラを集中させた。



「行けーーーー!キバーーーーーーーー!」

「おう!」



ダッ!!




俺の足はダッシュで地面を蹴り上げる、風を切って一気に加速する。


きゃーーーーーーーーーーーっ

は俺にしがみつきながらもなんだか嬉しそうだ。

キャンキャンッ

赤丸も興奮してる!




このまま遊園地まで一気に行こうぜっ!













「やっぱキバすごーいvvあっという間に着いちゃったね!」
「へっ 当然だろ?俺様を誰だと思ってる!!」
「しかもこれで無料で入れたんだよ!! シノ君のおかげだねっ シノ君に感謝しなきゃーっ」

はチケットを握り締めて、キャーッとか言ってやがる。
あーーーなんかすっげームカついた。

「チケットはいいとしてだ・・・お前あんまシノと仲良くしてんなよっ!!」

「仲良くなんかしてないよ?これ貰っただけだもんっ」

「だーかーらー 俺の知らないとこで2人で会うなっつってんだよっ」

「あーーーーやっぱりキバってばやきもちやいてんだーっ!ねぇ赤丸ーー!!」
キャンッ

は赤丸と顔を見合わせて、くすくす笑った。

「う、うるせーぞっ!!赤丸も笑ってんなっ!!」


くそっ 完全になめられてる・・・
言うつもり無かったのによぉ・・がシノの奴なんか褒めるから・・
ついつい感情を吐き出してしまったことに俺は激しく後悔する。
あーーーーまた俺、立場弱えーーよ・・・






「ねぇキバーーーあれ乗ろうよぉ!!」

はこの遊園地のメインのどでかい観覧車を指さした。
それはまるで空まで続くようなでかさ。
1周するのに20分近くかかるらしい・・・・

「あぁ行くか!」

「やったーーーーーっ!!」





「キバーーー早く早く!!」

俺の手を引くはいつにも増して楽しそうで、笑った顔が最高にかわいくて、
俺は完全にまいっちまいそうだ。




俺とと赤丸を載せた観覧車がゆっくりと動きだす。

「きゃーーっ すごーい!なんか木の葉が全部見渡せるぐらい高くまで上がれそうっ」

俺の真向かいに座って、は興奮して窓の外を眺めていた。
キャンキャンッ 赤丸も下を覗いて興奮気味。

「あーーーーだんだん空が近づいてくんなー・・・」

こうゆうの悪くねーな。
俺はもともと空飛ぶの嫌いじゃねーし。
ぼんやり空を眺めていたら、がだんだん静かになってきた。

・・・なんだ?お前・・・・」

「ねぇ・・・なんか風が出てきてない?」

ん?まぁそういえば・・・ちょっと揺れてるかもな・・・

「そりゃーこんだけ高けりゃ風も地上よりは強いんじゃねーの?」

「そ、そうだよね・・・・」

その時、大きな風が吹き抜けて、箱が大きく揺れた。

「きゃーーー怖いよぉキバぁぁぁ!!」

「別に揺れたからって、落っこちるわけじゃねーし。怖いことねーじゃん。」

あくびして答えたら・・・

「なに呑気に答えてんのよ!キバのバカ!怖いったら怖いの!!」

逆ギレかよっ!!

「だっらしねーな・・・」

「え!!ちょっとキバ立たないでよぉ!余計揺れる揺れるーーーー!!」
は目をギュッとつぶって、窓枠にしがみついていた。

「アホか・・・・」

「立たないでーーーーキバのバカーーーーッ」

「立ってねーよっ!お前、目ぇ開けてみろっ」

「え?」

隣に座った俺に驚いた顔をした
とたんに顔が真っ赤になる。

「なに照れてんだよっ バカじゃねーの//////」

「だって/////」

「はいはい」

あーーーかわいいんだよっ!!その顔!!
だめだ理性保てねーや。


俺はの頭をグイッと引き寄せて、抱きしめた。
のドキドキ高鳴る心臓の音が俺の心臓までドキドキさせる。

「抱いててやるよ。これで怖くねーだろ?」

「う、うん/////」


なんつって・・・実はかわいいを抱きしめたかっただけだったりする。
騙されるがまたかわいいよな//////
あーーーー観覧車さまさまだぜっ!!

に気づかれないように ニシシ と笑ったら、赤丸と目が合った。


キャンキャンッ!(キバ・・・それ計画的な犯行だよね?)

足元で赤丸が吼えた。


やべーーー赤丸にはバレてたか!!

「うるせーぞ赤丸!!」

俺はとっさに赤丸に怒鳴った。



「え?なに?」

「な、なんでもねーよ。」



俺はを抱きしめながら、赤丸を睨んだ。


それにしても、そんなにこんな事が怖いもんなのか?
女ってわかんねーな・・・・

「キバーーーまだ揺れてるよぉ」

「そうか?」


はさっきから俺の胸にしがみついている。
の柔らかい体が妙に密着していて、俺としては・・・
やっぱよ・・・


だーーーーーやべーーーーっ
こんなとこで変な気起こしたら、またに殴られる・・・・
くそーーーっ ここが俺の部屋なら間違いなく押し倒してんのによぉっ


ん?まてよ・・・・でもあれか?
こんぐらいなら・・・




・・・」

優しく呼んだら、はゆっくり顔をあげた。

本当、簡単に騙されるなぁ、お前。
俺の魂胆なんて微塵も疑っちゃいねーもんなっ
けど、騙されるお前が悪ぃんだよ。


「な、に・・っ ・・・・ん!!//////」


俺達を乗せたゴンドラはちょうどてっぺんで、外は空しか見えねーから・・・
だから・・・いいだろ?こんぐらい・・・・


の唇は相変わらず柔らけー
唇を離す瞬間、ペロッと舐める。

「キバぁ////////」

そんな甘い声を出されたら、もっとしたくなるっつうのが男ってもんだろ?

「え?ちょっとちょっとキバ!やだ!」

俺の手はの体を狭い椅子に押し倒す。

「大丈夫だって!まだ下まで時間あんだろ?ちょこっとだけ・・・な?」

「何がちょこっとなのよぉ!」

「いいからいいから!!」

「良くないぃぃぃぃっ!!きゃーーーーー揺れてるからやめてぇぇぇ!!」

都合よくまたゴンドラが風に揺れて、は押し倒された俺にしがみついた。

チャンスっ!

俺の手は柔らかいの体を抱きしめる。
それからの胸をギュッと掴んだ。

「キバぁ!やだー!」

「だぁまぁれっ」

俺はもう一度にキスをする。
やべーーーもう止まんねーかも・・・・

ふいに体を押し戻される。

「ねぇ・・・キバ・・・まだ平気?」

唇が触れるか触れないか程度の距離ではつぶやいた。

「まだまだだって・・・・」

たぶん・・・な?

重ねた唇から時々の吐息が漏れる。
あーーー俺もうダメだ。夢中になってく。


その時、


キャンキャンッ!!キャンキャンッ!!

赤丸のけたたましい叫び声

「うるせーぞ赤丸!静かにしろ・・・よ・・・って・・・あ・あれ?」

思わず目が点。

「え?」

も目を開けた。






「お客様・・・・降りてください。」





係員の冷たい視線の中・・・
どう見ても、やらしい事してたのバレバレな姿のままで、俺達は静かに答えた。


『すいません・・・・』













「信じらんない!!最低!!キバ!!」

もうカンカンに怒って、は俺の前をスタスタと歩いていく。

「んだよ!お前だってその気になってたじゃねーかよっ!!」

「な、なってない!キバが強引にしたんでしょ!!」

真っ赤な顔で怒って怒鳴る

「嘘つけ!!お前抵抗してなかったろ?だいたい2回目のキスはお前から舌入れて・・・」



バチンッ



「痛てぇーーーーーーーーー!!」

コノーーーーっ(怒)
殴られた痛さで俺もキレた。


「キバのバカ!!バカ犬!!もう知らない!!」

「てめーふざけんなっ 俺だってお前なんかもう知るか!!」

「キバなんかと来なきゃ良かった!!別の人誘えばよかった!!」

「本当かわいくねーな。お前みたいに気の強い女、大っ嫌いだ!もう別れてやる!!」

『キャンキャンッ』

赤丸が俺に飛び掛ってきた。

「な、なにすんだよ!赤丸!!やめろって!!」




あ・・・・・・・



赤丸の行動で、俺はやっと正気に戻った。
目の前のの顔を見た。


うわ・・・・な、泣いてる・・・・・・やべーぞ。
言い過ぎた・・・マジで俺はそんなこと思ってねーよ・・・・・
ただ勢いで言っただけだって・・・・


「もう私のこと嫌いなの?・・・別れるの?・・・・」


いつも強気なが急に泣いたことに動揺して、俺はとっさに言葉が出なくて・・・


「いや・・・だから・・・・・俺はさ・・・・」





「キバのバカ・・・・・私だって・・・私だって・・・キバなんか・・・もう嫌いなんだから・・・・」



大粒の涙流しながら、そんな事言うなよ・・・・
冗談に聞こえねーよ・・・
嫌いって言葉が ずーーーーんっと胸に響いた。



・・・・・」


はくるりと背を向けて走りだした。

・・・待てって・・・悪かった・・・ごめん。さっきのは本気じゃねーぞ」

俺はあわててを追いかけて、の細い肩を掴む。
でも・・・

「もういい・・・私とキバって、いっつも喧嘩ばっかりじゃない。本当は私達、相性良く
 ないんだよ。きっと結ばれない運命なんだよ。」

ボロボロ泣いてる

「何言ってんだよっ」

なんだソレ!!
俺は喧嘩したってが好きな気持ち変わらねーよ。


なのによぉ・・・・


「もう私に構わないで!!」

は俺の手を振り切って、走っていく。
と喧嘩したって、が泣いた事なんてほとんど無かった。


嫌いだなんて・・・嘘でも言っちまった俺が悪い。


(私とキバは結ばれない運命なんだよ・・・)

そんな訳あるかよっ!!
俺はお前以外の女なんて考えられねー。
本気で好きなのはお前だけだっ!!


走っていくを俺は追いかける。
俺の足で本気で追えば、に簡単に追いつくことが出来た。
でも、俺はを見失わない程度に追っていく。

こんな時、なんて言えばと仲直りできるのか、分からねーんだよ。






が走った先は行き止まりだった。
俺も後を追って、その場に立ち尽くす。


目の前には、古ぼけたお化け屋敷が立っていた。
新しい乗り物がたくさん出来ている中で、このお化け屋敷だけは昔のまま・・・
なんの改装もされていないように、だいぶ古い様相で、ひっそりと立っていた。


・・・・」

俺が後ろから声をかけると、はビクリと体を反応させた。

「どうして追ってくるの?もうキバと一緒になんていたくないよ・・・・」

は俺の方を見向きもしないで、冷たい声でそう言った。

「私、ここに入るんだから・・・キバは別の乗り物にでも乗ってきたら?」

「ここに?お前一人で入れるのかよ・・・」

だってよ、は本当に怖がりで、暗がりが大の苦手だ。
お化け屋敷なんて、とんでもねーって話しだろ?

「バカにしないでっ 私だってもう子供じゃないんだから・・・ほっといてよっ!!」

はズカズカと入り口に向かっていく。

「おいっ 待てって!!」

俺も後に続こうとしたら、がくるりと俺を振り返った。

「キバは来ないで!!どっか行ってよ!!」

怒った顔。怒鳴る声。
この強情女・・・・・マジでムカついた!!

「そうか。分かったよっ お前一人で行けんだなっ 中で泣いて叫んだって、俺は知らねーぞっ」


キャンキャンッ!!


その時、俺の手の中から赤丸が飛び出して、を追って走っていった。


「お、おいっ!赤丸!!」

は優しく赤丸を抱きしめて、俺にべーーーっと舌を出すと、お化け屋敷の中に逃げるように
入っていった。

「ちょ、ちょっと待てっ!!」

どうすんだよ・・・このまま俺は怒って帰るべきなのか?
いや・・・でも・・・はマジで暗がりが苦手だ・・・絶対泣くに決まってる。

・・・・ムカつく女だけどよ・・・でも・・・やっぱ・・・ほっとけねー・・・・・
格好悪ぃけど・・・俺はが好きだから・・・・・


「ようは近づかなきゃいいわけだろ?」


俺はそーーっと入り口から入って、得意の鼻での匂いを追っていく。
そう、と着かず離れずの距離を保って、いざという時にすぐに駆けつけてやれるように・・・





中は思いのほか真っ暗で、足元もよく見えねー状態だ。

のやつ・・・今頃びびってんだろうな・・・大丈夫か?あいつ。

くんくん

俺の鼻がの気配を近くに察知した。
俺は慌てて足をとめて、赤丸との様子をうかがう。




「ねぇ赤丸・・・怖いよぉ」

「くうん。」

「私から絶対離れないでね・・・」

「キャンキャン」



(赤丸の言葉なんて分からねーくせに、何、会話みてーに話ししてんだよっ)
そんながかわいくて、なんか笑えた。


「キバ・・・本当に帰っちゃったかな?・・・・」

「くーーん」


(ここにいるってんだよっ アホ。)
俺のことちっとも信用してねーんだなっ・・・・




「赤丸ぅ・・・お願い・・・キバに変化して?」

「キャンッ?」

「だって、赤丸が犬のままだと、抱きつけないから怖いんだもんっ」



(あのなーーーっ 変化した赤丸に抱きつくぐらいなら、はじめから俺に抱きつけよっ
 アホッ)


----------------ボンッ--------------------



赤丸が俺に変化したみてーだ。


「良かったぁ。腕につかまっていい?」

コクコク。(赤丸うなずく。)

「見た目はキバだけどさ、赤丸の方が断然優しくて好き〜」



ガーーーーーーーーーーーーーーーンッ

(そりゃねーだろ?・・・俺は赤丸以下かよっ)




「だってキバってさ、本当に強情で意地悪でおこりん坊でエッチだよね・・・」

「・・・・・」(コクリコクリ)

「でしょーーー?赤丸もそう思うよねー。」



(な、なんだとぉぉぉぉっ(怒)
しかも、でしょーーって事は赤丸にうなずかれたって事だよな?俺。
あーーーーマジで帰るかな・・・へこんできた。)


「でもさ・・・任務こなしてる時のキバって、ちょっとかっこいいよね・・・
 真剣なときのキバって男らしいし、頼れるし、本当は以外と優しかったりしてさ・・・」



(お!好感触じゃんっ)

ちょっと機嫌を直す俺。




「でもでもっ!!ちょこっとだけだよっちょこっとだけっ いつものキバは最低だもんっ////」



この女・・・ぜってーしめてやる(怒)
マジで帰るっ もう泣いても叫んでも、俺はぜってーを助けてなんかやらねーぞ。



その時・・・・・



『きゃーーーーーーーーーーーーーーーっ いやーーーーーーーーーーーーっ』



の叫び声。



帰りかけた俺の足がピタリと止まる。

こういう場合、助けてやるべきなのか?
いやいやここは心を鬼にして帰ろう・・・
もちょっとは痛い目にあって、反省しろってんだよっ・・・・




「やだっ やめてよっ 」


は本気で怯えているようだ。
(俺は知らねーぞ。さんざん俺の悪口言いやがってよ・・・誰がお前なんか助けるかよっ)


「このお化けしつこいっ やめてったらーー離してよぉっ 助けてキバーーーーッ」


(うるせーバカ・・・)
俺の足は地面を蹴って、走り出した。


「やだやだっ やめてよー へんなとこ触らないでぇ!」








「てめー に何してんだよっ 」

「あ!!」



----------------ボカッ-------------------


「きゃっ」


一撃で、目の前のお化け役の男がバッタリと倒れた。


その後ろに拳を握り締めて、怖い顔をして立っているキバ・・・
じゃなくて、キバに変化した赤丸が立っていた。


「あ、赤丸ぅ・・・・この人私の体に触ったのぉ怖かったよぉ・・・」

赤丸に抱きつく

「大丈夫だったか?」

「うん。ありがとう」

の体に触りやがって、許せねー。」

「本当に怖かったよぉ・・・・」

「あぁもう大丈夫だ・・・俺がついてる。」

ギュッと抱きしめられる。

「赤丸?・・・ねぇ・・・」

なんだかドキドキした。
だって、見た目はキバそのものなんだもん・・・・



「キバなんか辞めちゃえよ。俺が一生守ってやるからさ」



突然耳元で囁く声。

「え?何言ってるの?」

驚いて顔を覗くと、目の前でキバに変化した赤丸が ニヤリ と笑った。

「だってはいつも泣かされてばっかりで、キバなんて最低な男なんだろ?」

心臓がドキドキと高鳴る。

「ずっとキバのままで側にいてやるから・・・だからキスしていい?」

「え?え?何言ってるの?赤丸?」

は顔を真っ赤にしてオドオドしはじめた。

「かわいいな・・・。」

赤丸が顔を近づける。

目の前にいるのは見た目はキバだけど・・・でも本当は赤丸なんでしょ?

「やだーーー」

は赤丸の体を押して、引き剥がした。

・・・なんで?」

「私・・・キスなんて出来ないよ。だって私がキスしたいのは本物のキバだけだもん・・・
 他のどんな男の人でも嫌。キバしか嫌。キバとしかしたくないっ・・・」


は泣きそうな声で必死になっている。


・・・いいのか?そんなこと言って・・・・」


目の前で赤丸が真剣な目で私を見ている。



「ごめんね。赤丸。私赤丸も大好きだけど・・・でもやっぱりキバが一番好き。喧嘩しても
 キバしか好きじゃない・・・キバがいいの・・・キバに会いたい・・・キバぁ・・・」


さっき喧嘩して、私が帰れって言ってしまったくせに、どうしてもキバに会いたくて、
何度も名前を呼んだ。
キバって呼ぶたびに切なくて、会いたくて、涙が出た。


「そんなにキバが好きか?」

「う・・・・ん・・・・・・大好き。」


キバに変化した赤丸がの体をギュッと抱きしめた。



変なの・・・・この人は赤丸なのに・・・・抱きしめられたら、いつものキバの匂いがする。
匂いまでキバと同じになっちゃうのかな・・・・
でも、ガッシリしたキバの大きな体はいつものキバみたいに温かくて、私は思わず背中に手を
まわして抱きついた。

・・・・まだ気づかねーのかよ・・・・」

「な・・・に?」

心臓の音がドキドキする。
耳元で響く声は大好きなキバのものと一緒。


「こうしたら・・・・分かるか?」

「え?」

大きな手の平が私の左頬を包む。
そして、親指で顔を上げられる。


・・・・・・・・・・・・・・・!!・・・・・・・・・・・・・・・・・


優しくキスされた。

でも・・・これって・・・・いつものキバのキスだ・・・・・

「え?え?/////////キバ?」

「当たりっ!!」

ニシシと笑ったキバ。




キャンキャンッ

足元に赤丸の姿。

でも、だって、私を抱きしめているのは確かにキバに変化した・・・





え?





はポカンとした顔で俺を見上げている。


「さっきお前を助けようとしたら、変化した赤丸とぶつかったんだよ。んで、赤丸に変化解かせて、
 俺が助けに行ったんだって。」

「ひどいよキバ・・・なんで言ってくれないのよぉっ/////」

「何言ってんだっ・・・お前が勝手に間違えたんだろ?赤丸ぅとか言って抱きついてきたの誰だよ!!」

「あっ//////」

「大体お前さ、赤丸は俺に変化しても人間の言葉話せないんだって・・・忘れたのか?」

「そうだった/////」

は唖然としている。

「喧嘩しても俺しか好きじゃねーんだろ?」

「っ////////」

暗がりでも分かるぐらい顔が赤い。
かわいいな

「なぁ・・・もうお互い意地張んのやめよーぜ」

俺はの頭を撫でる。

「う・・・ん。キバ・・・さっきはごめんね。 大好き///」


「俺も同じだ。お前しか好きじゃねー。俺とお前はどう転んだって結ばれる運命なんだよっ」



の唇に強引にキスをする。


は俺の肩を掴んで、体を硬直させていた。


ゆっくり唇を離す。



「なぁ・・誰もいねーから、もっと力抜けって・・・」

「だって////」

ここがいつもの俺の部屋じゃねーのが、そんなに恥ずかしいのか?
は照れてオドオドしている。

「バカ。真っ暗で何も見えねーよ」

「そ、そうだけど・・・でも・・・」

「いつもみてーにもっと激しいのしようぜ」

「キバ//////」



暗がりで俺とは何度も舌を絡ませてキスをする。
の体は細いくせに柔らかくて、手で掴むたびに俺を興奮させる。
お腹から手を入れて、の体を直に触ると、は少し抵抗した。

「だめだよぉキバぁ/////」

「んだよっ もうおしまいか?」

「続きは帰ってからにしよっ///////」


そ、そうきたか・・・・・
それを言われたら、急に俺も恥ずかしくなってきた。



「//////////わ、分かった。」







手をつないで、何故だかお互いに真っ赤な顔でテレながら、お化け屋敷から出てきた俺達を、
次に入ろうとしていたカップルが不思議そうな顔で見ていた。






「んじゃ即効で帰ろうぜっ」

俺はの顔を見て言う。

「えーーーっ/////もっと遊んでからにするっ!!」

は口を尖らせて反発した。

「バカいえっ 俺はもうスイッチ入っちまってるってんだよっ 帰るぞっ」

俺はの手を強引に引っ張って行く。

「やだーーーっ もう少し遊んでから帰ろうよぉキバ!」

「いやだっ 帰るっつったら帰るんだよっ」

俺はをヒョイッと抱きかかえた。

「え?/////ちょっとそれは反則だよキバ!!」

キャンキャンッ

赤丸は嬉しそうに足元で飛び跳ねる。

「ほれみろっ 赤丸も俺の見方だっつうんだよっ 」

「赤丸も所詮男なのねーー裏切り者〜」

「くーーん?」

赤丸は不思議そうに首をかしげてた。

本当は俺とが仲直りして嬉しかったんだよな?赤丸。
とんだとばっちりうけさせて悪ぃ。


でも、俺は今本当にドキドキしてんだっ


だってよ、は喧嘩したってやっぱり俺のものなんだ。
一生俺のものにしてーんだよっ

「あーーーお化け屋敷最高!!マジ楽しいよなぁ。」

俺がそう言うと

「どこが楽しいのよっ!!すっごい怖かったんだからーーっ」

は俺に抱えられながら頬を膨らませた。

「だってよ、にキス出来るし、触れるし、挙句には大好きとか言われちまうしよぉ・・・」

「な、何それーーっ///」

「キバ大好きーってな?」

ニシシと笑ったら、頬をつねられた。

「痛てーなっ アホ!」

「うるさいっ バカキバ!」

「ったく素直じゃねーな。そういう事言ってっと、今夜は帰さねーからな。」

「え?////////」

キャンキャンッ

「冗談だよ・・・バカじゃねーのお前。」

「もーーーーーーーーーーーーっ」

ポカポカ殴られながら、俺達は結局、遊園地を後にして、俺の家へと向かう。


「かーーーーーーーっ 楽しみだなー俺」

「もう辞めてよ・・・その発言/////」

キャンキャンッ



赤丸とと俺の影が夕日に照らされて長く伸びて重なった。














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