「え?」

気がついたら、辺りはさっきと同じ、誰もいない雪道だった。


「サンタ・・・さん?」



そんな人がいた気配すらない。


幻覚?


「クリスマスにこんな幻覚みるなんて・・・どうかしてる」


ふふ。







そうだよ。在り得ない。
クリスマスにサンタクロースが現れて、シカマルと合わせてくれるなんて。
しかも、シカマルもそう願っているなんて・・・・






「疲れてるのかな?・・・・早く帰ろう」




ザクザクザク




私はまた一人歩き出した。








でも---------------------------------------------------------









「こんな日に女一人って、・・・・在り得ねぇな」



後ろから聞き覚えのある声。



(嘘・・・・???)



私はとっさに振り返る。



「任務から戻って、歩いてきたら、クリスマスの夜に一人でフラフラ歩いてるチビがいてよ。
 まさかと思って追ってきたら・・・やっぱお前か」


「シカマル!!!」


夢だと思った。
私はまた在り得ない幻覚を見てるの?



別れてから、何ヶ月も会っていなかったシカマルが目の前にいる。
でも、それが幻覚じゃないことはすぐ分かった。


私と同じように肩に積もった雪。少し汚れた中忍ベスト。そしていつものめんどくさそうな顔。いつもの匂い。
本物のシカマルだ。



「なんだよ。お前の大事なやさしい先輩はどうした?」


シカマルは意地悪な目で私を見下ろす。


「そ、それは・・・」


先輩のことは初めから嘘だから・・・どう答えていいのか分からなくて言葉に詰まる。


「なんだソレ?プレゼントも受け取ってもらえずにフラレたのかよ。」



私が胸に抱いていた箱をシカマルがツンとからかうように押した。


「こ、これはっ」

「ご愁傷様。」

くくく

からかうように笑うシカマルは
まるで、いつもと同じシカマルだった。


私達、あんなにヒドイ別れ方をしたのに・・・・
それでも、こんな風に私と話しをしてくれる・・・・・



嬉しいのに。
何より、今、目の前に一番会いたかったシカマルがいるのに、でも、素直になれなくて・・・



「な、なによっ!そっちこそ、クリスマスぐらい任務後に彼女とデートでもしたら良かったのにっ!!
 断られたんでしょ!!かわいそうな人」


ふん


私は顔をそらして、歩き出す。



ザクザク



シカマルは私の隣を歩いて着いてきた。



「シカマルのことだから、どうせ彼女にも冷たくしたんでしょ?だからフラれるんですぅ!」


チラリと意地悪な目でシカマルをみあげる。
本当はドキドキしてたのに・・・・



「んだよそれ・・・お前に言われたかねぇな。クリスマスの日にバッチリフラレて帰って来た
 くせしてよぉ」

「うるさい!!」



そんな会話ですら、シカマルと話せることだけでなんだか嬉しかった。



「だったら、今日はクリスマスだし。俺とヨリ戻すか?かわいそうな子羊ちゃん」


頭をツンと弾かれる。
シカマルはからかって言ってるだけだって分かってるのに、私の心臓はドキドキと高鳴った。


「は?何言ってんの?意味わかんないっ」


真っ赤になる顔を見られたくなくて、私はザクザクと雪を踏みつけて先を歩いた。



「だってよ。クリスマスにはプレゼントがつきもんだろ?俺がお前にやるって」

後ろから呑気な声。


「何をよ!!」

私は振り向かないまま、ぶっきらぼうに答えた。


「だから・・・俺?」


その言葉に、とっさに振り返った。


「からかってるの?」

・・・・今度こそ・・・俺がお前を幸せにしてやるよ」



ポケットに両手をつっこんで、高く結われた髪に雪をたくさん積もらせて、
それでも、シカマルは真剣な顔をした。




雪の降る誰もこない道。






まるでこの世界にシカマルと私しかいないみたいな錯覚が起きてしまって、
だからこの雰囲気に飲まれそうな自分を必死で食い止めようとするもう一人の自分。




「シカマル・・・・からかわないで・・・・・・」


「からかってねぇって・・・けど・・・」


「え?」


「やっぱ・・・んな訳にはいかねぇよな。お前はとっくに俺なんか忘れてんのによ。」




シカマルは へっ と笑った。





シカマルにこれ以上そんな事言われたら、私、勘違いしちゃう。
そしたら、もっとシカマルのことあきらめられなくなる。
戻れなくなるっ

出来るなら私、このままシカマルと・・・・・


そしたら彼女の顔がとっさに浮かんで。
二人が並んで歩く姿を思い出した。





「クリスマスに彼女に会えなかったからって・・急にそんな事言ったってダメだからね!!
 やーーい。フラレ男!!イケテなーいっ!!」




あははって笑ってみせたけど、きっと作り笑いだってバレてるよね。
だって私まだ動揺してる。
 


「ふんっ 残念だったな。俺はフラレちゃいねぇの。はじめっから誰も誘ってねぇもんよっ」


シカマルはいつものように目を意地悪に細めてそう言った。


「嘘?・・・・」


「嘘なんかつくかよっ」


シカマルは へっと笑って、ザクザク歩いて、私の側まで来た。


「ダメじゃない!!クリスマスは特別な日なんだから、あの人、他の男の人にとられちゃうわよ!!」


こんな日に声もかけないなんて!!
シカマルは昔っから、こういうイベントに興味ないのは知ってたけど、でも、彼女であるあの人を
誘ってもあげてないなんて・・・・

私と付き合ってた時は、それでも必ずクリスマスは会ってくれてたのに・・・・


「クリスマスは特別な日なんだろ?」

シカマルはゆっくりと私を見下ろして、そう聞いた。


「そうだよっ!!1年に1度きりの特別な日だよ!!」


「だったら・・・・好きでもねぇ女と過ごす訳にいかねぇだろ・・・・」


「え?」



だって・・・・・シカマルはあの人と付き合ってるんでしょ?
だから・・・あの日、あっさりと私と別れたんでしょ?
私よりあの人を選んだんでしょ?


「お前って本当、人の話し聞いてねぇのな」


シカマルは はぁ とため息をついて、私の頭に積もった雪を パッパッと
払う。

「なに?なんのこと?」


「俺、あいつのこと好きな訳じゃねぇって、何度も言ったろ・・・・」


「そ、そんなの・・・聞いてない。覚えてない。」


(言ってたけど・・・あの時私はシカマルを信じなかった。信じられなかった)


「耳悪いんじゃねのか?それとももうボケたのかよ?」


「うっさいっ!!!」



くくく



シカマルは笑った。




そして静かな声で言った。




「それに・・・俺、他に好きなやついるしよ」


シカマルが突然ポツリとそんな事言うから、凄く動揺しちゃって


「え?・・・・だ、誰??」


とっさに聞いてしまった。


「ん?・・・・教えねぇ」



静かなシカマルの言葉がズキリと心に突き刺さる。


空を見あげて歩くシカマルの横顔はやけに大人びて見えて、もう私には手にも届かないように感じて、
切なかった。










そうだよね。

いくら偶然ここで出会ったからって、私達はもう付き合ってる訳じゃない。
それに・・・ただの仲良しの友達になんて・・・私、今更戻れない。






「お前は・・・どうなんだよ」


シカマルは空を見あげながらそう聞いた。



「ん?今でも・・・・好き・・・かも。」


(本当はそれはシカマルのこと・・・・でも、わざと濁した。気づいてくれなくていい。
 だって、シカマルには今、あの人とは別に好きな子がいる。)


「かもって・・・曖昧だな」


「ん・・だってよく分かんないんだもん・・・・」


「クリスマスにお前を一人にするような男のどこがいいんだか。相変らず趣味悪ぃなお前」


シカマルは はぁ とため息をついてから、ザクザクと私を追い抜いて、前を歩いた。






(今でも好きって・・・そうか先輩のことだと思ってるんだね )



でも、それでいいんだよね。
今更、「今でもシカマルが好き」なんて・・・・重たいよね?
シカマルの心の中にはもう別の女の子がいるのに。








「待って・・・・シカマル」


ザクザクと私はシカマルの背中を追った。

今日出会えたことが奇跡なら、もう少しだけこの奇跡に酔っていたい。
家につくまでは一緒に・・・シカマルのそばにいたい。
もう二度と私のものにならないなら・・・せめて今だけでも、昔みたいにシカマルと一緒に
並んで歩きたい。



ギュッとしがみついた腕。
シカマルが私のその手をギュッと握った。


「お前また忘れてんのかよっ 」


「え?」


「しもやけになっても知らねぇぞっ バカ」


手袋のない私の冷え切った手をシカマルのあったかい手が握った。



「シカマルだってしてないじゃない手袋・・・」


「俺はいいんだよっ ポケットにつっこんでっから」


どうりで、シカマルの手はあったかかった。


「それよこせ」


シカマルは私が大事に抱えていた箱を取り上げて、ベストのポケットにグッと押し込んだ。



「何するの?」

「いいから」










そして、無防備になった私の手を強引に掴んで握って、シカマルの長い指は私の小さな指にからみつく。








あの時みたい。







「今日は、片手だけだけど・・・我慢な」


そして、指を絡めたままポケットに入れてくれた。


「シカマル///////」


彼女じゃないのに・・・こんなことしてもらっていいのかな?//////

でも、嬉しくて、ドキドキして、シカマルが欲しくなった。
シカマルが好きだっていう女の子のところになんかいって欲しくない。

シカマルが好きなんだもんっ




私、今でもシカマルが好き----------------------------------------------------




「すっげぇ冷えてんじゃねぇか。一体、どんだけこの雪の中にいたんだ お前。」


「プレゼント・・・探しまわってたら、時間がどんどん過ぎちゃって・・・えへへ」


空笑い。だって、シカマルの手があったかすぎて、優しすぎて、たまんないんだもん。



「あいつの為か・・・・・バカだな・・・本当」


「うん・・・そうだね」






雪が深深とふってくる。






私の隣を歩くシカマル。
だけど、私達の心はずっと遠くにあるみたい。

こんなに好きなのに、これ以上近づくことも出来ない・・・・・・・・・
私がついた最低の嘘・・・もう本当のことを言える勇気もない・・・・・・







「寒ぃね」


私はシカマルに握られている反対の手を口元にあてて、はぁ と息をふきかけた。


「かせよ」


歩きをとめてシカマルはもう片方の私の手を、シカマルのもう片方の手で掴む。


「なに?」


シカマルは、私の手を中忍ベストの襟の内側にひっぱって、シカマルの首のあたりにくっつけた。


「もうここしかあっためてやれるとこねぇから・・・・・」


シカマルの首の熱。ゆういつ雪の中でも、ベストの高い襟の中で体温を保っていられるところ。
でも、シカマルの首にふれた私の手は震えた。
首からシカマルの耳にあるピアスに私の指先が触れて、リングピアスがシカマルの耳元で
柔らかく揺れる。


ドキドキする。


シカマルとキスした後、そっと目を開けたら、シカマルの耳でそのピアスがいつも光ってた。
シカマルが抱きしめてくれるとき、首元にしがみついたら、いつもそのピアスがシカマルの耳元で揺れてた。



(やだよっ もう戻れなくなるっ 奪いたくなるっ)



シカマルがドンドン私の心の中に入り込んで、もう逃げられなくなりそう。
こんなに好きな私の想いが爆発してしまいそう・・・・



「いっ・・・・いいよっ・・・・シカマルが冷えちゃうよっ!!」


思わず、首元から手を離そうとしたのに


「別に・・・かまわねぇよ。こんな冷えちまって・・・頑張りすぎなんだよお前は」

「そうだよね・・・でもいつも空回ってばっかりで・・・本当バカだよね私」

あはは。

笑ってみせた。
もうこれ以上優しくしないで?シカマル。
動揺してる私に気づかないで?


「あぁ・・・お前は大バカだ・・・・」




言葉とは裏腹に優しい目で私を見るシカマル。





そんな目で見ないで・・・・・
先輩のことは全部嘘だったの・・・なんて、今更言ってしまいそう。
私はまたシカマルを困らせてしまいそうだよ。




時間が止まって、このままシカマルとずっとこの雪の中にいれたらいいのに・・・・・
でも、そんなの無理だって、分かってる。











「どうだ?少しはマシになったか?」

「うん/////ありがと」








シカマルの首元からそっと離れた私の手。









私達はまた片方の手を繋ぎあって、歩き出す。





ポケットの中でシカマルの手をギュッと握る。
シカマルもギュッと握り返した。


でも、それはどういう意味なのシカマル?


それでも、
このまま、別れたくない。
私、シカマルと一緒にいたいよ。






家になんて永久につかなきゃいいっ

もっともっとシカマルと一緒にいたいっ




好きで好きでたまらなかった。





二人で歩く雪道。




繋いだ手をずっとギュッと離さないまま、私達は歩き続けた。
















・・・寄ってけよ」


「え?」








気がついたら、シカマルのアパートの前まで来てた。

ずっと来てなかったシカマルのアパート。

シカマルとの思い出がいっぱいつまったアパート。




「お前の好きなあったかいココア・・・入れてやっからよ。そしたら少しは冷え切った体も
 あったまるだろ?」


シカマルは私の顔を優しい顔で見た。


「うん。」



迷わなかった。
それが、いいのか悪いのか、もう頭がまわらなかった。


ただ・・・・今シカマルと絶対離れたくなかったの。















カンカン











外階段に響く靴音。





それすら懐かしくて、胸がドキドキする。





玄関前で鍵を開ける時でさえ、シカマルは私の手を離さなかった。




ガチャリと扉があくと、中からシカマルの匂いがした。









「入んな」


「うん」





玄関に入って離された手。


ガチャリ


と後ろで鍵を閉める音がした。






これで、シカマルと二人きり・・・・・・・




別にそんな意味なんてないのに、そんなの分かってるのに、シカマルと二人だけの空間に
すごく胸が高鳴る。





「なんだよ。入れって」

「あ・・・うん」



懐かしい部屋。
いつものソファーに、扉の向こうに見えるベット。


(どうしよう・・・ドキドキが止まらない)



「座って待ってな」


「うん」


ソファーに座ると今でも覚えてる心地よいひずみ。



キッチンで手際よく、シカマルは私にココアを作ってくれていた。
その姿をそっと見る。

付き合ってた頃と同じ。
おそろいで買ったカップ・・・
まだ取っておいてくれてるんだと思うと嬉しかった。


私のカップに砂糖を二個。ちゃんと入れてくれてる///////


甘いのが好きな私の嗜好を覚えていてくれてたんだ。







「ほらよ」


「いただきます」





ソファーに二人で座って、シカマルはコーヒー、私は甘いココアを飲む。


「おいしぃ。あったまるね////////」

「だろ?」



ソファーの隣はあまりにも近くて、隣で笑うシカマルにドキドキする。



「て、テレビつけていい?」

「あぁ」


だって、何を話していいのか分からなくなる。
シカマルと何度もキスしたソファーで、友達に戻って、平然を装って、普通に話しをするなんて、
私には出来そうもない。



内容なんて、頭にまったく入ってこなかった。
ただつけられている映像が何の感情もなく流れ去っていくだけ・・・

でも、



「お前、こういうの平気になったのか?」

「え?」



シカマルの言葉で ハッ と我にかえる。


それはクリスマス特番のホラー映画だった。





「きゃーーーーーっ」




目の前の画面に私がもっとも苦手とするお化けのような化け物がうつった。



「怖いよぉっ シカマル!!」


とっさにシカマルの腕にしがみついて、体をギュッとくっつける。



「なんだよ。やっぱダメなんだお前。」

「変えて変えて!!番組変えてよぉぉっ」

「どうすっかな?」


シカマルはリモコンを握ったまま、くくくと笑う。


その間に突然 ババーーーン と大きな音がテレビから耳に聞こえてきた。


「きゃーーーっ」

「うわっ」


耐えられなくて、シカマルの首元にしがみついて、座ったままシカマルに抱きついたら、
シカマルを後ろに押し倒してしまった。



「痛ってぇ・・・お前は、何すんだっつうの!!」

ソファーの肘置きに頭をぶつけたシカマルが涙目で私を見上げた。


「ご、ごめん。だって怖かったのっ」


今のこの体勢・・・・まるで私がシカマルを襲ってるみたいで、すっごく恥ずかしい状況。
真っ赤になった私をシカマルはからかって・・・


「お前、随分大胆になったんだなっ なぁ?。」

「違う違う//////」


言い訳も聞いてくれなくて、


「けど・・・俺としてはこっちの方がいいんだけど」

「え?」



ゴロリと反対にソファーの上で体を逆転させられた。



私の上にシカマル。
何?この状況・・・・・



「もう!!冗談やめてよね!!シカマル」




本当は心臓がドキドキしてたけど、私は無理して笑った。
だって、シカマルは好きな子がいるんでしょ?



「冗談なんかじゃねぇよ・・・・」


けど、シカマルは真剣な顔をした。


「お前よ。付き合ってもいねぇ男にノコノコついてくなって、俺いつも言って
 たよな?」


「だ、だって・・・・」


「だからお前は甘めぇんだよっ」


「シカマル?・・・・」


それはいつものシカマルじゃないみたいで・・・・


「お前、俺がお前をただこの部屋にココア飲むためだけに誘ったなんて思ってんのか?」


「え?」


「はじめっからこうする為に決まってんだろっ」



シカマルの手が私の両手首をギュッと握った。
もうピクリとも動けない。

いつものシカマルがまるで別人みたいに大人びて見える。





「あいつのこと・・・そんなに好きかよ」


シカマルはいつもより低い声でそう言った。


「あいつ・・・・・?」


先輩のことだ・・・・・・・



「クリスマスにプレゼントまで買って、結局、貰ってもらえなかったくせに、こんな大事に抱いて
 帰ってきやがって」


シカマルはそっとポケットから、さっき私が抱えていた箱を取り出した。



「こんなの。捨てちまえよっ 」


ソファー下に落とされた箱がゴロンと音をたてた。


「シカマル・・・・・」


「俺だったら・・・お前からのプレゼントがどんなものだって受け取る。手袋もしねぇで、
 あんな指先冷たくして大事に持ってきてくれたプレゼント。俺だったら、お前ごと抱きしめてるよ」





初めて分かった。
本当はシカマルも私と別れたくなんかなかった。
先輩と私のこと認めたくなんてなかったんだ。

けど・・・私が辛いって言ったから・・・私の為に・・・・

そうなの?シカマル。




「あいつのことは・・・俺が忘れさせてやる」

「シカマル・・・」

「帰さねぇからな」












ソファーの軋む音がした。
シカマルに息も出来ないぐらいキスされて、頭が朦朧とした。


乱暴にされて、いつものシカマルじゃないみたいで怖いのに、それでも、私は
もっともっと欲しいと思った。


シカマルに剥ぎ取られた私の衣服と、片手で乱暴に脱いでいくシカマルの衣服が
ソファー下でいくつも折り重なっていく。


シカマルの熱い肌の感触が冷え切っている私の体に重なって、その熱が私の体を巡った。



っ・・・」


体中にキスされる。


「シカ・・マル・・・」


呼吸があがって苦しい。

でも、このまま止めないでっ
シカマルに私を全部奪って欲しかった。




なのに・・・・一つだけ心にひっかかって抜けない想いが、私を苦しめた。





・・・・」


はぁはぁと肩で息をしている私の頬を優しく撫でるシカマルの手。



「ごめん」


下の落ちたシカマルの衣服をそっとかけられた。
それでも私が泣いたから、シカマルはそっと体を離した。


けど、違う。
本当はずっと抱いてて欲しい。でもでも・・・・・・・




「シカマルは・・・好きな子がいるんでしょ?なのにどうして私にこんなことするの?」

体が震えた。
涙が止まらなかった。


だって、さっきそう言ったじゃない。
私には言えない好きな子・・・それは誰なの?



シカマルのさっきの言葉が頭から離れないの。










「バカ・・・それは・・・お前のことだ」


「え?」


シカマルは辛そうに眉をしかめる。


「俺といるとお前が辛いって分かってんのに・・・別れた後もお前しか考えらんねぇんだよ。
 どうしてもお前のこと忘れらんねぇ。俺はお前しか好きになれねぇ」


「シカマル・・・・・」




さっきとは違う涙が あふれでるように、とめどなく流れた。
シカマルも・・・私のことを?


夢みたい・・・・








「私だって同じだよ」



「あ?だって・・・お前は・・・・」



「さっきの箱・・・開けて?」


私は涙をぬぐって起き上がる。
シカマルは複雑な表情でそっとソファー下から箱を拾う。


「俺が・・・開けていいのか?」

「うん」



包装紙をやぶいて、シカマルがそっと箱を開ける。


「お前・・・コレ・・・・」

「シカマルが欲しがってた腕時計。なかなか見つからなくて何軒も探して歩いたの。
 シカマルが貰ってくれるか分からなかったし、あげる勇気も無かったけど・・・
 でも・・・どうしても買ってあげたかった。」



やっと素直に言えた。
私の気持ち。








「俺も・・・・・」





そしたら、今度はシカマルが中忍ベストの右胸のポケットから、小さな袋を
取り出した。





「お前が欲しがってた俺と同じピアス。渡せる保障なんて無かったんだけどよ・・・
 思わず買っちまった・・・・」






お互いに顔を見合わせて、ぷっ と笑う。










想いは・・・・同じ----------------------------------








「メリークリスマス シカマル」

私はそっとシカマルの腕をとって、その時計をはめてあげた。

「メリークリスマス 

シカマルは優しく私の髪をかきあげて、ピアスをつけてくれた。










そして、もう一度ソファーで抱き合って、何度もキスをした。








「大好きシカマル」


「あぁ・・・俺もだ。もう我慢できねぇっ」





シカマルがそっと私の鼻先にキスをして、呟くように言った。



「あっち・・・行かね?」


シカマルが目で合図した先は、ベットルーム。


「うん。連れてって?」


シカマルの首に抱きついて、シカマルに抱っこされて、ベットの前まで
連れていかれる。



「俺はお前だけだから・・・」

「うん。信じる」




シカマルにゆっくりとベットに寝かされる。



優しく重なるシカマルの体。



耳元で小さな声


・・・愛してる」

「私も・・・・」



途切れる意識の中で何度も確認して、シカマルは何度も何度も私を抱きしめた。


全部全部解かされていく。

あの日の誤解も、嘘で固めた言葉も、意地をはった心も・・・・

絡み合う体の熱で布団の中で二人溶け合うみたいに。













シャンシャン・・・・・


(鈴の音?・・・・・・)



うっすらと意識がもどってきて・・・・気がついたら、窓にあたる雪。







「目ぇ覚めたか?」

「うん・・・・・」

ベットの中でシカマルは私の髪を優しく撫でた。


「シカマル・・・今・・・鈴の音・・・聞こえなかった?」


ぼんやりとした記憶の中で聞いた、確かな音。

でも・・・・


「いや・・・?」


シカマルは不思議そうな顔をした。




「ねぇ・・・シカマルはサンタのおじさんに会ったの?」

「あ?なんだそれ?」





「ううん・・・・いいの」


サンタクロースがシカマルと私を引き合わせてくれたなんて・・・そんな夢のような
話し・・・でも・・・


「サンタクロースか・・・でも実際いるのかもな・・・・」


シカマルは私を後ろから抱きしめて、髪にキスをした。


「どうして?」

「笑うなよ・・・・・」


「うん」


「心の中で願ったんだ。任務が終わって里に着いて、繁華街のカップル達見てたらよ、
 すげぇお前に会いたくなって・・・んで、に会わせろ!!って・・・・」


「え?」


「サンタクロース!!もし本当にいるんだったら・・・を俺にくれ!!って・・・
 そう願った」


「嘘?」


「そしたら・・・お前見つけたんだよ・・・あの雪の中、ボーッと突っ立ってるお前をよ」











<<そりゃ良かった。彼と同じ望みだったとは・・・手間が省けたわい。>>









さっきのサンタクロースの言葉が頭をよぎった。







「すごいね。サンタさんて本当にいるんだ」

「だからそりゃ、偶然で・・・」


「ううん。いるよ!きっといる!!」



私は後ろのシカマルを振り返った。



シカマルは少しおどろいた顔をしたけれど、優しく笑ってくれた。






「あぁ・・・そうだな。今日はクリスマスだもんな」

「うん////////」






そしてまた私達はキスをする。




「サンタから最高のプレゼントもらったぜ」

「私も。シカマルが最高のプレゼントだよvv」


「バーカ//////」





裸で抱き合って、まるで生まれたままずっと一緒にいるみたいに。
溶け合って、そのまま一つになってしまうみたいに。
私達はまた何度も求めあう。











今日はクリスマス。







サンタさんからのプレゼントは、
私とシカマルの永遠の愛--------------------------------





















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