「あーーーぁ 寒みぃっつうの・・・ったく・・めんどくせー・・・」

はぁ・・・

シカマルのついたため息は確かに寒さの為か、白かった。

「そういう事言わないのぉ!今日は年に一度のハロウィンなんだからさぁ!!」

そう言いつつ、私だって、ちょっと寒くて、両手にはぁと息を吹きかけてみる。

「つうか・・さっきっから、ガキなんざ誰もこねーしよぉ。意味ねーんじゃねーか?」

「シカマルってば、さっきから文句ばっかり!!これも任務なんだからしっかりやり
 なさいよね!!」

「へいへい。悪かったな・・・・」




そう・・・今日はハロウィン。
今夜の任務は、私達忍びが里の各地に散らばって待機して、やってくる子供達に
キャンディーやら、チョコレートやらをあげるのだ。

それで私とシカマルは、里の繁華街へと続く土手の上の一番大きな木の横で、いずれ来るであろう
子供達を脅かすために、さっきからずーーーっとこんな格好のまま、待ってるってわけ。

そう。こんな格好・・・・
私達はそれぞれ上忍が用意してくれていた衣装に着替えているんです。
上忍が言うには、それぞれに似合う衣装を選んでくれたらしいけど・・・・




「っていうかさ、シカマルその格好・・・すっごく似合ってるよ!!」

私はくすくすと笑った。

「うるせー//// 全然嬉しかねーよっ!!」

シカマルはドラキュラ。

「えぇ!これ以上ないっていうぐらい似合ってるよぉ!その目つきの悪さといい、ヒョロ長くて
 大きい体といい!!」

「黙れ・・・・」

シカマルにジロリと睨まれた。

「はーーーい。」








「つうかよ?お前のその衣装・・・なに?」

シカマルは上から見下ろすように、私をじーーーっと見た。

「たぶん・・・魔女?・・・」

私の衣装は黒いミニのワンピースで、とがった帽子となんだかキラキラする棒を持っている。

「かわいいでしょ?」

私はその場でくるりと回ってみせた。

「誰の趣味だぁ? ったく、くだらねーな。」

シカマルはなぜだか ぷいっ と顔をそらして、まるで興味無しって感じで、
腕組みとかして、あーー寒い寒いとか言っている。

「なにソレ!せっかく彼女がこんな寒空の下で頑張ってんだから、ちょっとはかわいい
 とか褒めてよぉぉ!!」

シカマルの腕を掴んだら、

「はいはい。かわいいかわいい。」

「シカマル・・・全然見てないじゃん!!」

「うるせーよ。ほら来たぜっ」




シカマルが見ている先に小さい男の子と女の子が恐る恐る手を繋いでやって来た。




もう少しという所で、2人はモジモジしている。



「めんどくせーな。 おら・・・早くこっち来いよ・・・・」


シカマルの声にビクリと反応している。


『もう!シカマルってば!怖がらせてどうすんのよ!!』
『知るかっつうの・・・・』



「こっちおいで////」

私はニコリと微笑んでみせる。



男の子が怖がっている女の子を背中にかばうようにして、私達の前に少しづつ
歩み寄ってきた。



「Trick or treat!」



男の子が精一杯の声でそう言った。



「よく言えたねvv」


こんなに小さいのに女の子をかばって勇気を振り絞っている男の子がすごくかわいかった。


「へっ やるじゃねーか、お前。」

シカマルが男の子の頭をなでると、男の子はすごく緊張した顔をしながらも嬉しそうに
していた。
2人が握り締めていた袋の中にシカマルがお菓子を入れる。

「あ、ありがと・・・・・」

2人はまた手を繋いで、歩き出した。





「なんかさ・・・小さい頃の私達みたい・・・・・」

「そうか?」

「うん。」

そうだよ。
シカマルと私は幼馴染で、小さい頃からずっと一緒にいた。
帰りが遅くなって、道が暗くなると、私は決まって怖いと言って泣き出した。
そんな時シカマルは
、大丈夫だって。月が笑ってるぞ』

小さなシカマルの指差す先には三日月。

『ほんとだ・・・笑ってるね』

それは空が笑った口に見えた。

シカマルは私の手をギュッと握り締めて、家まで連れて帰ってくれた。
シカマルの手はいつも温かくて、頼もしくて、私はいつも安心していたんだよ。
そう、あの頃からずっとずっと私は変わらずシカマルが好きなんだ。








「シカマル・・・大好きvv」

私は隣のシカマルの腕に抱きついた。

「バカ////またガキ来んぞっ」

シカマルは真っ赤になってる。

私はそっと辺りを見回した。



「まだ誰も来ないよ?」



シカマルもそっと辺りを見る。



「そう・・・みてぇだな?」


そして、くっと笑った。


「んじゃ、いただくか・・・・・」

「え?」

シカマルが私の顎をキュッと掴んで、上を向かせる。
こんな外でキスするのって・・・・

なんかメッチャ恥ずかしいんですけどぉぉぉぉ//////

「ま、ま、待ってよぉぉ!」

「あーー無理。そんなかわいい格好で俺に迫ったお前が悪いっ 諦めろ!」

シカマルの腕が私の腰をギュッと引き寄せた。

「何よぉ!さっきは全然褒めてくれなかったくせにぃぃぃ」

シカマルの胸を押して、精一杯の抵抗をしてみる。

「褒めたろ?かわいいって・・・・」

「え?」

確かにかわいいって言ってくれてた気もするけど、そっぽ向いて、しかもかなり
投げやりな言い方でしたけど???

「うーーーん」

なんか納得できない・・・・・

「残念だったなっ 時間切れだ」



シカマルの顔がもう目の前!!



「な、何かお忘れですよ?ドラキュラさん?」

「なんだよ?/////」

あと数センチまで顔を寄せたシカマルは、しかめっ面をした。



「甘いキスをもらいたかったら、ちゃんと呪文を言ってください//////」


「あーーーーはいはい。」


シカマルは頭をガリガリと掻く。


「 Trick or treat  」


「はい。どうぞ/////」

私は少しドキドキしながら目と閉じる。




そして・・・・
ドラキュラの大きな黒いマントに抱きかかえられて、小さな魔女は幸せなキスをしました。








空には三日月が笑っています。















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後日、子供達の間で、ドラキュラがかわいい魔女にキスをしたという噂が流れていた。






『ほほう・・・ドラキュラがねぇ・・・・』

キバがシカマルの肩を掴んだ。

『・・・ドラキュラの皮をかぶった狼男だったんじゃねーの?なぁシカマル?』

ナルトがニシシと笑う。


『さぁな・・・俺が知るかよっ/////』

キバとナルトを振り払ってシカマルは歩き出した。




『 Trick or treat ! 』




2人の声にシカマルはビクリと立ち止まる。










『かわいい魔女のキスはやっぱり甘かったか?』




2人にニシシと笑われ、シカマルは真っ赤な顔をして振り返る。





「うるせー!お前ら 死ね!!!////////」







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