「はぁ・・・遅いなぁ・・シカマル・・・・・」

待ち合わせ場所のお店のウィンドー前で私はため息をついていた。

店の前を通り過ぎて行く人々をキョロキョロと見渡してみるが、
髪を一つに結って、眉間にシワを寄せて歩いてくる背の高い彼の姿など
どこにもなかった。

約束の時間は、もう40分も過ぎている。

「やっぱり寝坊したんだ・・昨日あんなに念を押しておいたのにぃ!!」

はぁ・・・

なんだか私ばっかり張りきっているみたいでバカみたい・・・

私の耳には知らない人々の笑い声や、店先から聞こえる様々な音が
響いていた。

「なんかみんな楽しそう・・・シカマルのバカ・・・」

私は俯いて、目を閉じた。




ボスッ




「痛いっ」
突然、何かが私の頭にあたった。

目を開けると・・・・



「シカマル////////」

「お前な、立ったまま寝てんなよ。」



やっぱり彼は眉間にシワを寄せて、すごくめんどくさそーに私を見下ろしていた。
いつもの顔だ。
その手には薄っぺらい雑誌が握られていた。

「もう!遅れて来たくせに、叩くことないでしょ!!しかも雑誌で!!」

私は内心シカマルが来てくれた嬉しさを隠して、わざとぷくっと膨れて怒ってみせた。

「いや、お前、寝てると思ったから・・・・」

「立って寝れるわけないでしょー!!まったくぅぅ!寝坊した人に言われたくないよっ!!」

私はシカマルの顔の前に人指し指を1本突き出して、シカマルを睨んだ。

「あーーはいはい。悪かった悪かった」

シカマルはたいして反省している素振りもなく、手にしていた雑誌を道端のゴミ箱に
ポイッと捨てた。

「もう!遅れてきたくせに、ちゃっかり雑誌とか読んで来たわけ?」

「あぁアレ?お前起こす為に買ったんだよ」

「嘘言うなっ!!」

私はシカマルの腕をつねった。

「痛ってぇ!何すんだバカ!」

「ふーーーんだ。かわいい彼女を待たせたんだから、そんぐらい当然でしょ?」

「だったら起こせよっ!!なんで一緒に住んでるってぇのに、わざわざ現地
 集合しなきゃならねーんだ?一緒に家出れば、間に合うもクソもねぇだろっ!!
 めんどくせーー・・・・」


分かってないなぁ、シカマルは!!!


「それじゃ意味がないの!!」

「は?なんで?」

「だって、久しぶりのデートだよ?今日、彼はどんな格好で来てくれるかなぁとか、
 どんな顔して会いに来てくれるだろう?とか色々想像しながら待つのが楽しい
 んじゃない!!」

私は両手を神様にお祈りするみたいに組んで、目をキラキラさせながら、シカマルに
訴えてみた。

「そんな理由で、お前は、一人だけ早起きして、家でてったわけか?」

「そ////」


シカマルは目を細めて、チラリと私を見る。


「んで?今日の俺はどんな格好してるって?」

「いつもと同じコート着てる。」

「んで?俺はどんな顔して会いに来た?」

「いつもと同じめんどくさそーな顔」

「んで?お前はそれで満足したのか?」

「ん・・・・ふつう。」


「けっ・・・・」


シカマルは少しあきれたような声を出す。


「ったく くだらねぇ事にまきこみやがって・・・・」


シカマルは、さっさと先に歩きだした。


「ちょ、ちょっと待ってよぉシカマル!!!」


私はあわてて追いかける。
だって、シカマルは背が高いんだもん。
当然、歩幅も私とは全然違うから、ヘタすると離れ離れになっちゃうよ!!!


でも・・・シカマルを追いかけながら、シカマルのいつもの大きな後ろ姿を見て、少し
ドキドキしちゃったりして。
いつものコートにいつものめんどくさそーな顔。
それでもいいの。
シカマルが私の為にちゃんと会いにきてくれて、こうして一緒に外を歩けるだけで・・・

それだけで私幸せなんだよ//////



本当シカマルは全然分かってないなぁ・・・・//////





「おい。早く来ねぇと置いてっちまうぞっ!!」

シカマルは振り返って、また眉間にシワを寄せながらそう言った。

「はーーーい」

私は走ってシカマルの隣を歩く。

今日は快晴・・・あぁなんかデート日和でいい感じvvv









「ねぇシカマル!あっちの店みたい!それからあっちも!」

はいつになく上機嫌で俺の隣を歩いている。
大きな瞳をキラキラさせて・・・

俺達は同棲していて、毎日顔付き合わせてるっつうのに、何、はしゃいでんだか・・・・

「ったく。お前なぁ・・・ちったぁ落ち着けっ!」

「だってぇ・・・せっかくシカマルの任務と私の任務が一緒にお休みでさ、
 久しぶりのデートなんだもんっ!!」

「けっ 何がデートだよっ 俺は家でのんびり寝てたかったってのに、昨日からお前が
 あんましうるせーから、仕方なく付き合ってやってんだろ?」

「あ!!それひっどーーーい。じゃぁシカマルは私と一緒にでかけるの嬉しくないの?」

「んな事、言ってねぇだろ・・・人ごみとかめんどくせーんだよっ 
 俺の性格分かってんだろ?」

俺は はぁ とため息をつく。

「なんで?なんでなんで?普通、好きな子と一緒だったら、どこにいても嬉しいもの
 なんじゃないの?」

は少し不安気に俺の顔を覗き込む。


「残念だったな・・・俺は違うのっ」


急にはその場に立ち止まった。

「なんだよ?」

「もしかして・・・シカマル・・・私にもう飽きちゃったの?」

「は?」


何泣きそうな顔してんだ?
だいたい、どうしてお前は、いつもいきなりそういう発想になるんだよっ バカ!!



俺はムニッとの頬をつまむ。

「ひらぃよぉ・・・」(←痛いよぉ と言っているらしい)

は涙目で俺を見上げた。

「あーーーぁ お前のマヌケ顔見てっと、本当 飽きねぇな。」


(そうだよ。お前といて俺が飽きるわけねぇだろうが・・・
 俺の気持ちも知らねーでよっ・・・・)


「何それ!マヌケって言うなぁ!!!」

今度は怒って俺の腕をポカポカと殴っている。

「あーーはいはい。悪かったよ。かわいい顔の間違えだったな?」

「もうっ////////」




ったく・・・・

俺はなぁ・・・今日は久しぶりに2人でいられる時間をお前と2人だけで
過ごしたかったんだっつうの。
なのにお前ときたら・・・




それは昨日の夜の話だ・・・
俺とは2人でソファーに座って、別に興味も無いテレビをボケーっと見ていた。
夜もふけてきたし、そろそろ寝るか・・・・
俺はうーーーーーんと伸びをする。


『シカマル〜 ねぇ明日は一緒にどっか行こっvv』

もう寝るかって立ち上がろうとした時に、突然思い立ったようにお前が俺の腕を引っ張るから・・・

『あ?なんで? めんどくせー 家で寝てようぜ』

ふあぁ・・・

俺はそっけなくそう答えた。
だってよ、せっかく2人揃って休みなんだぜ?
わざわざ人ごみに出るなんて、そんなめんどくせーことする必要ねぇだろっ

そしたら、は急に怒りだして、

『なにそれ!!せっかく2人でデートしようって言ってるのに、めんどくせーって何よっ!!』

ソファーをボスッと叩いた。


いや、確かにあくびしたのは俺もタイミングが悪かった・・・
けどな、めんどくせーってのは俺の口癖で、そういう意味じゃなくてよ・・・


『どうしてシカマルは私と一緒にいるのがめんどくさいのよ!!』

『いやだから・・・それはそういう意味じゃねーって・・・』

あぁ・・・っ めんどくせー。
言い訳なんかしたって、こいつは全然聞かねぇしな・・・


『だったらどういう意味よ!!!』

あーーーぁ 完全に怒ってるよ。


寝てようってのはな・・・めんどくせーからじゃなくてよ・・・・・
だから・・・その・・・お前を俺の側に一日中置いときたかったんだよ。

だってよ・・・部屋の中なら、誰にも邪魔されずにずっと2人きりでいられるんだぜ?


言葉で言わなくても、いい加減気づけよ!!!
ったく本当めんどくせー・・・

けど目の前で完全に怒っているをなだめるには、それなりにを納得させる
事を言うしかねぇんだよな・・・・


『あぁ・・・・だからな・・・・』


頭をかく。
うううううーーーん。
こんな時に限って、をどうにか静めさせられるような、うまい言葉が出てこねぇ。
だけどよ、本当の俺の気持ちなんざ、恥ずかしくて言えるかっつうの!!!


俺はなんでも口に出してお前を喜ばせてやれるほど、出来た男じゃねーからよ。



『とにかく、俺は部屋でのんびりしてぇんだよ!!』



もう訳わかんなくなって、思わずそれだけ言い放った・・・・

の顔。
眉間にシワよってる・・・相当怒ってんな・・・・

やべー。・・・また俺はお前に誤解されるようなこと言っちまったのか?

案の定、は俺にめいいっぱい顔を近づけて怒鳴りだした。

『シカマルはいつものんびりしてるじゃない!!明日ぐらい私のいうこと聞いて絶対デートしてよ!!
 いい? 時間と場所は私が決めるから、遅れないで来てよ!シカマル!!』

まくし立てるようにキャンキャンうるせーに、なんか俺もいい加減、腹たってきたぜ。


『ったくっ 勝手に決めんなっつうの。マジめんどくせー!!』

(人の気持ちも知らねぇで、いつも人の言う事聞かねぇのはお前の方だろうが!!)


でも、その瞬間、は急にシュンとした。
膝に置いた手が少し震えている。
あぁ・・・やばい展開っぽい・・・・

『なによ!ひどいよシカマル・・・デートもしてくれないの?・・・・
 シカマルなんて、全然優しくなくて、いつも私のことなんて全然考えてくれなくて・・・
 いつも私ばっかりシカマルのこと思ってて・・・・・・』

最後は涙声だ・・・


(あぁ・・・もう・・・こいつはまったく・・・・)


頭をガリガリと掻く。


もういい訳できる雰囲気じゃねぇ・・・・・
ったくよぉ・・・・・
・・・どうすりゃ、俺の本当の気持ちが分かるんだよ!この鈍感!!

けど・・・もうこうなったら俺が折れるしかねぇんだろ?


『俺が悪かった・・・言い過ぎた・・・明日はちゃんと行くからよ・・・
 それに俺は・・・お前のこと、ちゃんと想ってっから・・・』

これだけ言うのが精一杯。
これでも俺は結構な努力ってやつをして、お前に気持ちを伝えたつもりだぜ・・・
俺はぎこちない手での頭をできるだけ優しく撫でてやる。


『うん。』

おそるおそるの顔を覗き見ると、涙は止まったようだ。


はぁ・・・・・・とりあえず良かった・・・・・・


俺はソファーに座ったまま、頭を垂れて、深いため息をついた。

『シカマル・・・本当にいいの?』

腕をゆすられる。

『あぁ。仕方ねぇ・・・・』

『ありがとーシカマルvv』

また俺の負けだっ・・・
これで、(お前と2人だけのゆっくりとした休日)っつう俺のささやかな夢は
完全に無くなった・・・・

けど・・・もうこうなったら仕方ねぇか・・・・・

チラリと横目でを見れば、お前は頬を少し赤くしながら、幸せそうに笑っている。



その顔に俺は弱ぇんだよ・・・くそっ


お前の言う約束は俺にとっちゃぁ、すげぇめんどくせー事だけど、お前が幸せそうに笑って
くれるなら、俺はもうお前の言いなりだ。その笑顔には勝てねぇよ。



それによ、こんな喧嘩で、誤解されて、お前が俺に愛想つかして、別れるとか言われたら・・・
俺はそれこそ、立ち直れねぇっての・・・・・

頭をガリガリかいて、そんなことを思いっていると、が俺の腕に絡み付いてきた。


『シカマル・・・ねぇ・・・もう寝よvv』

『あ?あぁ・・・そうだな』


腕にくっつかれたまま、ベットへと歩いていく。
は嬉しそうに顔を赤くしながら、笑ってる。


『歩きづれぇよ』

『だって嬉しいんだもんっ 久しぶりに一緒に寝られるねvv』


え?

心臓がドクンと音をたてた。
・・・そうだった・・・・・
俺達は久しぶりに同じ時間に一つのベットで寝るんだ。

普段は任務が夜までつづいたり、泊りがけだったり、同じ家に住んでいても、
時間が合わない事も多いから・・・・
大抵はが先にベットで寝てて、俺はお前を起こさないようにソファーで
寝るのが最近は日課になっていた。



ベット前まできて、俺はなんだか急に恥ずかしくなってきて、その場で止まった。
『どうしたの?』

は不思議そうに俺の顔を見上げる。

『いや・・・・別になんでもねぇ・・・・』

そう言いつつ、隣のを見て、また心臓がドキリと高鳴る。


まじまじと見る、のパジャマ姿・・・・
あぁ・・・なんかやべーな。
俺の頭はこれから起こるであろう、恋人としての2人の行為にどうしても想いが
いっちまう。

『ねぇ入ろうよベット!』

は俺の手をグイッとひいて、布団をめくった。

『あぁ・・・//////』

2人でベットに入る。
俺のすぐ隣にの顔。

・・・・』

俺はとっさにグイッとの体を引き寄せて、自分の方を向かせた。

『なあに?シカマル』

さっき泣かせちまったせいで、まだ少し潤んだ瞳をしているが妙に色っぽい。
やべー。
なんかもう俺スイッチ入っちまいそっ//////

ドキドキと心音だけがうるさく響く。

のかわいい唇に釘付けになる。
は俺に何か言おうとして、ゆっくりと俺の目の前で唇を開いた。
小さな赤い舌が見えて、俺は・・・もう限界!!

頬に手をかけると、甘い声を出した。

『ねぇシカマル////』

『なんだよ?』


もう俺はキスしてぇんだけど・・・・


『明日早いから、もう寝ないと起きられないよvv』

『え?』

『だって、シカマル寝坊すけだもんねvv』

くいっ と鼻をつままれる。

『痛てっ!』

『きゃー明日楽しみだねvv シカマル〜///// おやすみvvv』

は口のあたりまで布団をかぶって、えへへと笑って目を閉じた。

『は?』

しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん・・・・・・

『おいっ !!』

『おやすみだってばぁ・・・シカマル・・・も・・・早く寝な・・・さい』

『おやすみって・・・マジかよ!!』


すーーーすーーーー


『冗談だろ?』

の頬をちょこっとつつく。
・・・・・びくともしねぇ。

すーーーすーーーー


『なぁ・・恋人同士っつうのは、こういう時ふつう・・・スルだろ?』

の頬をぺしぺしと軽く叩いてみる。
・・・・・起きねぇ。


すーーーすーーー


『嘘だ・・・ありえねぇ・・』

もう一度の顔を見る。

すーーーすーーーー

規則正しい寝息・・・完全に寝やがった・・・・・・。


『お前なぁ・・・(怒)』


さすがに、無防備に眠る彼女相手に無理やりヤるのは気が引ける・・・・・


俺は半分覚醒しちまった体を無理やり沈めて、なんとか眠ろうと努力した・・・
けどよ・・・


『う・・・・うーーんvvv シカマルぅ・・・・・』


隣で一人夢の中のかわいいの寝言が、俺を興奮させて、なかなか寝付けねぇ・・・・


『いっそ襲ってやろうか?このバカ!!』

ムニッとの鼻をつまんでみる。・・・・それでも起きねぇよ・・・・
俺の一人言も虚しく響くだけ・・・俺は深いため息とともに強引に目を閉じ、寝るための努力をした。
(あぁ俺って本当、イケてねぇなぁ・・・・・)








どうだよ!これが昨日の夜の話しだ!

この話しをしたら、男連中はみんな俺に同情してくれるだろうよ・・・・
そう・・・・そんなこんなで俺は寝不足だっつうの・・・・



しかも気づいたら、もう朝。
隣で寝てるはずのお前はいない・・・・
あわてて飛び起きたら、どう考えても遅刻って時間だ・・・・


マジ最悪・・・・・・







「はぁ・・・・」

俺は昨日からの最悪な出来事を想い出して、ため息を一つ。

「あ!また私といるのにため息ついたぁ!!!」

「はいはい俺が悪かった。かわりになんでも言う事聞くから、怒んなよ。」

(泣きたいのは俺の方だっつうの。頼むからもう機嫌直せよ・・・)

「へへ//////それじゃぁ、あの店に一緒に付き合ってください」

「・・・了解・・・・」

「やったぁ/////」
今度は嬉しそうに笑ってやがる。

(ったく世話やける女っ 本当めんどくせー////)

泣いたと思ったら、怒るし、笑うし、いつまでたってもガキだぜまったく。
なのになんで俺はこんなめんどくせー女の側にいてぇと思っちまうのかねぇ・・・・
どんなに憎まれ口たたいても、がやっぱ俺にとっちゃぁ一番大事な女だってことは
昔も今も変わりはねぇ・・・・





カランコロン

耳に響くベルの音。
ここは雑貨屋らしく、小さい店内にがきゃーきゃーとはしゃぐような小物がずらりと
並べてあった・・・

(しっかしゴチャゴチャとめんどくせー店だな・・・・・)

どうでもいいけど、俺には全く興味ねぇ・・・
はぁ・・・俺はに気づかれないようにため息をつく。




「なんだ?これ・・・・・」

目の前にあった小せぇ人形を手に取る。

「あ!それかわいいねシカマルvv」

は俺の手の中の得体の知れない動物らしきものをしきりに顔を近づけて見ていた。

(かわいいって・・・まさかコレがか?どうみてもこれはあの動物だろ?)

「お前、ブタがいいわけ?」

「違うわよ!猫でしょうーが!!」

「そうか?ブタだろ?」

「しっぽがクルリンとしてないじゃんっ!!」

「・・・・あぁ・・・ほんとだ・・・・」

(たしかに、この動物の尻尾は下にダラリと垂れていた・・・・)

「もう!信じられないっ シカマルって目ぇ悪いんじゃないのーー?忍びとして私心配だわ・・・・」

にジロリと睨まれた。

(うるせーよ。こんなチンチクリンな人形ごときでバカにされる覚えはねぇっての!!)




「ねぇ見て☆これかわいいと思う?シカマル」

「あぁ。かわいいんじゃねぇの・・・・」

あーーーーもうめんどくせ。

あんまし真剣に見てもいねぇから、の持ってる物がなんだかよく分かんねぇけど、
そう言っとけば、が納得するだろうから、めんどくせーからそう言った。

「んじゃこのピンズ買おうっとvv リボン付けたクマちゃんが2つかぁ!かわいいvv
 シカマルにはもったいないけど、 早速帰ったらつけてあげなきゃねーーvv」

(は?今何つった?・・・・・・)

「お前さ、それどこにつける気だよ?」

「もちろん、シカマルの額あてを止めるピンにだよ。」


ざざざーーーーーーーーーーーーー  血の気が引いた。


俺の腕に、リボンをつけた間抜けなクマが2匹、額あてにくっついているのを想像して、青ざめた。
もう勘弁してくれ・・・それされたら俺その場で死ぬわ・・・・






「お前なぁ・・・頼むからそれ絶対俺に付けんなよ。」

「だって、かわいいって・・・さっきシカマル言ったじゃない?」

悪気なんてカケラもありません!というような顔で見上げているの手を強引にひいて、
ついでにクマを元の場所にポイッとすてて、俺は店を出た。


カランコロン。


扉の外に出ると、は怒りだした。


「せっかくシカマルの為に見てたのにぃぃ!なんで出ちゃうのよぉぉ!!」

「俺のはいいから!自分の探せっての!ほら・・ほかの店行くぞ・・・・」

「もう!」


ぷりぷりと怒りながらも、は他の店を物色中。

「ねぇ・・じゃぁ私のもの買っていいの?」

は急にモジモジしだす。

「買えよ・・・お前の買い物だろ?俺が買ってやっからよ・・・・」
(頼むから俺のはもう勘弁してくれ・・・・)

はぁとため息をつくと、

「きゃーーーvvv本当に?じゃあ洋服買って〜シカマルぅぅぅ!!!」

俺の腕をひっぱって、今度は違う店に直行だ。

それにしても・・・俺にはピンで自分は服かよっ
これだから女ってのは・・・ちゃっかりしてやがるぜ、まったくよぉ・・・・

金かぁ・・・言うほど持ってねぇぞ俺・・・・


頭を掻きつつ、も一緒に暮らしているし、そんぐらいは分かってんだろ・・・
そう考えて、店に入る。






女もんの服がずらり・・・

(あーー俺、場違いっぽいんすけど・・・・すげー居心地悪っ!!)

確かに店内にはカップルとかもいる。
けど、本当、俺はこんな店・・・・柄じゃねぇんだよっ・・・マジ照れる・・・・

「これもいいかな?これもかわいいしぃ・・・・・」

そんな俺の気も知らねぇで、はあちこちと服を手にとっては悩んでいる様子だ。
ったく・・女ってのは、どうして自分のもの選ぶのにこんなに時間かかるんだよっ 

・・・まだかよ?」

「うーーーん。もうちょっと・・・・」

俺は店の中にソファーがあるのを発見して、ドカッと座る。
やることねぇし・・・寝てるか・・・・・

目を閉じかける。



「かわいいなぁ。一人で来たの?」

「ち、違います。シカマルと・・・えっと・・・彼と来たんです。」

「へえ・・・彼は彼女ほっぽってどこ行っちゃったんだろうね?俺ならこんなかわいい彼女
 ほっとかないけどなぁ・・・」

「え?そ、そんな/////」

「ねぇ。君はかわいいから、これなんか似合うと思うけど?着てみる?」

「は、はい/////」

(なんだぁ?)

店の奥から聞こえてくる会話にムッときた。
いくら売上ノルマがあるっつったってよ、人の女をかわいいだの、ほっとかねぇだのほざいてんじゃ
ねぇよ・・・・
ソファーに座る足が規則的にコツコツと鳴る。
あぁなんかイライラすんな・・・・っ・・・・・・・



シャッ



試着室が開く音。
俺はゆっくりとソファーから立ち上がった。




「すごくかわいいよ・・・今度デートしてくれない?」

店員の男がにそう言った。

「誰とだよ?」

低い声でそう言ったら、男の身体はビクリと硬直した。
気配を消して相手の後ろに立つなんざ、忍びの初歩だ。
けど、一般人には相当驚くことらしい。

「す、すいませんでした」

店員の男はに服を売りつけることも忘れて、足早に店の奥に逃げていった。

「あーーぁこれで売り上げノルマも難しいか?あいつ・・・・」

くっと笑うとがぶーたれた声で言った。

「シカマルのバカ! せっかくあの男の人に私の悩殺パンチで値切ろうと思ってたのにぃぃ」

「あ?なんだよ悩殺パンチってよっ」

俺はを振り返る。

「うわ//////」

試着室のカーテンが開かれて、鏡の前に立っていたのは、超ミニスカで、胸元の開いたワンピースを
来ただった。

「どう?シカマルも悩殺されちゃった?」

ニシシと笑う

「あぁ目の毒だ。とっとと着替えて出てこいっ/////」

を中に押し戻して、シャッとカーテンを閉めた。

「何それーー!!私の色気もわからないんだからーーーシカマルのバカーーー!」

試着室から怒鳴っていやがる。


バカ///// お前、その服どこに着てくつもりなんだよ!!
町歩くたびに男に見られてたら、俺の心臓がもたねぇよ!!
ちったぁ俺の気持ちも考えろっての!!!

俺の前でその格好しやがったら、今度こそ間違いなく、襲ってやる!!!


俺はバクバクする心臓を押さえながら、立ち尽くしていた。

(こんりんざい、こいつと買い物には行かねぇ・・・つうか一人でも行かせらんねぇよ・・・)


シャっ


着替え終えたの腕をひいて、俺はまた強引に店を出た。

「もう!シカマルってば何で怒ってるのよぉ!」

お前はほんとに全然分かってねぇんだよっ!!
あーーもう・・・イラつく!!

「うるせーバカ。」

「あぁ!!!バカって言ったぁ!!!」

が膨れた姿を見て、俺も完全にキレた。

「お前よっ ああいう服絶対に買うなよ!それから試着もすんなっ!!」

「なんで?」

「なんでだぁ?」

さっきの事を思い出して、余計に腹が立つ。

「あんな露出の多い服着んなっつってんだよ!! 店員の男に見られたろうが!!」

「だって、店員さんに見せなきゃ買えないよぉ!!」

「あのなーー!お前の体を見ていいのは俺だけなんだよ!他の男になんか見せんなっての!!」






あ・・・・・・








は真っ赤な顔になった。
やべー・・・つい本音を言っちまった・・・






「分かった・・・//////ごめんねシカマル・・・・・////////」

「お、おう//////」



俺も真っ赤になってんだろう?
正直、こんなにはっきりに言った事は今まで無い気がする・・・・
でも・・・鈍感で天然なお前には・・・これぐらい言わなきゃ伝わらねぇよな・・・
めんどくせーけどよ・・・・・


「ねぇ・・・手、繋いでいい?」


は少し遠慮がちに言った。
ふだんはあんまし手とか繋いで歩いたりしねぇからな・・・
だってよ・・・いのとかチョウジとか・・・会ったりしたら、やっぱ恥ずかしいだろ?

でも、今はお前の手を握りたかった。


もう勝手にどこへも行かねぇように・・・・
俺がお前を繋ぎとめておけるように・・・・


「んじゃ、家につくまでお前を掴まえとくか・・・・」

ギュッと小さな手を握る。
寒さで冷たくなった手が愛しくて、かわいくて、心臓がドキドキした。

「シカマルの手・・・あったか〜い//////」

「まぁな・・俺は心があったけぇからよ・・・」

「何それ!それじゃ私の心が冷たいみたいじゃないよぉぉぉ」

ぷくりと膨れた頬。

「あぁだろうな。昨日は俺を無視して先に寝ちまうしなー」


チラリと意地悪く隣のを見ると、真っ赤な顔で黙っている。
はこういう事言うと決まって照れて何も言い返せなくなるんだよな。

いつもの威勢がなくなって、急にしおらしくなるがかわいいと思った。


「冗談だ。バーカ。」


くくくと笑うともくすりと笑った。


「シカマル・・・・・大好き/////」


ふいをついて言われた言葉。


「何言ってんだっ バカ//////」

今度は俺が立場弱ぇよ。

「シカマルこそ・・・何照れてんだ?バーカ/////」
「真似すんなっ/////」

2人して笑った。



繋いだ手をお前がギュッと握るから、俺もギュッと握り返す。
は手を繋いだまま俺の左腕にしがみついた。

柔らかいの髪が俺の目の前でふわりと揺れる。



本当はここで抱きしめてキスしてぇ。
けど、やっぱこんな人ごみじゃあできねぇよな//////


町をいく楽しそうな笑い声が今は凄く邪魔に感じる。
お前と2人きりになりてぇよ・・・・





その時、が俺の手をグイッと引っ張って、耳元で囁いた。




『ねぇ・・・帰って、いっぱいキスしようvv』



心臓がドキドキと高鳴る。
バカ。
んなこと言われたら、俺もうとまらねぇからな。


「あぁ。その変わり・・・・・」

今度は俺がの耳元に顔を近づけて、小声で話す。

「もう/////シカマルのバカ!」

「なんだ?ダメなのかよ?」

「い・・・いいよ///////」

「よっし。んじゃ決まりだな。帰ろうぜ 俺たちの家に」

「うん」


は幸せそうに笑ってる。
俺もたぶん今最高に幸せだ。
だってお前は真っ赤になりながらもオッケーしてくれたもんな?


(唇だけじゃ足らねぇよ。体にもしていいんだろ?)



好きだと言葉では上手く言えねぇけど・・・
俺はお前を心底愛してる。
この想いは一生変わることはねぇ。
めんどくせーけどそれぐらい俺にも分かる。


繋いだ手を揺らして笑っているを見る。
あぁ俺やっぱお前のその笑顔がすげぇ好きだ。


これから先も、俺はの一喜一憂に振り回されて、あぁでもねぇこうでもねぇと
頭を悩ませながら生きてくことになんだろう・・・
けど、それが俺の未来なら・・・それはそれで悪くねぇ。



だってよ、お前が俺の側にずっとずっといてくれんなら、俺はそれだけで
もう幸せなんだからよ。




だから、ずっとずっとこれから先も俺の側にいてくれよ・・・な?




戻る





55 STREET / 0574 W.S.R / STRAWBERRY7 / アレコレネット / モノショップ / ミツケルドット